| ▼ フランス議会選挙&今後のマクロン政権
> > フランス議会選挙については、まあ、「共和国前進」が強かったと感じます。
> > FNもあまり議席を取らなかったですし、共和党・社会党共ダブルスコア以上で負けているので数的には安泰でしょう。
> > ただ、閣僚人事が気になりますね。
> > 350議席も私としてはもっと取っていいはずだとも思いましたから、先行き不安な面も少しあります。
> それでも安定多数ですから、大丈夫だとは思いますが…。
> ただ、日本では衆院で与党が2/3取っていますからね。それを考えると、もっと欲しい気も?
まあ日本の国会ですと、衆参両院の議決が異なった場合には、
衆議院「3分の2」以上で再可決が可能というルールがありますから、
そこを満たす為の大勝に価値が出てきますけど、これは世界的にも珍しい制度ですからねえ。
例えば、他のG7諸国の上院(日本だと参議院)を見てみると、
アメリカやイタリアは、下院(日本だと衆議院)とほぼ同じ権限を持ってますし、
イギリスやフランスは、両院による調整が不発だと、下院の議決が優先され、
カナダでは、法的にはほぼ同権ですけど、運用によって下院の優越が実施されてます。
ちなみにドイツは少し独特で、各州政府と連邦政府の調整機関みたいな感じです。
要するに日本以外だと、過半数以上の議席獲得に、そこまで大きな意味は無いという事ですね。
もちろん、「国民の信任」の度合いを表す意味で、圧勝にも意味があるかも知れませんけど、
今回のフランス議会選挙の投票率は、1回目が48.70%で、2回目が42.6%でしたからねえ。
前回の57.2%→55.4%、前々回の60.4%→60.0%と比べても、棄権者が増えて5割を切ってますし、
(日本の住民投票でも、投票率が5割を切ったら無効という例は多く、やはり1つの目安です)
マクロン新党がもっと議席数を増やすとしたら、固定票の更なる棄権増加が求められる為、
仮に、見た目の議席数が増えたとしても、信任度のイメージは却って低下してしまうかも?
> > マクロン氏には素質はあると思いますが、労働政策が引っかかりましたね。
> 完全に新自由主義ですね。規制緩和、民営化ですよね。
> 確かマクロン氏自身、トニー・ブレア元英国首相(労働党)を尊敬している、って言っていましたね。
> その上で他民族などを受け入れる、という考えですよね。
> と、考えると、政策は(政治コンパス的には)リベラル右派ですね。
政治思想的には左翼だけど、経済政策は新自由主義という、リベラル右派の政治家にとって、
イギリス元首相のブレアというのは、代表的な成功例という存在なんでしょうね。
確か、イタリア前首相のレンツィも、尊敬する政治家としてブレアを挙げていた気がします。
3年前、マクロンと同じく39歳の若さで首相に就任したレンツィは、
人気と自信を背景に、新鮮味はあるが経験に欠ける人選で組閣し、
競争力のアップや社会保障の削減などの政策を、スピーディーかつ強行の実施。
(日本の政治家だと小泉進次郎が36歳ですから、マクロンもレンツィも本当に若いですね)
まあ成果自体は賛否両論でしたが、自信過剰だったのか、手詰まりだったのか、
昨年末に、なぜか憲法改正の国民投票というギャンブルに出て、結果は敗北・・・・
首相は引責辞任して、劇場型のネット民主主義政党「5つ星運動」の更なる台頭を許すと。
しなくて良い勝負に出て、しかも負けたという点では、イギリスのメイ首相に先んじてましたし、
今の所、フランスのマクロン新大統領が進んでる道をも、先んじているんですよね(苦笑)。
あとはマクロンが、レンツィよりも優秀である事を祈るばかりでしょうか?
ただイタリアの場合、上下両院が同権な上、共に比例代表制ですから、制度的に混迷必至ですけど、
今回のフランスは、大統領職も議会もマクロンが握っているので、その点ではかなり有利かと。
独裁批判さえクリアできれば、結構やりたい放題に出来る体制が整っていますし。
> 因みに外交的には親米派ですよね。
う〜ん、マクロンはフレンチ・アメリカン財団の会長職にあった人物ですし、
アメリカ人たちから、「ウチの国の大統領より英語が上手い」と褒められているので(笑)、
歴代のフランス大統領の中では、確かに「親米派」に属する人物かも知れませんけど、
そもそもフランスは「独自路線」が国是なので、日本人がイメージする親米とは、かなり違うかと?
冷戦中は、過度なアメリカ依存を嫌って、NATOの軍事部門から離脱し(完全復帰は2009年)、
地政学的なパートナーであるソ連とも一定の関係を維持したのが、フランスという国であり、
イラク戦争の時にはドイツと手を組み、アメリカ&イギリスの軍事攻撃に反対しましたからねえ。
ちなみにマクロン自身も、トランプと初対面の場になったNATO首脳会議では、
両手を広げてハグをしようとしたトランプをスルーして、真っ先にメルケルの元へ行き、
各国首脳との挨拶を終えて、一番最後にトランプと握手した際には、
強く握って相手を威圧するトランプ流の握手に対し、逆に強く握り返して返り討ちにしてました。
そして、アメリカがCO2対策のパリ協定から脱退を表明した際には、
トランプの決まり文句である「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」をもじり、
「Make Our Planet Great Again(私たちの星を再び偉大に)」と演説して、
アメリカの気候研究者が職を失う事があれば、フランスが雇い入れると表明しましたからねえ。
歴代のフランス大統領のように、アメリカに対する対抗意識とかは乏しそうですけど、
まずはEU重視で、ドイツとの関係を最優先し、アメリカとは仏独の共同歩調で是々非々に対応かと?
ただ、イスラエルに対して好意的である一方、ロシアに対して距離を取るスタンスなので、
娘夫婦がユダヤ教徒であり、親イスラエル政策を深めようとするトランプ政権にとっても、
中東問題においては、マクロン政権とも上手く協力して行けるかも知れません。
しかし、無節操で身勝手で国益第一が伝統であるフランス外交からすると、
単純明快で少し心配な気はします(サルコジみたいに無思慮なのは更に困りますけど・苦笑)。
でもまあ、個人的な印象だとマクロンには、そこまで国際政治に深い関心は無いような・・・・
一方で、自信家で目立ちたがり屋だとは思うので、変なタイミングで首を突っ込む危険性も?
あと、日本との関係で言うと、日産と三菱を傘下に収めるルノー社の株式を、
フランス政府は2割持ってますので、マクロン改革が日本に影響するとしたらこの辺でしょうか?
▼ 東京都議会選挙&今後の小池都政
都民55・公明23・自民23・共産19・民進5・生活ネット1・維新1 (計126)
いや〜、追加公認も含めて、都民ファーストが55議席も取るだなんて、
仮に大勝したとしても、正直、ここまで圧倒的になるとは思ってませんでした。
都議選は中選挙区制ですから、自民党が大敗を喫したとしても、
流石に30議席は割らないだろうと見てましたけど・・・まさか6割減の23議席とは!?
今後の政局で仮に公明と組み直しても、自公で過半数に及ばない程、完全なる惨敗でしたね。
また、公明党は7回連続の全員当選という事で、現在の所、その組織力は相変わらずだと再確認。
あと、共産党が議席を増やしたと言うのも、個人的には意外でした。
共産党というのは、与党も野党第一党も人気が無い時の、批判票の受け皿であり、
まさに前回はそんな感じで、既に8議席から17議席に膨れてる状態でしたから、
都民ファーストがある今回は、きっと議席数を減らすだろう見てましたので。
そして、もう1つ意外だったのが、民進党がまさかの2議席減で踏み止まった事(笑)。
都民ファーストへの離党ドミノで、選挙前から既に死に体だった為、
「下手をすれば、都議会から姿を消すんじゃ?」という程に、存在感は薄かったですし。
で、議員の任期が4年という事は、このメンツで都議会は東京五輪を迎えるんですね。
知事職も議会も押さえて、残された3年間に対しての「自由裁量権」を与えられた訳ですが、
今後それをどう使っていくのか、本来なら見物ではあるのですが・・・どうなるんでしょうね?
国際的な都市間競争が行われる今の時代に、五輪開催という旗印と大義名分を掲げて、
1都市でカナダ1国に匹敵する東京都を、思うようにデザインできるとなれば、
意欲ある政策家には垂涎のポジションなんですけど・・・国政へのステップに使っちゃうのかな?
まあ、国政進出となれば、政党交付金の関係で年末までの結党が必要ですから、
あと半年もしない内に、その答えは恐らく明確に見えてくるのでしょうけど。
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