▽ 2016/10/21 (金) 01:07:29 ▽ ほのぼのさん |
| 超長文、読ませていただきました。
改めて、徳翁導誉さんの博識ぶりに感嘆しております。
ほんと、サブカルチャーから歴史まで、様々な分野を深く深く知り抜いておりますね。
> そう言えば、ほのぼのさんはアニメやゲームなど、サブカル方面への関心はどうでしたっけ?
> あまり詳しくなかった場合、バンバンと作品名を挙げて話しても、きっと困らせてしまうでしょうしね。
サブカル方面についていえば「ライト層」といえるかと思います。
世間で話題になっているようなエヴァもまどマギも一通りは観ていますが、
徳翁導誉さんに挙げていただいた作品で全然知らなかったものも結構ありますね。
> (もし未見でしたら、攻殻SACシリーズはオススメしておきます。私の中でも歴代6位のアニメ作品なので・笑)
攻殻SACシリーズは確か見たことなかったので、今度見てみたいと思います。
そもそも攻殻機動隊も昔見たのですが、内容はだいぶ忘れてしまいました・・・
徳翁導誉さんの歴代1位〜5位も是非ぜひ知りたいですね!
さて、せっかく書いていただいた超長文にお返事していきたいところですが、
まずは「五色の虹」を読み終わったので感想から。
いやはや素晴らしいノンフィクションでした。
建国大学への著者の熱意と執念が、卒業生の奥底に鋭く切り込むような取材につながっているかと思いました。
読み応えのある本を紹介していただきありがとうございました。
この本を読んで感じたことを一言でいうと、「人間賛歌」でしょうか。
戦時中や敗戦直後、在校生や卒業生は様々な窮地に立たされますが、
そこからの「生」への執念の凄まじさに圧倒されましたね。
それは敗戦後に日本政府の庇護がなくなって裸同然に放り出された日本人卒業生だけではなく、
在学中にスパイ活動をしていた楊増志についてもあれだけの日本憲兵の拷問の中で
希望を捨てずに生き延びたのは、常人では到底成し遂げることができないことかと思います。
(本の中での楊増志に対する拷問は、それほど身の毛がよだつものでした。)
国籍を問わず、人間はどれだけ苦境に立たされても希望さえ失わなければ生きていくことができる、
建国大学卒業生はそう訴えているような気がします。
そして、この本を読んで痛感したのが、「青春時代を共に過ごした絆の強さ」でしょうか。
桑原とジョージという日本人同士の絆、ロシア人卒業生のスミルノフの日本人同期への思い、
建国大学卒業生の同窓会の結束の強さからも、青春時代に過ごした建国大学での日々というのは
卒業生の中に一番強く残っているのだなあと感じました。
昔学校で「満州国は五族協和を理念としている」と習ったときに、
日本民族、朝鮮民族、中華民族は分かるが、なんでモンゴル民族やロシア民族が入ってくるんだと
疑問に思っていました。モンゴル民族やロシア民族は満州とはそれほど関係ないし、
そもそも同時の満州でどういった位置づけかも分からないままでした。
それが今回この本を読んでモンゴル人やロシア人も建国大学で真剣に学んでいたことを知り、
どういうバックグラウンドでモンゴル民族やロシア民族が満州と関わっていたかがおぼろげながらに分かってきました。
この本によれば、モンゴル人やロシア人の卒業生は日本に対して憧れと尊敬の念を持っているんですよね。
それに対し、建国大学の理念として「民族協和」をどれほど唱っていたとしても
朝鮮民族や中華民族の建国大学生は、根底には「傀儡の日本に対する敵意」がありましたね。
そういう意味では、著者も文中で触れていますが、どれほど異民族の融和を理念として掲げても、
それぞれの民族のアイデンティティが各個人の根底にある以上、民族主義的なところから
完全に超越するのはどれほどの教育をもってしても無理なのではないかと思いました。
建国大学は、昭和期に入った旧大日本帝国ではありえないような「言論の自由」が保証されていたようですが、
この「言論の自由」を掲げた目的は何だったんでしょうかね。
もちろん表向きは「民族協和」のためだったんでしょうが、当時の日本軍部がそんな甘っちょろいことを
大々的に認めるのもおかしいかと思いましてね。
思うに、この「言論の自由」は、将来に国の中枢を担うべき日本人学生が、
「植民地支配のツール」として、他民族の性格や習性を学ぶためのものだったのではないでしょうか。
当時の朝鮮や満州のような植民地では(満州もあえて植民地と書きます)、朝鮮民族や中華民族は
支配層である日本民族に従うしかなかったが、それだけではかれらの国民性を知ることができない。
それでは反乱等のいざというときに適切な対応を取ることができない。
そこで、言論が自由となる場で、朝鮮民族や中華民族等の学生に本音を吐かせることにより、
日本人学生が他民族の国民性を肌で実感できる場が建国大学だったのではないでしょうか。
日本が敗戦しなければ建国大学の卒業生はおそらく満州で権力の中枢を握ることになったのでしょうが、
その際に建国大学で学んだ他民族の国民性が植民地支配の際に役立つことになったと思います。
ともあれ、戦後70年を過ぎ、卒業生もほとんどが90代に入ろうとする中で、
これだけの肉声を集めたのはとても価値あることであると思いました。
著者の熱意と執念には頭が下がる思いです。
あと10年もすれば戦争時代もほとんどが鬼籍に入り、こういった満州の物語も
完全に「歴史」になってしまうかと思うと、このタイミングでこの本を読めたのはとても良かったです。
> ▼ 三浦九段、ソフト不正使用疑惑で竜王挑戦権を剥奪
> う〜ん、タイムリーな話題と言うか、何だか大変な事になってきましたねえ・・・・
>
> 『将棋・竜王戦の挑戦者変更=三浦九段の出場取り消し』
> http://www.jiji.com/jc/article?k=2016101200900&g=soc
> 『スマホで将棋ソフト使い不正か 三浦九段「ぬれぎぬ」』
> http://www.asahi.com/articles/ASJBD6GMGJBDUCVL02R.html
>
> 時代が時代ですので、こうした問題が生じる事自体は想定の範囲内でしたけど、
> その1人目となったのが、当時タイトルを独占していた羽生七冠からタイトルを奪取し、
> 電王戦では大将として東大GPS将棋と戦った、トップ棋士の1人である三浦九段ほどの大物で、
> しかも、将棋界最高峰のタイトルである竜王への挑戦権を剥奪される所まで行くとは・・・・
> (一応形式的には、竜王戦への休場届けを出さなかった事に対する処分らしいですが)
>
> で、ここまでやる以上は、相応の証拠が挙がっているのかと思えば、
> 現時点で挙がっている情報だけでは不十分な印象で、本当に今後どうなって行くのでしょ?
> 「不自然な離席が多い」というだけでは、証拠としては明らかに不十分でしょうし、
> 「ソフトとの一致率が高い」という事なら、棋譜は公開されてる以上、既に証拠が出ているはず。
処分に対する三浦九段の抗議文と、今週発売の文春、新潮まで読みました。
三浦九段がカンニングをやっていたかどうかについては、両者の言い分が真っ向から対立する上、
白黒はっきりしないことからも、今のところ真相は分からないですね。
棋譜とソフトとの一致率とかもいろいろ調べられているようですが、あくまで状況証拠に過ぎず、
決定的な物証がない以上は、三浦九段がソフトを使ったかどうかは(本人以外は)今のところ誰も断定できないことかと思います。
一方、竜王戦の挑戦者差し替えという将棋連盟の処置も、このような状況では仕方ないといったところでしょうか。
それこそ、竜王戦の最中やもし三浦九段が竜王位を奪取した後に、文春砲がさく裂していたら
取り返しのつかないことになっていたでしょうし。
しかしながら、このような事態が発生するまでスマホの持ち込み禁止等の対局ルールを整備してこなかった
将棋連盟には大きな落ち度があるかと思います。
スマホの持ち込み禁止を規定しようとしたときに棋士会の反対があった等、
すぐにはルールを作ることができなかった事情があったのでしょうが、
A級トップ棋士のソフトカンニング疑惑というのは、将棋界全体へのダメージが大きすぎます。
おそらくは「棋士はカンニングをしないという性善説」で動いていたのでしょうが、
人間よりも強いソフトが身近な存在になった以上、そういう牧歌的な考えはだいぶ前から許されなくなってきたのに
そのような時代の流れについていけなかったのでしょうか。
席を外すといった今までは当たり前の行為も、これからは厳しく規制をかけていかなければならないでしょう。
技術の進歩というものは、昔の大らかな習慣から人々をギチギチに縛っていくというのも皮肉なものです。
> 三浦九段の出方次第では、将棋界に大きな波紋を生じさせるでしょうし、
> 12月から始まるスマホの持ち込み禁止も、どこまで取り締まれるか甚だ疑問ですよね。
> コンピューターがプロ棋士以上に強くなったかも知れない事よりも、
> こうした不信感が生まれる事こそが、プロ棋士の存在意義を脅かすような気がします。
ほんと、この問題の落としどころを将棋連盟は見えているんでしょうかねえ?
少なくとも今のままだと対局中に棋士同士が暗黒疑心になってしまいますし。
(http://www.sankei.com/west/news/161020/wst1610200032-n1.html)
もし三浦九段の謹慎が来年頭に解けたとして、他の棋士たちはどう迎えていいかわからないでしょうし。
そもそも三浦九段が白だった場合や黒を完全に証明することができなかった場合に、
うやむやに終わらせることはできないでしょう。
今後の成り行きを見守りたいところですね。
他の話題についてはまた後程。 |
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