| ▼ 徳翁導誉さん
> 先週まで5週連続で行われていた「電王戦・5番勝負」が決着しましたね。
> http://ex.nicovideo.jp/denousen2013/result.html
> (今からでも録画中継の視聴が可能ですので、関心のある方には是非オススメ)
> まず電王戦とは、プロ棋士5人と将棋ソフト5本が戦う団体戦なのですが、
> プロ棋士側の「1勝3敗1分け」という結果で終わりました。
「将棋世界」を毎月買っている筋金入りの将棋ファンの私がこの話にくらいつきますよ。
今回の電王戦、とても楽しかったですね。私の戦前の予想では、
勝ち・・・三浦八段、船江五段
負け・・・阿部四段、佐藤四段、塚田八段
だったのですが、コンピュータソフトは予想以上に強かったです。
緒戦の阿部四段vs習甦では阿部四段がソフトの穴を突いて勝利。
この戦いではコンピュータソフトに予想以上に穴が多いことが分かったので、
これは人間側の4,5勝となるかと思いましたが、2戦目以降のコンピュータソフトは
とても手強かったです。
2戦目、3戦目は、コンピュータからあえて定石を外してねじりあいになり、
途中では人間側有利の場面もあったものの、結局はコンピュータソフトが底力を見せました。
とくに船江五段は若手の有望株だったので、船江五段の敗北は衝撃的だったのですね。
ただ、トッププロが同じ局面を持つと、有利な場面からそのまま押し切れたような気がします。
ちなみにこの2戦目、3戦目のコンピュータソフトの指し手はとても人間臭く、
もし人間同士の棋譜だと言われても「いい勝負だなあ」という評価が返ってくるかと思います。
管理人さんご指摘の通り、塚田八段はこのメンバーの中では棋力に若干劣るものの、
メンタルという面では戦前から善戦が予想されていました。
感情を持たないコンピュータ相手では、人間側は最後まで体力、気力を維持するのが
大事だと思われていましたので。
「棋譜を汚す」というプロ棋士にとって最大の屈辱を受けながらも、
団体戦ということで引き分けに持ち込んだ塚田八段は人間的にすごいと思いました。
さて、メインは三浦八段vsGPS将棋。今までの四戦ははっきりいって前座であって、
やはりA級棋士がコンピュータソフトとどれくらい戦えるかにこの電王戦の焦点がかかっていましたが、
GPS将棋は圧倒的に強かったですね。
今の将棋のトッププロの間では、先手矢倉があまりに有利なので、
後手は矢倉を避けようとしますが、コンピュータソフトが後手矢倉で
完勝したのは衝撃的でした。
しかもGPS将棋の手は完全な新手です。人間vs人間でも完全な新手をいきなりもってこられると
対応に苦慮するのに、コンピュータに新手を持ってこられて三浦八段は
完全にパニくったんじゃないでしょうか。
コンピュータソフトが「新手」を考え出したというのは、プロ棋士の間でも衝撃的だったそうです。
ただ、三浦八段は「安全策」を求めて、第1回の故米長会長と同様に
押さえ込みにかかりましたが、押さえ込みではなくあえてコンピュータに攻めさせて
受けきるという作戦だったら、もしかしたらもっと勝負は縺れたかもしれません。
(ただし、勝ちというところまで辿り着くには果てしなくほど遠いですが・・・)
さて、今の将棋界では、1日制(持ち時間4〜6時間)では羽生三冠、渡辺竜王
2日制(持ち時間8〜9時間)では森内名人、渡辺竜王
が最強だと思いますが、1日制ではコンピュータソフトは既にトッププロを
超えているような気がします。
先日の棋聖戦挑戦者決定戦では、渡辺竜王が30分以上かけて終盤の絶妙な寄せの手を考え出しましたが、
それをGPS将棋はわずか数秒〜数分で見つけていたそうです。以下、渡辺竜王の自戦記のコメントを引用。
(最後、▲8二飛車からの寄せの場面)
渡辺「30分くらいかけてようやく僕が見つけた勝ち筋を、GPSはすぐに見つけていたそうです
『渡辺さん、GPSと同じ手が指せるなんて、さすがですね』と言われました(笑)
この寄せの筋はコンピュータには読めないと思っていたんですが、読むんですね
去年くらいまでは『GPSが渡辺と同じ手を指せる』と言われたんですが、
立場が逆になってしまいました(^^;」
このコメントを見て、一日制では渡辺竜王でもコンピュータソフトに勝つのは難しいんじゃないかと思いました。
ただし、渡辺竜王はコンピュータソフトにも造詣が深いので、
いざ対戦となったら、ソフトの穴を事前研究で見つけることができるかもしれませんが。
また、ニ日制だと、人間側も限りなく最善手を出せるようになるので、
森内名人や渡辺竜王といったトッププロでも、コンピュータソフトとほぼ互角に近い
戦いができそうな気がしますね。
ただし人間vsコンピュータソフトで2日制でやることは興行的にも無さそうですが。。。
どちらにせよ、第三回をやるとしたらもう人間側は三浦八段以上の棋士として
タイトルホルダー(今は森内名人、渡辺竜王、羽生三冠の3人)を出さざるを得ないですね。
それを日本将棋連盟が認めるかどうかですが、最後は認めないような気がします。
そして、それが日本将棋連盟にとっても正しいと思います。
さすがにタイトルホルダーの3名が負けるということになると、
それまで日本のプロ棋士が持っていた威厳とか、そういうものが全て崩れ去るかと思われますので。
もうプロ棋士に一方的な「罰ゲーム」をさせるのはよしましょうというのが個人的な気持ちです。 |
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