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[21527] 将棋界の一番長い日 2018返信 削除
2018/3/8 (木) 19:47:46 徳翁導誉

名人への挑戦権を賭け、1年に渡り行われたA級順位戦の最終一斉対局。
通称「将棋界の一番長い日」が、先週の金曜日に行われましたが、
いや〜、今年は過去に例がない程の激しい1日になりましたねえ!!
そして、1年半前に始まった「将棋ソフト不正騒動」も、これで1つの区切りが着いたかも?
あの騒動は当時、ここの掲示板でも結構話題として扱ってきましたので、
一段落という意味でも、記録がてらに、少し書き残しておこうかと思います。
http://tokuou.daiwa-hotcom.com/cgi-bin/kjb/kjbn.cgi?tree=s20420#20420
http://tokuou.daiwa-hotcom.com/cgi-bin/kjb/kjbn.cgi?tree=r20677

まず始めに、最終局の対戦と成績は以下のような具合でした。
 久保(6勝3敗) × 深浦(4勝5敗)
 豊島(6勝3敗) × 広瀬(5勝3敗)
 羽生(6勝4敗)   対局なし
 稲葉(5勝4敗) × 行方(3勝6敗)
 佐藤(5勝4敗) × 屋敷(2勝7敗)
 三浦(3勝6敗) × 渡辺(3勝6敗)

A級順位戦は、名人タイトル保持者を除くトップ棋士10名による総当たり戦なので、
本来であれば、対局のない空き番とかは無いのですが、
昨年度は、不正疑惑を掛けられた三浦九段が、出場停止処分により不戦敗を強いられた為、
本年度は、救済策として三浦をA級に残留させ、異例の11名による順位戦となっていました。
その為、例年だと下位2名がA級に降格する所が、今年は下位3名が降級する事となり、
告発を行った渡辺と、疑惑を掛けられた三浦が、最終戦でA級残留を賭けて直接対決する展開に!!
何かもう、これだけでも出来過ぎたシナリオなのですが(笑)、
名人への挑戦権を賭けた1位争いの方も、最終局の結果次第では、
上位陣の勝ち数が並び、最大で6名のプレーオフとなる可能性がありました。

そんな状況で始まった、2018年の将棋界の一番長い日。
まず最初に決着したのは、「広瀬×豊島」戦でした。
この一戦に勝利すれば7勝となり、挑戦権獲得に近付けた豊島でしたが、
数ヶ月前までの好調が嘘かのように不調期へと陥り、あっさり敗戦となりました・・・・
続いて、「稲葉×行方」戦では稲葉が、「佐藤×屋敷」戦は佐藤会長が勝利し、
何とこの時点で、全対局を終えた稲葉・広瀬・羽生・佐藤・豊島の5名が6勝で並び、
一方で、行方・屋敷のB級降格が決定して、降級者はあと1名という展開になりました。

その後、時計の針が午前0時を過ぎ、日付けが変わっても続いている対局は、
「久保×深浦」戦と、「三浦×渡辺」戦の2つを残すのみという状況に!!
可能性あるパターンは、以下の4つになりました。
 ○久保×●深浦 ○三浦×●渡辺 なら、挑戦者は久保。降級者は深浦。
 ○久保×●深浦 ●三浦×○渡辺 なら、挑戦者は久保。降級者は三浦。
 ●久保×○深浦 ○三浦×●渡辺 なら、6名の挑戦プレーオフ。降級者は渡辺。
 ●久保×○深浦 ●三浦×○渡辺 なら、6名の挑戦プレーオフ。降級者は三浦。

この順位戦のルールでは、もしも勝利数が並んだ場合には、前年度の順位が優先され、
救済処置でA級に残留できたとは言え、前年成績は最下位扱いとされた三浦にとっては、
冤罪による心身面のダメージだけでなく、条件的にも厳しい1年だったのですが、
復帰序盤の不調を乗り切り、「勝てば残留、負ければ降級」という所まで持ってきた訳です。
しかも相手は、その告発を行った張本人で、同じく降級の危機にあった渡辺ですから、
本当に痺れるような条件が揃っての一戦となり、結果、その勝負を制したのは三浦九段でした!!
プロ棋士側の大将として、600台以上のコンピューターを繋いだ東大の将棋ソフトを迎え撃ち、
そして敗れた あの5年前の電王戦の時から、個人的に応援する棋士の1人になってましたし、
あのような騒動に巻き込まれた件では、部外者な私でさえ、様々な感情が湧き起こしましたので、
勿論、実力が全ての世界ではありますけども、ともかく今は残留が決まって良かったと素直に思います。

こうして、あと残すは「久保×深浦」戦の一局となり、
久保が勝利すれば、自力で挑戦権獲得を決められて、対戦相手の深浦がB級降格。
逆に深浦が勝てば、自力で残留を決められて、降級者は渡辺となり、挑戦者決定は6名でのプレーオフ。
まあ個人的には、とにかく「三浦が残留できたら良いな」って事だけしたけど、
あの騒動の発端は、渡辺が抱いた疑念に、久保の事実誤認が加わって、暴走が生じただけに、
両名に対する厳しい声があるのも事実でしたからねえ。
「久保挑戦者&渡辺残留」か? 「6名プレーオフ&渡辺降級」か?
この残る一局の勝敗次第で、結果が大きく異なる状況でしたし、
対局自体が優勢と劣勢が激しく入れ替わる展開で、ネット上も異様な熱気に包まれてました・・・・
まあ私は私で、前代未聞の6名プレーオフを見てみたかったので、同じ結果を望んで居ましたが(笑)。

そして結果は・・・深浦が久保に勝利して、まさかまさかの「6名によるプレーオフ」が決定!!
それと同時に、「三浦残留&渡辺降級」という好対照な結果に、
日本勢のメダル・ラッシュに沸いた平昌五輪にも負けないくらい、熱狂の1日となりました。
まあ世間一般的には、ここ最近の将棋ネタとなると、
羽生さんの国民栄誉賞に、藤井くんのスピード昇進、そして2人の初対戦になるのでしょうけど、
この日の激闘を知らないというのは、何だか勿体ない気持ちにもなります(笑)。
(プロ野球に例えれば、「10・8」や「10・19」を見逃してる感じでしょうか?)
ちなみに、この挑戦者決定プレーオフ。
よくある一般的なトーナメント方式とは違い、かなり変則的なやり方でして、
同じ勝利数で並んでも、昨年度の順位に応じて、今年度の順位も付けられていき、
今回の6名プレーオフですと、まずは5位と6位が戦い、その勝者が4位と戦って、
更にその勝者が3位と戦い・・・という具合に行う方式なんですよねえ。
その為、対局開始前の段階では、既に6勝を挙げていた豊島&久保が一歩リードの状態でしたが、
この2人は昨年の順位が低かった為に、6勝で並ぶと一転して不利な5位&6位となり、
名人への挑戦権を獲得するには、今度は5連勝が必要な状況になってしまいました・・・・
しかも1ヶ月後には、本番である名人戦が始まるので、日程も本当にタイトになります。

更にはこの2人、王将戦の7番勝負を戦っている最中でして、
最終戦まで行った場合、この2日制の対局が今月中に3回もある訳で、
何だかもう、ご苦労様としか言い様の無い状況になっちゃってますね(苦笑)。
まあ今年度は、菅井が王位を、太地が王座を獲得するなど、
期待されてた20代の棋士が、ようやく初タイトルに辿り着いた1年でしたので、
その流れに乗り、残る王将と棋王のタイトルを、同じく20代の豊島と永瀬が初奪取すれば、
トップの顔触れが一気に若返り、2017年度は1つの転換点として記憶される事になるかも?
・・・って、そのすぐ後ろには例の天才中学生が、ひたひたと迫ってきてますけどね(笑)。

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