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[19704] 明治と現在の司法権の独立返信 削除
2015/11/14 (土) 00:29:28 徳翁導誉

> つまり、「違憲だけど反発は改憲より少なそうな解釈変更。」を
> 世法的手続きの面では正しいけれども論がさらに紛糾するであろう憲法改正に優先させた

「憲法改正は困難だから諦め、解釈改憲で乗り切る」のであれば、まだ理解できるのですが、
「憲法改正の前振りとして、まずは安保法制」という方針には、正直、疑問符が付きます。
今回の安保法制の一件で、憲法改正の実現性自体は遠のいたように思えるので。
有り得るとしたら、集団的自衛権の影響で危険度が急激に増した場合、
国民の危機感も高まって、憲法改正に繋がるような流れでしょうか?
でもそれって、根本的な国益の面で言うと、マイナスでしか無いんですけどね。

例えば朝鮮有事に関しても、既に周辺事態法により一歩踏み込む状態になっていたとは言え、
とりあえず個別自衛権のみであれば、北朝鮮からの攻撃を受けない限りは参戦不可能でしたが、
集団的自衛権を認めた事で、現実的には韓国側で自動参戦するような形になるでしょうし、
少なくとも北朝鮮側はそう捉えると、日本本土が先制攻撃を受ける可能性は高まったんですよね。
しかし、もしもミサイル攻撃を受けて多数の国民が死傷する事態になっても、
その時に責められるのは安倍首相ではなく北朝鮮であり、国民側も強硬な対抗策を欲すると。
実際、民主党政権時に起きた尖閣の一件にしても、中国側からの示威行動があったにせよ、
経験不足から来る政権運営の稚拙さと、前原外相の政治的暴走により、対応を誤り、
ぶっちゃけ日本側から炎上させたようなモノなのですが、それを責める国内世論の声は少なく、
却って国民の間に中国に対する危機感と嫌悪感が広まり、日中関係も深刻化させたんですよね。
日中間の口約束を無視した強硬姿勢がこの事態を生んだのに、政府は弱腰と非難されましたし。

> そう考えると日本って明治のころからあまり変わってないんですかね。
政府側が政府の望むような展開を欲するのは、時代に関係なく、
当たり前と言えば、あまりに当たり前の事だと思います。
しかし、「司法権の独立」という観点から語るのであれば、
現在でも明治と変わらないと言うより、現在は明治よりも後退したと言えるかと。
それこそ前述の大津事件などは、政府側の意向に抗して司法の独立を通しましたけども、
果たして現在の最高裁が、今回の安保法制に対して違憲判決を下すでしょうか?

外国船から清国人苦力を奴隷として解放した「マリア・ルス号事件」もそうでしたが、
新たな概念として「司法権」を取り入れたばかりの明治の日本は、
それこそ、三権分立の理念に対して忠実すぎる程に忠実だったと思いますし、
一方で、敗戦によって実質的にアメリカの影響下に組するようになった戦後の日本では、
「砂川事件」に代表されるように、公権力側の意を汲む姿勢が強いように感じます。
憲法的には戦前よりも戦後の方が、司法権の独立性は強まっているはずなんですけどね(笑)。
まあ結局、確かに器となるシステムは重要ですが、最終的には運用次第であると・・・・
理念を通して融通が利かないのは困り者でも、融通ばかりグダグダになるのは最悪ですし。

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