[スレッド全体]

[18857] 防潮堤と防災について考える返信 削除
2014/3/14 (金) 19:58:38 徳翁導誉

> どうもお久しぶりです。
> 新作動画を作りましたので、もし興味があればぜひぜひ宜しくお願い致します。
> 「防潮堤」
> http://www.nicovideo.jp/watch/nm23067622

う〜ん、1本の動画を作るのが大変な事は、私も十分に知ってますし、
当たり障りのないコメントにしようかどうか悩んだのですが、
相手がR・グループさんですから、ここは敢えて正直に感想を述べますね!
動画だけならそこまででも無いですが、この紹介文↓も込みだと、個人的に違和感を覚えました。
> > この動画は故和村幸得村長の教訓を未来に伝える動画です
> > Q.自然の猛威、歴史的大災害には人間は抗う術はないのか?
> > A.そんなことはありません。何かを成し遂げようという本当の志があれば、不可能なことなどないのです。


今週の火曜で、あの震災から丸3年が経過した訳ですよねえ?
これがまだ震災直後であれば、普代村の防潮堤の話も、美談という側面だけで語っても良いと思いますが、
あれから3年が経ち、復興への道を1歩1歩進めていかなくてならない時期に、
未だその側面だけで語るのが適切なのかと、私は個人的に思うんですよ・・・・
もちろん、津波の被害を軽減させる上で、防潮堤というのは重要な手段の1つです。
ですが、防潮堤だけで津波が防げるという単純なモノでもありません。

実際に今回の津波における普代村の防潮堤の件を見てみると、
まずは、太田名部漁港は北東側に開いており、南東側から襲った津波の威力が削いだのが第一点、
続いて、台風対策で頑強に作ってあった二重の防波堤が、津波の威力を更に削いだのが第二点、
そして第三点目に、この高さ15メートルの防潮堤が太田名部の集落への直撃を防ぎ、
最後に、集落の西側を流れる大沢川へと、防いだ水をうまく逃がせたのが第四点です。
確かに普代村の奇跡において、防潮堤が果たした役割は、決して小さくありませんが、
しかし、残る3点にも目を向けずに奇跡と語る事に対して、私は危機感を抱くんです。

何故ここまで厳しく言うかというと、震災前に「田老の防潮堤」が担った神話の役割を、
震災後は「普代の防潮堤」が担わされる構図になりつつあるように見えるんですよ。
万里の長城の異名を誇った、あの田老の防潮堤は、今回の津波でどうなったでしょうか?
田老での成果と失敗を踏まえず、次は普代に挿げ替えるだけでは、本当の意味での防災になりません。
防潮堤の再建計画が進もうとする昨今、住民の意向・地形低条件・地域の状況などを考慮せず、
とにかく高い防潮堤の建設を目指す人たちによって、この「普代村の奇跡」という美談は、
表面だけ切り取って神格化され、既に他の意見を強引に押し切る大義名分と化しつつある現状です。
酷い実例だと、宮城県の村井知事などは、震災前から耕作が放棄されていた無人島の農地を守る為、
20億円を掛けて防潮堤を築こうとし、異論や反論は一切受け付けませんでしたからねえ・・・・
(さすがにこの件は国側からも注意を受けて、再検討する事になったらしいですが)
普代村を例に出し「全住民が反対してもやる」という言動を、和村村長はあの世でどう見てるでしょう?

確かに、湯水の如く予算があるなら、大規模な防潮堤の再建計画も良いかも知れませんが、
実際にはそうは行かない訳で、方針として防潮堤の計画を最優先するあまり、
街の再建計画や、避難道路の整備など、地元住民の意向を後回しにしている現状は、
どこに重点を置いて、誰の為の計画なのか、解らなくなりつつあります・・・・
「まずは防潮堤ありき」ではなく、防潮堤を込みでの「街の復興・防災」計画でしょうに。
どんな動画を作るかは個人の自由ですので、これ以上の事は私から申しませんが、
このタイミングで、そうした神話化の流れを助長しかねないのは、正直どうかとは感じました。
動画自体は良いにしも、せめて紹介文だけは、もう少し配慮したモノの方が良いように私は思います。
「美談は美談で良いじゃないか」という考え方も、私の中で無い訳では無いのですが、
やはり現在進行形の問題であり、将来の生命や生活に関わる事ですから、慎重になってしまいますね。
せっかくの新作なのに、お気を悪くされたら申し訳ないです・・・・

[▼次のスレッド]
INCM/CMT
Cyclamen v3.72