| > > 話題としては脱線してしまいますけど、二次創作の話が出るといつも気になるのが、
> > 「物語後の世界はどうなるんだろう?」って事なんですよね。
> > 誕生したばかりの新王朝で、皇帝は幼帝。
> > しかも問題は山積なのに、残されたメンツがあれでは、
> > 新国家をまともに運営できるなんて、全く思えず・・・・
> > 正直な話、リアルに考えると、ロクな未来図じゃなさそうなんですよね(苦笑)。
> >
> > 公式な続編は恐らく無いという事らしいですが、
> > 同人作品の方で、よく出来た後日談の二次創作とかもあるのでしょうか?
> 仮定未来クロニクルはよく出来ていたとは思いますが・・・。
> 「バーラト自治政府にとって最良のシナリオ」を描いている感があって、
> 帝国好きには納得の出来ない部分も多々あるかと。
> 客観的に見ても、「そこまで都合良くいくだろうか・・・」と思う部分が有りますから、
> 管理人殿を満足させられる作品かは微妙ですね。
> 恐らく、帝国に関する解釈は管理人殿と近いと思いますけど。
よくよく考えてみると、私って同盟贔屓でも帝国贔屓でも無いので、
基本的にファンの作品愛から作られる二次創作とは、相性が悪いかも知れませんね・・・・
バーラト自治政府なんて、帝国以上に、ロクな未来図じゃなさそうと感じていますし(笑)。
> そして、前回もお勧めした逃亡者の方は帝国が盤石であり、
> バーラトがかなり荒廃している状況で物語が始まりました
バーラト自治政府が荒廃しているというのは、結構リアルだと思いますよ。
抵抗する軍事力を失った上での、支配者から与えられた自治権ですから、
支配者の意向さえ変わってしまえば、簡単に失われてしまう薄氷の自治権ですし、
この状態で繁栄したら、ローマ帝国に滅ぼされたカルタゴのようになるのがオチですから、
これで自治権が維持されるとなると、辺境の集落にまで堕ちる状況しか無いでしょうね。
日本史で言うなら、明治まで長らく御赦免所(年貢免除地)だった十津川郷みたいに。
って、同盟の首都星がそこまで落ちるとなると、本当にスラム街状態かな?(苦笑)
でもまあ、併合された国家の旧都が廃墟と化す例は、史実でも幾らでもありますし、
惑星同盟の中枢から、統一宇宙の辺境に落ちれば、ヒトもモノもカネも流出して、
かつての首都星が荒廃してしまうのも、十分に有り得るシナリオでしょうね。
これがまだフェザーンみたいに、複数の大勢力に囲まれてる状況であれば、
軍事力とかが無くても、政治的バランスにより、繁栄ある存続が可能なのですが。
実際、中国南北朝時代の後梁なんて、「あれでよく存続できたな」って感じです(笑)。
とは言え後梁も、隋が中国を統一する直前、用済みとばかりに併合されますけどね。
逆に言うと、歯牙にも掛けられないレベルでもなければ、併合は免れない運命だと・・・・
教団や王族に、極小規模な地域の自治権を与える例なら、枚挙に暇は無いんですけど、
旧都ともなれば、サンマリノ共和国やアンドラ公国とも同列には語れないでしょうし、
強いて挙げるなら、権威としてバグダッド周辺に存続を許されたアッバース朝とか、
現存する国家だと、アメリカ合衆国内のインディアン国家・イロコイ連邦とかでしょうか?
って、バーラト自治政府の自治権が、ソ連の自治共和国レベルな可能性もありますが(苦笑)。
> 私自身、帝国がそう簡単に揺らぐとは思えないんですよね。
> 確かに新皇帝が幼帝なのは不安材料ではありますが、原作の描写をストレートに解釈すれば、
> 地球教団は壊滅、同盟は滅亡、ヤン一党はバーラト自治政府を建て、友好関係にあるわけで、
> 「外敵」が存在しないわけです。
「外敵が存在しない」という状況は、「内紛やり放題」という状況になり得ます(笑)。
これがまだ、確固とした社会システムが出来上がってる国家であれば、
それに則って粛々と事を進めれば良い訳ですけど、新帝国はその青写真すら未完成ですし、
更には、占領地フェザーンへの遷都に加え、未だ残された帝国貴族領に旧都オーディン、
旧同盟領の統治に、バーラト自治政府への権限委譲、そして憲法と議会の設置検討と難題山積で、
唯一の裁定者となりうる皇帝が赤ん坊では、揉めるなと言う方が正直無理かと・・・・
別に幼帝ではありませんでしたが、これほどの難題山積な状況を乗り切った政治家となると、
ドイツ第二帝国の宰相ビスマルクくらいしか、パッとは思い浮かばないかも?
> そして、簒奪ではありますが、ローエングラム朝は別にゴールデンバウム朝そのものと
> 対立してクーデターを起こしたわけではありませんから、
> リップシュタットの高級貴族やリヒテンラーデ派等、高級官僚たちは粛清されたものの、
> 官僚組織自体は旧王朝から引き継いでいるわけです。
実はこれって、新国家の運営にとって、かなり重要な事なんですよね。
旧国家の統治組織を如何に上手く「居抜き」するかが、成功の鍵を握るといっても過言では無いので。
それこそ魏晋南北朝の動乱期なんて、陳羣が築いた九品官人法のシステムにより、
王朝のトップがころころ替わっても、官僚機構はそのままで、支障を来たさなかった訳ですし。
逆に失敗例だと、そうした官僚までタリバン一味として追放した、米軍のアフガン統治でしょうね。
アフガニスタンが破綻国家となったのは、タリバン統治や戦争の影響でもなく、この所為ですので。
> そして、銀英伝本編の登場人物はほぼ軍人ですが開明派や新領土のエルクスハイマー氏など
> 何人か名前ありの文官も登場していました。
> その人々は少なくとも優秀な人物と考えても良さそうです。
> 残された面子に関しては軍人だけで考えるとちょっと心配ですが、
> 文官も入れればそこまで悲観的に成らなくても良いレベルではないでしょうか?
正直な所、「ロクな未来図になりそうにない」と思う主要因が、まさにこれなんですよね。
ただ単に、皇帝がゴールデンバウム家からローエングラム家に変わるだけで、
統治機構もそのまま、同盟という敵の存在のそのままであれば、
残された后妃や元帥たちが幼帝を支える事で、新王朝もうまく運営できたかも知れません。
しかし実際には、カール・ブラッケやオイゲン・リヒターといった開明派を起用し、
(フォンの称号を外したとの事ですが、領土は返納したのか? 既に零落してたのか?)
旧来の統治機構を改革しようとして、着手しただけの段階で皇帝が急逝しましたからねえ。
現状維持でもなく、改革を成し遂げた訳でもなく、その中身や道筋すら不確かな状態で、
しかも開明派より急進的な旧同盟の政治姿勢すら聞き入れる一方で、
皇后マリーンドルフ家などのような門閥貴族も一部に残されているのに、
当の本人は既に不帰の人ですから、「正義の数はいくつあるの?」といった状態です。
安定した統治機構を作るのであれば、これを1つ正義に集約(枝切り)せねばならず、
それを成し遂げるには、また相当の混乱と流血を必要とするでしょうね。
(フランス革命のように、流血だけ進んで、混乱は収まらない事態も十分あり得ますが)
そして、やはり何だかんだ言って、ローエングラム王朝は武断的な色彩が強いですし、
「ミッターマイヤーを次期国務尚書に」なんて話が普通に出てくるくらいですから、
政治に軍人たちも関わってくるとなると、本当に滅茶苦茶な事になると思います。
外敵が不在となった以上、ただでも大規模な軍縮は絶対に避けられないのに、
今際の際でラインハルトは、元帥を大量増産してしまいましたからねえ・・・・
トップの人間を増やすと言う事は、それだけ内紛要素を増やす事にも繋がります。
また、個人として「清廉実直」な軍人ばかりだから大丈夫と言われがちですけど、
組織においては、そうした人物が上に居るほど、派閥を生む元凶となる事が多いものです。
実際、維新の十傑でありながら、明治新政府に対して兵を挙げたのも、
西郷隆盛であり、前原一誠であり、江藤新平といった、実直な人物たちでしたからねえ。
まあ、本人が率先して派閥を作るというより、その部下たちが纏まれば派閥が出来てしまい、
部下を思うほど頭目と化して、打算や腹芸で動けないから他派との対立を激化させてしまうと。
しかもこれは、ただ政治的な派閥ではなく、軍事力を保持した「軍閥」の話ですし、
新たな統治機構の建設は混迷していて、様々な正義が共存し、軍人の政治参加が寛容な一方で、
軍縮によって自分たちは失業の危機にあるとなれば・・・元帥本人はまだしも、
その下にいる部下達を抑え込み、時には切り捨てるのは、かなり困難を要するかと?
清廉実直な軍人には苦手な仕事の分野であり、逆に危険因子となりやすいのが現実です。
日本軍を見ても、東郷平八郎の後半生は老害として、海軍をボロボロにしてしまいましたし、
義憤に駆られた陸軍の青年将校たちは、二・二六事件を始めとした数多くの事件を起こしました。
私利私欲じゃないからこそ、行動に歯止めが利かず、却って暴走を招き易いんですよね。
で、新王朝に残されたメンツを見ると・・・清廉実直な危険因子ばかりの気がします(苦笑)。
現実の政治は、「白河の清きに魚も住みかねて 元の濁りの田沼恋しき」な世界なので。
> ミッターマイヤーが変心、あるいは暗殺された場合は
> 軍部の暴走から帝国崩壊ということも有りそうですが・・・。
新王朝を開いた皇帝が建国直後に死去し、残された皇后が幼子を補佐した例となると、
真っ先に思い出されるのは「周王朝」ですけども、周の場合は后妃・邑姜の他にも、
周公旦・太公望・召公セキ・畢公高といった託せる面々が居ましたからねえ・・・・
(そう言えば周王朝も、滅ぼした殷王朝の王族に宋の国を与えてましたね)
銀英伝風に言えば、ヒルダやミッターマイヤーだけでなく、
キルヒアイス、ロイエンタール、オーベルシュタインも健在なまま、幼帝を支えた感じですし、
後者の3人の方が政権運営では頼りになりそうな事を考えると、残された2人では厳しい気が?
ヒルダも、ミッターマイヤーも、政治的な融通は利か無そうですしねえ(苦笑)。
原作的には、后妃が摂政となって新王朝の礎を築いた事になってますけど、
それこそ2人とも「変心」しない限り、この困難な状況は収拾できないように思えます。
遺命を守って改革を進めるなら、流血を伴う大規模な粛清や弾圧は避けられないでしょうし、
それを避けるなら、遺命の方を捨てて、現状維持に近い路線へと舵を切り直すしか無いかと。
オーベルシュタインやロイエンタールが健在なら、前者の道でも行けたかも知れませんが、
ヒルダが呂后や北条政子のような寡婦に化さない限り、後者の道しか無いのかなぁ?
旧体制を打倒したのに、自分たちがその地位に納まるのも、別に珍しい事じゃないですから、
后妃と七元帥の八家を門閥貴族にして、ローエングラム王家を支える形で。
う〜ん、こうして考えると、ビスマルク級の帝国宰相が本当に欲しい所!!(笑)
でもまあ、どちらにせよ、仮にこうして新帝国の安定を築く事となったとして、
アレクやフェリックスには、自分たちの親の姿が、人としてどう見えるのか・・・・
って、こうした子供たちの葛藤と成長の物語の方が、個人的には好みかも?
ただし二次創作で考えれば、あまり好まれない分野でしょうけど(笑)。
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