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[18902] 言語と民族返信 削除
2014/3/28 (金) 21:00:04 徳翁導誉

> > 例えば、似たような言語でも、その時々の社会背景によって、
> > 同一言語の方言として扱われたり、別の言語として扱われたりしますからねえ。

> そんなこといったら、欧州はゲルマン諸語とかラテン諸語とかになっちゃいますね。

いや、別にそんな事を言っている訳ではありませんよ・・・・
連続性のある言語を区分する時に、方言か別言語かの線引きは多くの場合、
学術的な系統ではなく、その時代における国境線に左右されて決まるという話をしているんです。

例えばドイツ語の場合、北側の平野部で使われる低地ドイツ語から見てみると、
南側の内陸部で使われる高地ドイツ語よりも、隣のオランダ語の方が却って言語的に近かったりします。
しかし国境線はドイツの南北にではなく、オランダとの間に引かれている為、
言語的に遠い高地ドイツ語は方言で、言語的に近いオランダ語は別言語として扱われます。
最近の例で言うと、ユーゴスラビアの主要言語は「セルボ・クロアート語」でしたが、
ユーゴ崩壊により国家が分離独立すると、ほとんど違いの無かった言語がそれぞれ、
セルビア語・クロアチア語・ボスニア語・モンテネグロ語などに分けられる事になりました。
同じ国家の時は言語の共通性が強調されましたが、分裂後は言語の差異が強調されるようになる訳です。
逆のケースだと、日本語と琉球語は別言語とも言える程の差異がありますが、
一般的には、日本語に含まれる沖縄地方の方言として認識されています。

連続性のある同系統の言語の場合、距離が離れるごとに言語も徐々に変化していく為、
明確な区分の線引きなど、そもそもは困難な事であり、
こうした事情は決して、ゲルマン語派やロマンス語派という大きな枠組みでも例外ではありません。
この2つの語派は、同じインド・ヨーロッパ語族の中でも非常に近い存在ですし、
例えば英語はゲルマン語派に、フランス語はロマンス語派に分類されるものの、
英語とフランス語は、歴史的な経緯から濃密に混ざり合っており、明確に線引きし難い面もあります。
また、明確に線引き出来たとしても、「同じ語派だが意思疎通は出来ない別言語」とかだと、
ゲーム的にはそんな枠組みなど、ほとんど意味がありませんからねえ・・・・

> > ただ、北京五輪・上海万博・広州アジア大会に続く形で、手を挙げた長春やハルピンを断念させ、
> > 開催地として旧満州より不向きな北京を選んだのは、何か中国国内での事情があるのでしょうけど。
> > (もしも満洲国が存続していたら、新京五輪とかあったんですかねえ?・笑)

> 中国人は激しいほど満州民族に憎悪の念を抱いていますからね。
> 約300年もの漢民族の忍従と日本の傀儡国家の材料にされた民族ですから。

北京の冬季五輪招致の件と、満州族の事は、何の関係性も無いですよ・・・・
そもそも現在、満州族は実質的に漢民族とほぼ同化し切っており、
満州語を母語とする人は、既に数十人に過ぎなくなっています。
日本で言えば、アイヌの同化具合とほぼ同じくらいでは無いでしょうか?
確かに戸籍の統計上だと、満州族の人口は1000万人を超えていますが、
これは近年の少数民族に対する優遇政策により、進学や就職で有利に働く面があるので、
自身のルーツに満州族が含まれる人が、そちらの民族で登録する事が急増している為であり、
未だに満州族の言語や文化を色濃く残しているのは、清王朝がウイグルを征服した際に、
辺境駐屯を命じられたシボ族の末裔くらいですね(分類上は満州族と分けて別の少数民族扱い)。

まあ、この民族ルーツとしての満州族にしても、
300年に及ぶ清朝の中国統治によって、既に混血・同化していた面もあるのですが、
それだけでなく、建国以前に統治下に入った漢民族までも、清朝滅亡後は満州族扱いでした。
なので、一般的にイメージされる純粋な満州族と言うのは、100年前の時点で既に少数しか居らず、
日本が傀儡国家として建国した満州国にしても、住民の9割近くが漢民族であり、
(残りは大雑把に、満州族6%、朝鮮人4%、モンゴル人3%、日本人2%)
日本側も、満州地域に住む漢民族と満州族を一括りにして「満州人」と呼び、
漢民族が話す北京語の事を「満州語」と呼びました(もちろん満州族の満州語とは別言語)。
ですから満州国だからと言っても、満州族自体が特に利用対象となった訳ではなく、
人口こそ少ないものの、集団しての勢力を保っていた内蒙古のモンゴル人の方が、
満州国(日本側)の政策としては、却って満州族よりも重要視されていたくらいです。

また、中華文明の特色を考えた場合、「300年もの忍従」というのも少し違っていて、
周辺の異民族に征服される事でその文化を取り込む一方で
逆に征服した側の異民族を文明的に同化して、結果的に中華圏は征服される度に拡大し、
それは満州族の清王朝においても例外ではありませんでした。
まあ、歴史的には最後の征服王朝なので、物語として脚色される事はありますけど、
今後も中国で、チャイナドレスや満漢全席が捨てられる事は無いでしょうね(笑)。
この辺の感覚は、大陸と島国とでは大きく異なりますよ。

> > 近代までは、統治者は代わっても、住民がこうした目に遭うのは少なかったものの、
> > これが「国民国家」という概念が定着した現代の負の側面ではありますね。
> > 国境線が大きく変化した2度の大戦の後には、そのような悲劇が各地で繰り返されましたからねえ。

> そういえば、ゲーム的にありそうですよね。
> 人権団体の苦情が出るかもしれませんが、現代版系に民族浄化コマンドとかで、
> 場所の本国化(もしくはそれに近くなる)と引き換えに、支持率低下、人口減少、経済パラメーター減少、平和度減少などが付くという。
> そして支持率を上げるために報道操作とか。

近世における世界規模での海上交易時代では、香辛料や農作物だけでなく、
奴隷や麻薬というのも重要な交易品の1つでした(南蛮貿易でも日本人奴隷がありましたし)。
まあ、メーカー市販のゲームだと、この辺を表現するには困難だと思いますが、
(コーエーのゲームでも、大航海時代から奴隷が消え、帝国時代から慰安コマンドが消えました)
ここのように個人で作る分には、認識や覚悟次第の話でしょうね。
とは言え、掲示板などで提案を受ける時には、史実を真摯に描く為の提案と言うよりは、
単にタブー視されている事柄を遊びで用いたいという、安易な要望が多い印象を受けますが・・・・
逆にだからこそ、民族浄化や同化政策、植民地政策などを、敢えて忠実に表現してみるのも良いかも?

> > そうですね、1マスに都市が配置される形で、
> > 空いてるマスにプランテーション農地などが作れれば、
> > 奴隷を輸入してでも、新大陸で開拓を行いたい衝動に襲われるかも?(笑)
> > そういう意味では、植民地拠点としての新都市や港湾の建設が出来ても良いでしょうね。

> そういう「歴史的植民地経営ゲーム」って有料無料関係なく、少ないですよね。
> (シヴィライゼーションもそれっぽいですがなんか違う)

それこそ、「シヴィライゼーション」の作者であるシド・マイヤーの作品に、
その名もずばりの「コロナイゼーション」というゲームがあります。
まあ20年も前の古いゲームですが、一部に熱狂的なファンがいる為、
有志たちが独自に発展させた「FreeCol」という無料ゲームも存在しています。
あと、ボードゲームにまで範囲を広げれば、植民地経営を扱うモノも多くありそうですけどね。

> > 西インド諸島を細かく設定するのであれば、
> > イスパニョーラ島もドミニカとハイチに分けたい所なんですけどね。
> > 以前、この掲示板にも顔を出されていたFlash仲間の若狭さんによる、ハイチ独立↓の作品もある事ですし。
> > https://web.archive.org/web/20050327053003oe_/http://zyakusui.web.infoseek.co.jp/flash/haiti.swf

> 七年戦争あたり編の中央アメリカ連邦みたいな?

ナポレオン戦争とその後のゴタゴタで独立した中央アメリカ連邦の独立と、
フランス革命の延長として起こったハイチの独立とでは、時代も性質も異なりますし、
七年戦争に至っては半世紀以上離れており、「あたり」と表現するのは適当じゃないかと。
まあ「環大西洋革命」の始まりと終わりと言う点では、連続性があるとは言えるものの、
日本史なら「明治維新あたり」と言って「太平洋戦争」を語るくらい、時代的に離れていますので。

> > また、今までとは趣の異なる感じで、数百年とか千年という、
> > 長期的な時間の流れを対象にするゲームも作りたいんですけどねえ・・・・

> ゲーム的にはプレイヤーはナントカ伯みたいな感じですか?
> しかし、それこそ数百、数千人単位のゲームになりそうですが。

別に、そういう事にはなりませんよ。
赤い嵐にしても陸地エリアは200個ありますが、200人のプレイヤーが必要な訳ではありません。
欧州の封建制における爵位と言うのは、日本で言えば「○○守護」とか「××探題」に近いモノで、
基本的には領地単位ごとに「○○公」や「××伯」など、統治者の官職が定められており、
各家が特定の爵位を持っているように見えるのは、単に領地が世襲化されているからに過ぎず、
実際には、1つの家で複数の「領地=官職(爵位)」を持っている例は実に多いです。
誤解を恐れず簡単に言ってしまうと、西欧の爵位は家ではなく領地に付属している訳ですね。

例えばハプスブルク帝国というのは、神聖ローマ皇帝位だけでなく、ハンガリー王位やボヘミア王位など、
数多くの統治権を、ハプスブルク家の当主が1人で兼ねていた同君連合でした。
日本史で言えば室町期の細川家が、幕府の管領職や摂津・阿波などの守護職を兼ねていたようなモノです。
ただ欧州の場合は、複数の王国などが共存する世界だったので、封建制の仕組みが日本より複雑で、
例えばプランタジネット家は、ノルマンディー公としてはフランス王の臣下でしたが、
同時にイングランド王としてはフランス王と対等でしたし(百年戦争もこの複雑な関係が遠因)、
フランス王国と神聖ローマ帝国にまたがる領地を持つヴァロワ=ブルゴーニュ家は、
フランス王の臣下であると同時に、神聖ローマ皇帝の臣下でもありました。
日本の「御恩と奉公」のような1対1の主従関係ではなく、
複数の主従関係が複雑に入り組む社会だったからこそ、欧州では「契約」という文化が発展した訳ですね。
(まあ日本でも戦国の農村だと、年貢を半分ずつ払う「半手」という大名両属の仕組みがありましたが)

> > > 例えば、長い歳月をかけて地盤を固め、その国の王位を狙ってみたり、
> > > 政略結婚により他国の姫との間に生まれた世継ぎが、姫の出身国の継承権を得たり、
> > > 遠方の領地を効果的に統治すべく次男や三男を派遣したら、代替わりよって独立国化したりなど、
> > >  家と領地の系譜を作り上げていくというのも、きっと面白いと思うんですよ。

> > 歴史を紡ぐゲーム、というのはおもしろいですね。

> まあ、歴史ゲーム(プレイヤーが歴史の一ページ)というのも、
> そうそうありませんから。
> 私が知っているのでは歴史隆々(※歴史観戦ゲーム)くらいしかありません。

歴史隆々さんですかぁ、懐かしいですねえ。
「乱世到来」や「歴史SLG」といった議論系の掲示板が活況を呈していたのは、
今からもう15年以上も前の話なんですよねえ・・・・
ネットをするには相応の出費が必要な時代でしたし、私も当時は最年少に近かったかも?
現在のようにネットが普及しておらず、絶対数は少なかったですが、内容は濃かったです。
・・・って、ここでは全然関連性の無い話ですけどね(笑)。

失礼ながら、文章を読まずに単語だけ拾って返信されている印象を受けますが、
ここで語っている内容は、武将の一代記といった数十年規模の一般的な歴史ゲームに対して、
王朝を主題とするような数百年規模の歴史ゲームがあっても良いという話をしている訳で、
別に「歴史隆々」のような神の視点で歴史を眺めるゲームを語っている訳ではありません。
そういう方面であれば、コンピューター上で数学的に生態系を疑似シミュレートする
「人工生命」などの方が、個人的には好みですしね。
物凄く初歩的なモノは、このサイト内でも企画コーナーに「ライフゲーム」があります。
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Yoyo/9179/life_game/life_game.html

> > > 中世ヨーロッパなら一発逆転の要素も多いでしょうし、
> > > トップに君臨していても安心できませんからね。
> > > 東ローマ帝国や、それを滅ぼしたオスマン帝国のように、
> > > プレイヤーが国家としての長い歴史を保っていくというのはロマンがあります。

> > でもまあ、そうなれば「フランス王位」や「神聖ローマ帝位」などの器は同じでも、
> > 中身は完全に架空世界のストーリーになっちゃいますけどね(笑)。

> 本当にナントカ家を永遠に見続けるだけのゲームですね。
> 私そういうゲーム好きなんで。

そういうのは多人数ゲームよりも、1人用ゲーム向きですね。
多人数ゲームの重要ポジションを占めながら、そんな感じでボーっとしていると、
それだけで他のプレイヤーに悪影響を及ぼすので、批判の対象となりますから(笑)。

> > 逆に、史実から極端に逸脱しない方向性を考えますと、
> > 国家の枠組みがほぼ出来上がった近世以降が対象になるでしょうが。

> 余談ですが、何も王家にしなくとも、
> 聖職者、大商人、大地主、冒険家などもいいでしょうね。

現在では過疎っている「銀河凡将伝説」などは、まさにそんな感じのゲームで、
軍人・政治家・商人・信者に分かれ、それぞれの出世や陣営勝利などを目指す為、
各プレイヤーの様々な思惑や陰謀が重なり、とてもカオスな展開を見せていました(笑)。
でもまあ、あれは最低でも50名くらい参加者が居ないと成り立たないゲームでしたので、
今ではゲーム要素をフルに引き出してプレーする事も困難でしょうね・・・・
各役割ごとに別システムのゲームであり、それがデータを共有している仕組みですから。

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