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[16422] Re2:社会主義と共産主義の違い返信 削除
2012/6/29 (金) 21:14:01 徳翁導誉

> > そしてww2オンラインの冷戦戦場に参加するときにふと思ったのですがあのゲームは自由陣営と共産陣営の戦いです
> > しかし東西冷戦と言うときには西側は資本主義諸国だ、みたいなことを聞いた記憶があります
> > また、社会主義と言う単語も東側諸国に関連していたような記憶があります
> > ごっちゃになって現在頭の中がパニック状態です
> >
> > と言うわけで質問なんですが共産主義と社会主義
> > 資本主義陣営と自由陣営
> > 自由経済と計画経済
> > これらの意味、違いをわかりやすく教えていただきたいです

> こんにちは。大学で少し学んでいるのでご説明しますね。
>
> 西側陣営
> …アメリカを中心とした、資本主義経済体制を敷く国々のこと。
>  自由に物を売り買いできる市場を展開し、資本家が持てる資本を自由に使って利潤を取得できる経済体制が整っています。
>  また封建支配や専制政治に反対し、経済活動の自由を妨げるような国家の干渉を嫌う主張を「自由主義」と言い、資本主義国に
>  典型的な思想であるため、資本主義と同一視されることもあります。
>  基本的には、市場での需要と供給の均衡によって全ての商品の取引を成り立たせていこうとする思想と考えて良いと思います。
>  国家による管理経済を敷き、米国流の市場解放を受け付けず、また50年代辺りまではかなりの国力を持っていたソ連を敵視し、対決姿勢を鮮明にしていました。
>  但し、「自由主義」という単語の意味自体は、いわゆる「金持ちの経済的自由(古典的自由主義)」と「金持ち以外も含めた民衆全体の自由(自由民主主義)」
>  の間を揺れ動いており、一つに定まっていません。1950年代〜70年代は自由民主主義(ニューリベラリズム)の傾向が強くありましたが、
>  近年はフリードマンを中心とした古典的自由主義(新古典派、ネオリベラリズム)の勢力が巻き返しています(リーマンショックで再び自由民主主義派が逆転か)。
>
> 東側陣営
> …旧ソ連を中心とした、(いわゆる)社会主義経済体制を敷く国々のこと。
>  国家が生産工具を独占し、資本を一極化して生産を統制する管理経済(計画経済)を取っていました。
>  自由市場任せの経済では恐慌が起こるとの考えのもと、国家が物の生産計画を割り振り、その通りに全ての生産を行い、平等に分配を行うというものです。
>  当然、国家の管理が強過ぎたために政治的自由には乏しく、市場競争が抑制されたために生産力の向上も頭打ちとなり、
>  米国との競争で国力が限界に達して1990年代初頭に崩壊しました。
>  共産主義は、社会主義を唱えたカール・マルクスが、「一般的に言われる“社会主義”は私の考える社会主義と違う」ということで、
>  新たに共産主義という名称を付与したと言われています。
>  違いとしては、社会主義が「(労働者が生産手段を共同占有した上で)能力に応じて生産し、生産した分に応じて消費する」のに対し、
>  共産主義は「能力に応じて生産し、必要に応じて消費する」というものです。
>  但し、社会主義社会についてマルクスが記述している部分は少なく、「資本主義の次に来る社会」という程度の意味しかありません。
>  旧ソ連の社会主義は、言ってしまえば「自称」社会主義であり、現実には社会主義はまだ歴史上成立したことのない社会体制だと言えます。
>  というわけで、東側諸国の経済体制は正確には「国家資本主義」とでも言うべきものですが、それでも西側諸国の資本主義とはかなり形態の違ったもので、
>  西側と軍事的に対立していたこともあったために、東側陣営として明確に区別されていました。
>
> ざっくりとした説明ですが、こんな感じですかね。

う〜ん、もちろん、ライトラーさんの説明で正しいのですが、
「社会主義と共産主義の違いを、わかりやすく教えて」という方への説明としては、
専門用語も多く、ちょっと内容的に難しい気も・・・・
(と言いつつ、フリードマンの名前を出すなら、ケインズの名前も…とか思ったり・笑)
正確性を求めると、どうしても使用する言葉が難しくなるものの、
言葉が難しくて、それが理解の妨げになるようだと、正確性以前の問題になると思うので、
個人的には、分かりやすさを最優先して、よく例え話とかを用いますね。
正確性を求めるにしても、まずはある程度、内容を理解してからでも遅く無いでしょうし。

という事で、分かりやすさは私が担当して、更にザックリと説明しますと(笑)、
まず、「冷戦」時代と言うのは、「2大勢力」が対立した時代でして、
  超大国という枠組みであれば「アメリカ vs. ソ連」
  陣営国という枠組みであれば「西側諸国 vs. 東側諸国」
  経済面という枠組みであれば「資本主義 vs. 社会主義」
  社会面という枠組みであれば「自由主義 vs. 共産主義」
  軍事面という枠組みであれば「NATO vs. ワルシャワ条約機構」
という感じで、その対立軸ごとに、枠組みが分かれていた訳です。
要するに、どの対立軸で見るかによって、2大勢力の呼び方が変わるってだけですね。

続いて、「自由主義と資本主義」「共産主義と社会主義」「自由経済と計画経済」に関してですが、
詳しい説明は、ライトラーさんの書かれた説明に任せるとしまして、
誤解を恐れず、「簡単にわかる冷戦用語」として、ザックリと答えますと、
  「資本主義=市場経済」「社会主義=計画経済」
  「自由主義=市場経済+民主選挙」「共産主義=計画経済+一党独裁」
って感じですね(厳密に説明すると、もっと難しくなりし、微妙に違いますけども)。

で、今度は個々の単語について説明しますと、
「市場経済(自由経済)」は文字通り、市場の自由な売り買いで商品の値段が決まり、
「計画経済(管理経済)」も文字通り、政府などの管理によって計画的に値段が決まります。
例えば仮に、お米の標準的な値段が「10キロ3000円」だったとすると、
市場経済の場合、お米がたくさん取れ過ぎた豊作の年は、お米が余るので「10キロ1000円」に、
逆に、お米が全く取れない不作の年は、お米が足りないので「10キロ5000円」になったりします。
でもこれでは、豊作・不作で値段が変わるので、お米を食べる市民(消費者)は困りますよね?
ですので計画経済では、豊作・不作に関係なく、お米は「10キロ3000円」と決めてしまいます。
これなら市民は安心ですが、しかし一方で農家(生産者)は困ります・・・・
豊作になれば収入が増えますけども、不作になれば収入が減ったしますからです。
その為、計画経済ですと、管理する側の政府は農家に対して、
「豊作・不作に関係なく、あなたの作ったお米全てを500万円で買い取ります」って感じにし、
豊作の年は備蓄、不作の年は放出という具合で、流通するお米の量も調整します。

こう説明すると、計画経済の方が良いように思われますが、物事はそう簡単ではありません。
計画経済は「助け合い」の精神にあふれていますが、「競争」の精神が乏しく、
甘やかされると、ついつい人間は怠けてしまうものですから、向上心が湧かなくなるんですね。
例えば農家ですと、生産量に関係なく買い取られるなら、生産量を増やそうと努力しませんので。
その点、「競争」の精神にあふれる市場経済であれば、売れれば売れるほど儲かるので、
より売れる商品を作ろうと、お米であれば味が更に良くなったりします。
ですが、競争一辺倒になると「助け合い」の精神が薄れるので、例えばの話、
お米不足で市民が困ろうとも、輸出用の高級メロンの方が儲かるとなれば、そちらを作ります。
極端な話、これを小学校の運動会で行われる「徒競走(かけっこ)」に例えれば、
「手を繋いで、みんな一緒にゴールし、順番は付けないよ」というのが「計画経済」、
「速い子も遅い子も一緒に走り、1番になった子が偉い」というのが「市場経済」ですね。
ちなみに、戦後昭和の日本経済が凄く良かったのは、市場経済に計画経済をうまく組み合わせ、
「速い子は速い子同士、遅い子は遅い子同士で競争するけど、頑張るのが1番」としたからですね。
でもまあ、冷戦が終わり、国際化が進む現在、当時のやり方のままでは通用しなくなりましたが・・・・
と、少し脱線してしまいましたが、要するに分かりやすく言えば、
「資本主義=市場経済(自由経済)=競争」「社会主義=計画経済(管理経済)=助け合い」です。
ですので厳密には、経済面だけでなく、それに伴う社会保障や福祉政策なども実際には絡んできますね。

次に、「自由主義」「共産主義」を説明する為の、「民主選挙」「一党独裁」についてですが、
これは上で説明した「経済」の話ではなく、「政治」に関する話ですね。
で、ズバリ違いを言ってしまえば、「政治家(リーダー)をどういう方法で選ぶか?」です。
「民主選挙」の場合は、いろいろな主張をする政党があり、
国民は自らの主張に合う政党や政治家へ選挙で投票し、物事は多数決で決まって行きます。
一方、「一党独裁」の場合は、国民みんなで作るたった1つの政党が共産党であり、
「みんなのリーダーが、みんなの事を考えて物事を決めるから、みんなはそれに従ってね」って具合です。
またまた小学校に例えれば(笑)、学級委員長を決める際に、
児童で1人1票で選挙により学級委員長を決めるのが、「民主選挙」の仕組みであれば、
「一党独裁」の方は、担任の先生が最も適役と思う子を学級委員長に指名するという感じですね。

正直、小学生の低学年くらいだと、選挙では「あの子が面白いから」程度の理由で決まりかねないので、
意外と「一党独裁」型の方がうまく行ったりしますが、中学や高校ではさすがに・・・・
これを現実の国政で言うなら、発展途上国などでは「一党独裁」の方が比較的うまく発展しますが、
国が発展し、国民も成熟すると、「民主選挙」を求める声が高まりますし、そちらの方がうまく行きます。
ですが、国民の政治意識が未成熟なままに民主選挙を行うと、悲惨な結果になるケースも多いですね。
アメリカが軍事独裁政権など倒した直後に、いつも犯す失敗がこれですね・・・・
ちなみに、戦後昭和の日本はこの点もうまくて、民主選挙型の形式を取るのに、実態は一党独裁型でした(笑)。
ただ、日本も成長して、さすがに弊害が大きくなってきたので、
形式的にも、実態的にも、キチンと民主選挙(政権交代が起きる)システムにしようと、長らく悪戦苦闘中ですね。
と言う事で、形式と実態が異なる便利なシステムに乗っかるだけの時期が長かった為、
国民も、政治家も、政治的な成熟には、それと同じ分程の時間を擁するかも知れませんが、
それでもまあ、本当の一党独裁や軍事独裁だと、まずはそれを引っ繰り返すのに、国民の流血が必要なので、
そう考えれば、「これでも、かなりマシな方なのかな?」とは思いますけどね。

あと最後に、「自由主義=市場経済+民主選挙」「共産主義=計画経済+一党独裁」と説明しましたが、
「市場経済と民主選挙」「計画経済と一党独裁」は、必ずしもセットという訳ではなく、
西欧には「民主社会主義=計画経済+民主選挙(経済は助け合いで、政治は選挙)」が、
中国には「改革開放路線=市場経済+一党独裁(経済は競争主義で、政治は独裁)」がありますね。
とは言え、これも厳密的に言えば、西欧の方は計画経済的な市場経済であり、
中国の方は市場経済的な計画経済ですが(中国の方は、かなり無理のある組み合わせですけども)。


[16426] Re3:社会主義と共産主義の違い返信 削除
2012/6/30 (土) 07:26:44 名無し

戦後昭和の日本はこの点もうまくて、民主選挙型の形式を取るのに、実態は一党独裁型

これ気になります!
良かったら詳しく教えてください!^^


[16447] 自民党と社会党の55年体制返信 削除
2012/7/7 (土) 17:51:53 徳翁導誉

> > 戦後昭和の日本はこの点もうまくて、民主選挙型の形式を取るのに、実態は一党独裁型
> これ気になります!
> 良かったら詳しく教えてください!^^

いや、単に「55年体制」の話ですよ!?
通常、一党独裁体制と言うのは、選挙が行なわれなかったり、
行っても形式的に過ぎなかったりするのですが、
戦後昭和の日本は、自由な選挙が保証されていながらも、
1955年に自由党と日本民主党が合併する事で誕生した「自由民主党」の政権が、
昭和が終わるまで、ずっと続く事になるんです。
通常の2大政党制であれば、交互に政権を担う事で腐敗を防止し、
政権交代によって、大きな政策転換を行いやすいようになっているのですが、
まずは経済最優先で、欧米という明確な目標を目指し、決まったルートを登るのであれば、
大きな政策転換の機会と言うのは、ある意味で成長を鈍化させかねない危険性もあったと。
だからこそ、「経済が成長するなら、多少の腐敗は黙認するよ」という風潮もありました。

そうした社会状況もあり、自民党と社会党という2大政党がありながら、
その2大政党が、自民党が一党で政権を担う体制を維持するという、不思議な協力関係が生まれます。
自民党とすれば、常に政権を握り、権力を維持できる事は、最大の利点でしたし、
社会党の方も、政権を担わなければ責任を背負う苦労も無い為、とにかく反対を唱えつつ、
いくらか自民党政権から利権の分け前をもらう事で、物凄く楽だった訳です。
そして、この2大政党がタッグを組む事で、他の政党が対抗馬として成長する事も防げたと。
もちろん社会党の中にも、「政権交代を狙おう」と考え、活動した政治家も居たのですが、
そういう人は、ある者は党を追われ、ある者は党の窓際に追いやられ・・・となりました。
まあ、こうした工作は社会党本体はもちろん、自民党も、そして時にはアメリカまでも参加しました。
冷戦期にあった当時、日本での社会党政権の誕生はアメリカも嫌がった訳ですね。

で、その「55年体制」が、どう崩壊していったかも知りたい場合は、
企画コーナーにある「平成政局史」↓でもご覧ください。
http://www.geocities.jp/flash_okiba5/kikaku/seikyokushi.html
ちなみにこれは、政権交代が起きる2009年の衆院選挙を前にして、
掲示板に書いたモノを纏めたものです。

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