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[6327] Re:管理人さんへ返信 削除
2008/5/4 (日) 16:46:46 徳翁導誉

> それはいいんですけど
> 最近、「おめでとうございました」と言う言葉を聞きます。
> これは仮装大賞での欽ちゃんの発言なのですが
> 「ました」って、過去形じゃないですかね?
> 今起きたことは「ます」ですよね?
> 管理人さんの見解を聞きたいです。

これって要するに、発言者が対象を、
現在と捉えて話しているか、過去として捉えて話しているかの違いじゃないですか?

例えば、「先日は、ありがとうございました」と言い方に、
違和感を感じる人は少ないと思います。
では、「本日は、ありがとうございました」はどうでしょう?
「今日の出来事なのに過去形なのかよ」と感じる人もいるでしょうが、
その出来事の時点と、感謝を述べている時点とを、明確に分ける形での発言であれば、
同じ一日の出来事であったとしても、それは過去形で表現してもおかしくない。
「そもそも、感謝の言葉に過去形はない」と考える方も居ますが、
過去形は感謝の言葉自体にではなく、感謝する出来事に掛かるという解釈もできますし、
時制表現が大雑把な日本語では、「現在完了」としての過去形使用もあります。
ですので発言の主旨次第では、あながち間違えとも言えないと私は考えます。

また、敢えて過去形表現をする事により、未来へのスタートと捉える事もあります。
客が店を出る時に、「ありがとうございました」と言うのは、これなんでしょうね。
次の来店という未来的視点から、今回の来店を過去形として捉えると。
でもこれは、「今買ったばかりなのに、もう過去形かよ」と不快に感じる客もいるでしょうし、
「(今まで)ありがとうございました(もう来店しないで下さい)」という意味すら内包する・・・・
変な接客マニュアル表現が蔓延している現在ですが、
接客業を深く考えるのであれば、誤解を生むような表現も避けるべきなんでしょうけどね。

と、話がすこし逸れたので、元に戻しますと、
その「おめでとうございました」が、どういう状況で使われたかは分かりませんが、
恐らく、全ての仮装作品が演じ終わり、最後の表彰式か何かでの発言だと想像します。
で、演技中と表彰式とを線引きし、演技を過去のモノとして捉え、
祝辞の言葉をその「過去の演技」に対して掛けたのであれば、間違えでもないように思います。
例えば、スポーツでの試合直後のインタビューなどでもそうですが、
感想や分析などを語る以上は、プレイとインタビューとに時間的な線引きが行われ、
ほんの数分前の出来事であっても、過去形で話が行われますし。

とは言え、実際はそこまで考えての表現ではないんでしょうけどね(笑)。
想像するに、何人もの受賞を行う途中での表現でしょうから、
過去形を用いる事で、次の受賞へと移る事を明確に示そうという表現なんでしょうね。
表彰して、インタビューをして、最後に「おめでとうございます」という現在形の表現ですと、
その人と次の人との表彰が、区切りがあまり付かない形となります。
「これで終わりですよ」「次に移りますよ」と強調する為に、過去形表現を使うのでしょうね。
「締めの言葉」で過去形が使われたりするのも、そういう意味合いでの使用かと。

つまりは、この司会者(?)による「おめでとうございました」という言葉が、
メインの対象者を誰と考え、発せられた言葉なのかが肝となります。
そこは、テレビの司会者ですからねえ。
受賞者よりも、会場やテレビの観客を重要視して司会をするでしょうから、
そうした観客への「強調表現」としての過去形使用だったのだと思います。
しかし、これを受賞者視点で見る観客の場合は、「過去形かよ」と感じる人もいるでしょうね。
まあ表彰式を、「表彰者と受賞者」を中心に考えるか、
「見守る多くの観客」を中心に考えるかの違いかと。

結局、言葉とは、刻々と変わり正解のないものな上、
日本語は結構いい加減なので、いろんな意味で採れてしまうんですよねえ・・・・
でもそれが、言葉の表現としての面白さをも持つ訳で、
「俳句」という、たった17文字の詩が存在するのも、そうした日本語のあやふやさ故でしょうから。


って、「言葉」の素人である私の見解なんかを尋ねるより、
せっかくネットもある事ですし、プロの見解を探す方がより良い気もします。
と言う事で、探してみて見付けた、NHKの「気になることば」という番組から↓
http://www.nhk.or.jp/a-room/kininaru/2006/06/0608.html

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