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[19669] 日本の地政学的立地と国連活用返信 削除
2015/10/10 (土) 00:40:27 徳翁導誉

> > > というのも、反対派の人々は日本の国防の形にどのような理想を持っているのか、知りたいと思いまして。
> > 反対派とかどうとか置いておいて、とりあえず私なりの理想を述べれば、
> > そもそも論として、島国である日本の地形と立地、そして日本の国力と技術力を踏まえれば、
> > 一国の防衛だけなら、世界でも有数の実力を保持できると思っています。
> > 陸続きではないので進攻が難しく、防衛面では海軍力に特化でき、
> > ユーラシアの東端に浮かぶ島なので戦略的な価値はそこまで高くなく、
> > それなのに手を出せば厄介な程の軍事力がある訳ですからねえ。
> > 領土問題を解決して国境線を画定させれば、潜在的な衝突要素を排除できますし、
> > 国連内での地位も上昇させられれば、日本の国防にそこまで心配はいらない気がします。

> ところで管理人さんは日本の戦略価値は低いといわれましたが、そうなんですか?
> 一昔前は「共産主義への防波堤」とかそういうふうに言われていたそうですが、今はもう戦略価値は低いんですか?
> ニュース何かを見ていると漠然と「中国が居るから日本は米国にとって重要なんだろうなぁ」と思ってしまうのですが・・・。

まずは歴史的に日本って、貞観の韓寇・刀伊の入寇・応永の外寇などの海賊関連を除くと、
「元寇」と「太平洋戦争」しか、外国から攻められた事が無いんですよね。
(事件レベルの攘夷戦争を含めても、薩英戦争と馬関戦争が加わるくらいかな?)
逆に攻めたのも、半島・大陸に勢力圏を伸ばしたヤマト王権期と大日本帝国期の戦争と、
秀吉の朝鮮出兵、薩摩の琉球侵攻くらいで、こんな国はちょっと他に例が無いかと。
これは日本という国が持つ「地理」と「国力」がモノを言っている訳で、
それを逆説的に言うと、他国から見れば「日本を攻めるメリット」が少ない事を意味します。

地政学的に説明するなら、まず島国は間に海がある為、攻め込むのは容易ではなく、
国力的に見ると、日本を占領するのは困難ですが、日本が大陸を占領するのも困難。
そして日本の先には、広大な太平洋が広がるだけですから、何かの通り道にもなりません。
そういう意味では、ヨーロッパにおけるイギリスに近いのですが、
決定的に違うのは、日本は大陸と直接には接せずに、間に朝鮮半島がある事です。
軍事的な脅威としては近くなく、経済・文化の交流的には遠くない、この絶妙な距離が、
日本という国に平和と繁栄をもたらしました(陸続きの朝鮮は大変でしたけどね・笑)。
一方で地形的な違いから、ヨーロッパ大陸のように多くの国が群立してる訳でなく、
東アジア大陸はほぼ中国が制している上に、半島を挟む事で距離的にも離れてますから、
イギリスのように大陸に介入して大勢力の登場を阻止する戦略は、日本には不向きですね。
(EU統合が更に深まるようであれば、イギリスは国家戦略の大転換期を迎える事になりそう)

元寇で大元ウルスと鎌倉幕府が、朝鮮出兵で明王朝と豊臣政権が、日中戦争で中華民国と大日本帝国が、
それぞれ政権崩壊へと繋がった歴史を見ても、日本と中国の衝突は双方にダメージが大きく、
適度な距離感で付き合えば共存も可能なのですから、何がベストかは自ずと答えが出ているかと。
アジアで先駆けて始まった近代化により、日本が得ていた100年のアドバンテージも小さくなり、
既にGDP値では中国に抜かれ、日本にとってもアメリカに並ぶ最大の貿易相手国となった現在、
100年前まで千数百年に及び続いた日中の力関係へと、戻りつつある時期なのかも知れませんね。

とは言え、日本が地政学的に全く戦略的価値が無いという訳ではありません。
それは、広大に広がるだけだった「太平洋」に、戦略的価値が生じた場合です。
そういう意味では、冷戦期の日本が「共産主義への防波堤」「アメリカの不沈空母」として、
アメリカの世界戦略にとって戦略的価値があった事は間違いありません。
しかし太平洋にそれだけの価値が生じる事態って、世界規模の覇権国家が複数存在し、
その両勢力が敵対的な関係となり、太平洋を面して対峙した場合だけなんですよね・・・・・
歴史的に挙げるなら、帝国主義時代の「大英帝国vs.ロシア帝国」における日英同盟と、
冷戦時代の「アメリカ西側陣営vs.ソ連東側陣営」における日米安保ですか。
ただこれって、日本の戦略的価値は高まりますけど、日本にとっては危険な状況でもあります。
日清戦争での朝鮮、日露戦争での満州、太平洋戦争でのフィリピンなど、
戦場とされた第三国がどれだけ悲惨かは、日本も加害者側として経験している以上、
日本がその立場に置かれるような事態を招かない事こそが、国防戦略の第一義だと思います。

そして中国とアメリカというのは、地政学的に棲み分けが可能な関係なんですよね。
大陸国家である中国は、太平洋を越えて軍事的に南北アメリカ大陸を狙う戦略など困難で、
勢力圏として手を伸ばす先は、普通なら陸続きである東南アジアであり中央アジアです。
一方で海洋国家であるアメリカにとって重要なのは、
まずは何より北米、次に裏庭である中南米(いわゆるモンロー主義)、
そして南北アメリカ大陸を囲う西大西洋&東太平洋で、あとはルーツの西欧ですか。
歴史上も類を見ない、世界を巻き込んだ「冷戦」という名の団体戦の下、
アメリカが陣営諸国を従え、世界規模の戦略を描いていた時代ならまだしも、
膨れ上がりすぎた米軍の縮小が進めている現在、アジア駐留の優先度はそこまで高くなく、
アジア市場の門戸開放と、世界の海洋航路における主導権さえ認められるならば、
アメリカと中国とは地域主義の覇権国家として、共存する事は十分に可能です。
逆に日本はアメリカと同じ海洋国家であり、太平洋を挟んで向かい合ってますから、
現状のように上下関係がハッキリさせない限り、軍事強化は必然的に対立を生じさせます。
そうなればそれこそ、歴史的そして地政学的な米中同盟が大変有効となりますし、
そもそも政治的要因さえ除けば、日本よりも中国の方が経済的メリットは大きいですからねえ。

中国の軍事的台頭により、東南アジア諸国が脅威を感じてるのも確かですが、
だからと言って、彼らも別に「中国包囲網」を期待している訳ではありません。
東南アジア諸国の立場から見れば、そうして地域が不安定化する方がダメージですし、
経済面で言うと、流通網整備と関税撤廃により、市場の統一化が急速に進んでますので、
「中国の脅威に対処する」として日本が軍事的にしゃしゃり出ても、却って迷惑な話です。
ポスト冷戦期の一極体制が終了して、多極化の世界へと戻りつつあるとは言え、
それでもアメリカが世界一の大国である事は当分変わらないでしょうし、
日本に最も戦略的価値を見出すのはアメリカですから、日米同盟を最重視するのは構いません。
しかし本気で地域の安定化を望むなら、より大きな国際的枠組み作りが必要でしょうからねえ。
「中国が居るから日本は米国にとって重要」と言うよりも、
「米国にとって日本が重要である為に、中国が敵である事が必要」なんです。
ですが、米軍縮小の穴埋めを自衛隊にさせたり、中国を敵に回す前提で物事を進めたり、
戦略的価値を高める為に危険度を増させる事が、本当に日本の国益に繋がるんですかねえ?
単に米中が対立し、日本が双方と良好な関係を築けるなら、それはメリットも大きいですが、
日中が衝突を起こして、米軍が巻き込まれるなんて事態は、アメリカ側も勘弁と懸念してますし、
どんな経緯であれ米中が敵対関係となり、日本が最前線となれば、それは最悪の事態です。
既得権を持つ人達が、どうしても現行路線の維持に偏ってしまうのはまだしも、
変な言い方ですが、中国包囲網で得をするのは、中国包囲網で得をする人達だけなんですね(笑)。

外交戦略の大家であるブレジンスキーの言葉を借りるなら、
日本は地政学的に「地域の覇権国にはなれないが、国際的な大国にはなれる」国なので、
もっと国連と自衛隊をうまく活用した方が、ずっと国益に適うように思うんですけどねえ。
いくら自衛隊を「普通の軍隊」にした所で、海上ならまだしも陸上では、
良くも悪くも経験豊かな他国の軍隊に対して、どれだけの存在感を示せると言うと・・・・
それよりも自衛隊が持つ「特殊な軍隊」という特色を、前面に押し出す方が良いのでは?
具体的に言うと、軍隊組織が本業として災害救助を担うのは、世界でも自衛隊が先駆ですし、
自衛隊の「撃たれるまで撃つな」なんて事は、他国の軍隊ではやはり困難です。
でもこれは、戦争が終った後の武装解除や治安回復には、とても重要な姿勢なんですよ!!
実際にアフガンでは、日本が主導国となり武装解除や治安回復を順調に進めていたのに、
大統領選挙に絡んだアメリカ側の軍事行動によって、全て水泡に帰しちゃいましたからねえ。
アフガンに関しては、カンボジアや東ティモールのように出来た可能性はあったと思います。

今の時代の国際紛争は、戦争自体よりも、戦後処理の方がずっと困難ですし、
アメリカも前者は得意ですが、後者の方はからっきし駄目なのはご覧の通りです。
だったら前者でアメリカのお供をするよりも、後者で貢献能力を高める事の方が、
日本にも、アメリカにも、国際社会にも、ずっと得だと思うんですよねえ。
解りやすく言えば、アメリカが武力行使という「ムチ」を振るうですから、
日本は一緒にムチなど振らず、戦後処理や災害救助で「アメ」を撒く役割を担えと。
アメとムチは両方とも必要ですが、アメの方がイメージ戦略的にも良いですしね(笑)。
ただこれも、憲法9条や武器輸出3原則などで、戦後の日本は憎しみを買わなかった事実が、
国際戦略カードとして、うまく使える状況にあればこそという面もあるので、
安倍政権による方針転換が、どれだけの影響を世界各国に与える事になるかは・・・・
例えば、イスラエルとの兵器売買や共同開発に舵を切った事に関しても、
それによりアラブ人の無邪気な親日感情を失う危険性とかまで、配慮できているのでしょうか?
常任理事国入りを目指すと言っても、敵を増やす行為は、却って逆効果になりますしね。

でもまあ国際貢献という面では、アメリカが「世界の警察官(110番)」であるのなら、
日本は「世界のレスキュー隊(119番)」を目指しても良いんですよね。
核保有国であるインドは別として、常任理事国入りを狙うドイツやブラジルとも連携し、
従来の常任国とは違い、軍事面ではなく救助面で国際的役割を担っても面白いかと。
アジアの日本、欧州のドイツ、南米のブラジルと、地理的バランスも良いですし、
「国連救助機関」を3ヶ国に常設して、緊急時には各国から召集する感じですかねえ?
日本の場合、「座間・横田・横須賀・佐世保・嘉手納・普天間・ホワイトビーチ」の7ヶ所が、
在日米軍基地としてだけでなく、国連軍施設としての側面を有している為、
その空港・港湾をうまく活用する事は可能でしょうし、国内の災害への備えにもなり、
また、こうして第3者の目が入る事で、米兵の不祥事に対する抑えにも繋がります(笑)。

あと、これはもう脱線話になっちゃいますけど(笑)、
来年に豊洲へと移転される築地市場の跡地利用案が、現時点では特に無い様なので、
そこに「国連大学」の新キャンパスと学生寮を作ってもらいたいんですよね。
国連救助機関の設置なんて意見を書ましたけども、実際現実として、
日本国内に設置されてる国連機関こそが、東京・青山にある国連大学です。
ただし現状では研究機関としての側面が強く、教育機関としてほぼ機能していないので、
国連分担金だった多く払ってるのですから、新たに世界各国から留学生を募っても良いかと。
海外から人を呼ぶ3本柱は「経済・観光・留学」であり、経済面は以前から強く、
観光面は近年急速に成長してますけど、英語圏でない日本に質の高い留学生を招くのは困難で、
だったら国連の看板を利用して集めようって考えですね(授業も当然英語ですし・笑)。
そして彼らが、学び、暮らす場所としての「築地キャンパス」を建設すると。

築地の名が示すとおり、もともとは埋立地だった場所に、明治になると外国人居留区が作られ、
そこには後の慶応大学を始め、多くの学校が作られたという歴史的事実も去る事ながら、
この一等地に大学と学生寮を作るのは、将来エリートとなる国家留学生を知日派にする為です。
日本留学中に、できるだけ多くの交流・体験をさせた方が、絶対に良いですからねえ。
最寄り駅となる大江戸線の沿線には東京大学もありますので、両校の連携も可能ですし、
何なら沿線上に両校共同の学生寮を作るのも、交流が深まり良いかも知れません。
(五族協和を掲げた満州の建国大学のように、大部屋で共同生活はさすがに難しいかな?)
更に話を飛躍すれば、関西の「けいはんな学術研究都市」に、将来リニアの新駅が出来るので、
そうなればこちらにも、国連大学の理系部門を新設するのも面白いかと。
こちらは京都大学や大阪大学、けいはんな(京阪奈)の研究機関との連携が可能ですしね。


[19684] 国連大学の学生寮返信 削除
2015/10/23 (金) 19:29:34 徳翁導誉

> あと、これはもう脱線話になっちゃいますけど(笑)、
> 来年に豊洲へと移転される築地市場の跡地利用案が、現時点では特に無い様なので、
> そこに「国連大学」の新キャンパスと学生寮を作ってもらいたいんですよね。
> 最寄り駅となる大江戸線の沿線には東京大学もありますので、両校の連携も可能ですし、
> 何なら沿線上に両校共同の学生寮を作るのも、交流が深まり良いかも知れません。

大江戸線の沿線に共同学生寮というのは、思い付きで書いたのですが、
あの後、何となく学生寮の立地まで考えちゃいました(笑)。
大江戸線は山手線のようなエンドレスに周回する環状線ではなく、
郊外と都心部を結ぶ放射区間と、都心部を1周する環状区間が組み合わされた路線なので、
前回書いてた時には、漠然と「郊外区間の方が敷地を確保できるかな?」とか考えてたものの、
立地に拘って築地をキャンパスに選んだのですから、学生寮も立地に拘ってみました。
で、郊外よりも便利で、敷地を確保でき、他路線とのアクセスも考慮して、
環状区間の下町エリアを探した所、見付かったのが「新御徒町駅」でした!!

新御徒町駅は、大江戸線の他に、つくばエクスプレスの停車駅でもあり、
この路線は上りが電脳都市・秋葉原、下りが東大・柏キャンパスや筑波研究学園都市を繋ぎます。
大江戸線の沿線上にも、早稲田大・慶応大・東京女子医大など東大以外の大学がありますので、
様々な学生・研究者を集める上で、両路線が交差する新御徒町は立地的に良いと感じました。
しかも新御徒町の駅前には、廃校舎を再利用した「台東デザイナーズ・ビレッジ」があり、
公共の貸しスペースとして、若手デザイナーや早稲田大・東京芸大の研究室が入居していますが、
この敷地を使えば、かなり大規模な学生寮が建てられるように思います。
徒歩だと、御徒町まで10分、上野まで15分、浅草まで20分、秋葉原まで25分、
電車なら上野以外はそれぞれ1駅と、下町エリアながら住環境も決して悪くないかと。
特に近年では、上野と御徒町を結ぶアメ横が、急速に多国籍化してますので、
国連大学に通うアジア・アフリカの外国人留学生たちも、食事面などで不自由しないかと。
大江戸線があれば、六本木や新宿(新大久保)など外国人の多い街へも1本で行けますし。

・・・って、国連大学を改革して世界中から留学生を集める事自体、私の妄想案なので、
「キャンパスは築地、学生寮は新御徒町」に至っては、妄想も良い所なんですけどね(笑)。

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