【ドラマ】 龍馬伝

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(可もなく不可もなくで50点 最高傑作のみ100点)
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徳翁導誉 【採点:70点
2011/5/22(日) 07:46
2010年に放送された49作目の大河ドラマ。
平均視聴率 18.7% 最高視聴率 24.4%

前年の「天地人」に引き続き、12月放送の「坂の上の雲」の影響で、
例年よりも、放送話数がちょっと少な目な大河ドラマ。

う〜ん、この「龍馬伝」はちょっと評価が難しい作品ですよねえ。
「面白かったか?つまらなかったか?」の二者択一的な設問であれば、
間違いなく「面白かった」と答えると思います。
ただその反面で、物凄く「物足りなさ」が残った作品でもありました。

まずは良かった点・・・と言うか、興味深かった点としては、
映画のような撮影技術を使った映像部分ですね。
香川照之の演じる岩崎弥太郎に代表される「汚さ」の表現も、
ちょっとやり過ぎな程に感じに演出されてはいましたが(笑)、
地デジ時代に対する新しい試みを、色々と挑戦的に行っていたと思います。
まあこの辺は賛否の分かれる所かと思いますが、個人的には好評価でしたね。

続いて良くなかった点としては、何と言いましょうか、
ただ単純に、今まで通りの「カッコイイ龍馬」像のままだったと言う事ですね。
正直、原作「竜馬がゆく(司馬遼太郎)」とクレジットされていても、
おかしく無いような、司馬史観的な龍馬像そのままだったと。
それでいて、カッコイイと言うだけで、それ以上の存在感が無い・・・・
まあ主役が中庸的でも、魅力的なサブ・キャラ群により映える作品も多くあり、
この龍馬伝にしても、大森南朋の武市半平太を始め、
山内容堂・後藤象二郎・高杉晋作などなど、決してそれらも悪くは無い。
いや、そもそも主役の龍馬を演じた福山雅治にしても、
技術面での演技的な稚拙さはあっても、充分にハマり役だったと思います。
福山のイメージ的にも、一般的な龍馬像に合いますし(ラジオの印象を引きずり過ぎ?)。

では何が問題だったかと考えると、撮影スタッフの過剰なまでの挑戦度に対し、
最も大事なシナリオ脚本の方が、実に平凡な出来だった気がします。
撮影陣や俳優陣からは、良い方向か否かは別として、
作品に対する熱意が滲み出ているのを感じ取れたのに、
熱意が無いとは言わないものの、制作陣からは「無難さ」しか感じませんでした。
シナリオがこんな感じだと作品全体の調和が取れず、結局はダメになってしまいます。
視聴率を見ても、最初の頃は毎回20%を越えていたのに、
話が佳境に向かってドンドン進むほど、視聴率もドンドン下落して行ったのも、
ストーリー的な面で、ドラマとしての面白さを欠いていたからだと思います。
そういう点では、実に惜しい作品だったと言えるかも知れません。

ただ、「風林火山」などもそうですが、
本格派な作品を作ろうとすると、求められる脚本レベルも上がるので、
この路線で完成度を求めるとなると、50話前後の長期スパンでシナリオを作れる
それ相応の能力を持った脚本家が必要となるのが、大変な所ですよねえ・・・・
ある意味で「王道」とは、誤魔化しの利かない世界を意味しますし。

あと最後に、これはどうしようも無い事なのですが、
最終話で龍馬が暗殺される作中でも最も緊迫したシーンで、
選挙速報のニュース・テロップが被ってしまった事は、本当に残念でしたね。
仕方ないとは言え、あくあで「当選確実」のテロップなのですから、
空気を読んで1〜2分遅らせた所で、何の実害も無かったでしょうに・・・・

以上、こんな感じで、この「龍馬伝」の評価は、
「名作に成り損ねた、熱意に満ちた凡作」と言う事で、
採点の方は「70点」とします。


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