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[21899] Re2:数学という教科と、その勉強法返信 削除
2018/9/14 (金) 20:02:01 徳翁導誉

> > > では私立文系出身の私が(笑
> > > 最近、数学を勉強する必要に迫られてまして・・・笑

> > 事情はよく解りませんが、そういった事もあるんですね(笑)。
> > でも、もし仮に、早い段階で私立文系に絞られたのであれば、
> > 早々に数学を切り捨てているでしょうし、
> > 改めて勉強するというのは、思いのほか大変そう・・・・

> ちょっと大変ですね(笑)
> 実はいま、数学を教えるというボランティアをしたところ、
> 数学の教師というものに憧れを抱くようになりまして・・・。

なるほど、そういう事情だったんですね。
てっきり「コンピューター関連の話なのかな?」と、勝手に想像していたので、
「数学教師になりたい」というのは、かなり予想外の答えでした(笑)。

でも、「他人に教える」という環境にあるという事は、
自ら学ぶという意味でも、非常に恵まれた状況下にあると思いますよ!!
実際そうした機会は、なかなか得られるモノでは無いので、前回は敢えて書かなかったのですが、
学習において、最も効果的な方法というのは、「他人に教える」事だと私は考えていますので。
(教えたい願望はあるものの、そうした機会に恵まれない私からすると、羨ましい限りです・笑)

単に自分がテストで点を取るだけなら、10の知識が足りる一方、
他人に10の知識を教えようとすれば、教える側に100の知識が必要となります。
もちろん、最初から100の知識を得られる人など、ほとんど居ませんから、
「言われてみれば、何でだろう?」とか、「なるほど、そういう考え方があるのか」など、
自分に足りてない部分に気が付く作業を繰り返しながら、
自らの知識を10から20に、そして30にと増やしていく事が必要になってくる訳ですけど、
その「気付きの機会」が最も得られる方法こそ、まさに「他人に教える」事ですからねえ。

> やっぱり無理かなあ・・無謀かなあ・・・と思い始めていますが(笑)。
いやいや、本気で目指すのであれば、決して無謀な事だとは思いませんよ!!
まず始めに、数学の教員免許を取得しようとした場合、基本的にルートは2つあります。
1つ目は、教員を養成する「教育学部 数学専攻」に入るルート。
2つ目は、数学自体を学ぶ「理学部 数学科」に入り、プラスして教職課程も受けるルート。

まあ日本の場合、1つ目のルートで数学教師になる人が多いかと思います(特に中学は)。
やはり教育学部というのは、教員を育てる、つまりは教員免許を取る事に特化した学部であり、
一方で理学部は、本来の数学の研究に加えて、更に教員免許を取らなければなりませんからねえ。
ぶっちゃけ、数学科に入って教職免許を取ろうとすれば、人の倍は頑張る必要がありますし、
何より身も蓋も無い事を言ってしまうと、偏差値的に数学科に入る方が大変だという現実があります。
逆に言えば、偏差値的には低く、しかも文系に分類される教育学部の方が、文系の人には有利かと?
(正直、小学校だと基本文系の教師が全教科を見るので、理数系の初等教育が疎かになってる気が・・・)

その上、数学科で教員免許を取っても、数学の教師にしかなれませんが、
教育学部であれば、専攻する教科・科目以外の教員免許も、追加取得できる大学は多いんですよね。
この場合、教師になる為の全専攻共通の単位などは共用できますから、
なので例えば、教育学部自体は国語専攻で入学しておいて、
国語教師の他に、数学教師になる為の単位も受ける事で、国語と数学の教員免許を取得する事も可能です。
実際問題、数学科で教職を取るより、別専攻で数学を追加する方が、労力は少ない気はしますし、
しかも複数科目の免許を持っている方が、教員採用の際に有利に働くでしょうからねえ(笑)。

それと、ヤン・ウェンリーU世さんが現在、
在学生なのか? 卒業生なのか?は解りませんが、
もし在学生であれば、「学内転部」を認めている大学は結構あると思いますので、
教育学部や数学科のある大学であれば、それが最も手っ取り早いルートだと思います。
この方法だと、既に取得した一般教養の単位も持ち込めますしね(笑)。
また、もし卒業生であれば、同じ大学であれば「学士入学」という方法がありますし、
違う大学であっても「社会人入試」という方法がありますので、
こうしたルートを使えば、一般受験で入学するよりも、楽に入学する事は可能だと思います。
まあ通常であれば、こうしたルートを取ると年齢が上がり、就職時に不利とされますが、
現在の国の教育方針では、「社会経験のある教員を増やそう」という理念の下、
採用時に優遇制度を設ける所も増えていますので、その点の不安は多少軽減されそうかも?


> > で、具体的にどうすれば、数学が出来るようになるかと言えば、
> > まず最初に「どこから理解できていないか?」を把握する所からでしょうね。
> > その為に手っ取り早いのは、急がば回れじゃ無いですけど、小1から順にやり直す事(笑)。

> 小学1年ですか?!笑)でもやるしかないですかねえ・・・。
> いま中学のやり直しをしてるんですが、因数分解を放っておいたので、遅くて遅くて・・・。

いや別に、小1レベルから、じっくりとやる必要まではなく、
例えば、1冊で小学校6年分の数学を復習できるような問題集で十分ですよ(笑)。
それで満点を取れるようなら、さっさと通り過ぎてもらって構いませんし、
間違えた箇所があるようなら、その時はちゃんと立ち止まって理解できるようにすると。
そこを疎かにしてしまうと、結局あとあと、「解らない」となってしまう訳です。

それに、「数学が出来ない」とか、「理解が遅い」というのも、
教師を目指すという事であれば、決して欠点ばかりではありません。
人に上手く何かを教える為には、以下の3つの条件が必要であるからです。
 1つ目は、「教師側が、その分野をキチンと理解している」という事。
 2つ目は、「生徒側の理解度を、教師側が把握できてる」という事。
 3つ目は、「理解できない部分を、上手く伝える技術がある」という事。
もちろん、もともと数学が出来る人というのは、1に関しては得意なはずです。
しかし、そういう出来る人ほど、2や3が得意かと言えば・・・・
却って出来ない人の方が、経験があったり、理解があったりする為に、
1は苦手でも、2や3は得意という事があり、
1は自分の努力次第で克服できますから、そうなれば「教えるのが上手い」教師となれます。
「自分で出来る」というのと、「相手を出来るようにする」というのは、やはり違いますからねえ。

で、この3つの条件の前に必要な大前提として、
「生徒が教師の話を聞く姿勢が出来てる(教師が生徒に関心を向けさせる)」
というのがありますね。
どんなに教え方が上手かった所で、聞いてもらえなければ仕方ありませんので(笑)。
そういう意味では、0番目に「生徒の心を掴む技術がある」事を加えても良いかも?
1対1の個別指導ならまだしも、学校というのは多くの生徒を同時に見る訳ですしねえ。


> > あと、計算する事だけが、数学という訳ではありません。
> > 図形や表みたいなモノもありますし、論理的な方向に突き進むモノもあります。
> > と言いますか、数学って進めば進むほど、数字とか計算とは姿を消してしまう学問かも?(笑)
> > (具体的に数値を計算する算数と、抽象化により論理力を養う数学の違いって、意外と認知度が低そう)

> 中学でもギリギリ、算数みたいなものだなと感じています。
> 高校数学になると、急に何だこれ?ってものが増えてくるんですよねえ・・・。
> 抽象化による論理力っていうのが、不思議だなあと感じてます。

「抽象化」という言葉が解り難ければ、
「普遍化」「汎用化」「モデル化」などの言葉に置き換えても良いんですけど、
要するに、具体的な数値が入っていると、その場限りの計算式となりますが、
抽象的な記号が入っていれば、どんな時にも成り立つ計算式になるという事ですね。

例えば、次のような法則があったとします。
 1→3
 2→5
 3→7
 4→9
 5→?

この場合、右側の数字は2ずつ増えている事に気付けば、
?に当てはまる数字は、「11」である事が解ると思います。
では、左側の数字が10の時は? 50の時は? 100の時は? となると、
その度に計算するのは面倒ですし、中には答えられない人も居るかも知れません。

ですが、次のように、記号を用いて抽象化したらどうでしょう?
 n→2n+1

こうすれば、次のように、簡単に答が得られるという事です。
 10→21
 50→101
 100→201

これだけだと、「それが一体、何の役に立つんだ?」という感じになりそうですが、
こうした事を、前述された「因数分解」に絡めて話してみますと、
効率的な料理のレシピを書く時などは、因数分解が用いられています(笑)。
例えば「肉じゃが」のレシピを書こうという時に、
「ジャガイモを切って、ジャガイモを炒めて、ジャガイモを煮て、ジャガイモに味付けして、
 ニンジンを切って・・・牛肉を切って・・・」
という具合に料理の行程を進めていては、手際が悪くて仕方ありません。
ですが、これを具材と行程に分けて数式っぽい形にすれば、
 (ジャガイモ→ニンジン→牛肉)×(切る→炒める→煮る→味付け)
という具合に表せます。
更に、それぞれ具材を「a・b・c」、行程を「w・x・y・z」と置き換えれば、
 (a+b+c)(w+x+y+z)=aw+ax+ay+az+bw+bx+by+bz+cw+cx+cy+cz
という因数分解の形になり、記号に何を入れるかで、シチューも煮物も作れるようになると(笑)。

まあ、これは解りやすいように、極端な例を用いましたが、
例えば、数十人いる生徒を、いくつかの班に上手く分けようとしたり、
数百人いる顧客に対して、ランク分けして契約料を変更したりなど、
対象が「数字」で無い場合にも、因数分解の概念というのは役立ちますし、
逆に言うと、生徒や顧客の情報をデータ化できれば、より的確に配分が出来るようになります。


> > > そういえば、理論を理解したら公式は覚えなくてもいい
> > > というふうなコトを聞いたことがありますが、 どういうことなんですか?

> > 例えば有名な所だと、2次方程式「ax^2+bx+c=0 (a≠0)」の解の公式として、
> > 「{-b±√(b^2 -4ac)}/2a」というのが、ありますよねえ?
> > この公式などは、恐らくほとんど人が利用した事があると思いますけど、
> > 丸暗記して記憶が曖昧だと、「4acだっけ? 2acだっけ?」なんて事が起こり得ます。

> 結構ありますね。

もっと簡単な例だと、九九などもそうでしょうね。
便利だから暗記した方が良いですけど、足し算をすれば普通に答えは出せます。
なので、「八七54だっけ? 八七56だっけ? え〜い、54で良いや」なんて時は、
変に記憶頼りにならず、少し時間は掛かっても、8を7回足せば確実なんですよね。
もちろん、九九さえ暗記しておけば、掛け算も割り算も答えられますけど、
掛け算「A×B」は、AをB回足すという足し算の延長であり、
割り算「A÷B」は、AからBを何回引けるかという引き算の延長だという事を、
ちゃんと理解しないまま、テストの点数だけ取れるというのでは、後々躓く要因になると。

また、そもそも九九にしても81個全てを覚える必要など無く、
1の段なんてそのままですし、
「A×B=B×A」だと理解していれば、「A>B」の場合も不要です。
こうすれば、暗記すべき九九の数は36個となり、覚える量を6割近く削減できますし、
覚えやすい5の段と9の段さえ押さえておけば、あとは足し引きで対応可能です。
という事で私は、未だに九九をスラスラとは暗唱できなかったり(笑)。


> > 自力で公式を導き出せる力よりも、公式を上手く利用する力の方が求められます。
> > この事が、受験勉強で「数学は暗記科目」と言われてしまう一因でしょうね・・・・
> > 数学という教科そのものは、決して暗記要素は高くない無いものの、
> > 入学試験や定期試験で用いられるテスト方式だと、どうしても暗記要素の比重が高まると。
> > ちなみに、ここで言う「暗記」とは、単に公式を覚える事だけでなく、
> > 「この問題なら、この公式を使うんだな」という、マニュアル込みでの暗記ですね。
> > (問題集を解くという行為は、実例集を用いたマニュアル作りに近い所があるかも?)

> 数学を出来るようになるには
> 問題集を一回解いてみて、定義を確認するって感じでいいですかね?

う〜ん、これに関しては、「目標をどこに置くか?」で答えは変わってくる気がします。
以前にも書きましたけど、「学問としての数学」と「受験用の数学」は大きく異なる為、
数学が出来るというのが、数学を楽しめる事なのか? テストで点を取る事なのか?
本来であれば、問題演習というのも、自らの理解度を測る1つの手段に過ぎませんけど、
しかし受験用になると、その手段と目的が逆転してしまって、
理解もそこそこに、とにかく問題さえ解ければOKとなってしまいますからねえ。

具体的に言いますと、今回の場合、数学が出来るようになると言うのが、
「教師として、数学の魅力を伝えられるようになりたい」という事なら前者ですし、
「教師になるために、とにかく大学に入りたい」という事なら後者となります。
これ自体は、どちらが良くて、どちらが悪いという話ではありません。
理想を語るなら前者ですけど、現実的に教師を目指すなら後者になりますので。
ですが、例えば、小学校の算数の段階で、小数点や分数の計算を習う訳で、
「1/3=0.333…と割り切れないけど、実際にリンゴは3等分できるよねえ?」とか、
「1/3x3=1で、0.333…x3=0.999…という事は、1=0.999…なの?」と尋ねられた時に、
前者のタイプの教師なら、喜んで質問した小学生に向き合うでしょうけども、
大多数であろう後者のタイプの小学校教師は、果たして、どういう対応をするのか・・・・
(と言いますか、納得できる答えを得られなかったのが、当時の私の実体験ですね・苦笑)

まあ、そんな話はさておき、今までですと値段も手頃な所で、
中高レベルの数学知識がある方には、「オイラーの贈物(東海大学出版会)」を、
大学レベルの数学知識がある方には、「ブルバキ数学史(ちくま学芸文庫)」を薦めてましたが、
ヤン・ウェンリーU世さんが求めていそう条件を、諸々考慮してみると、
「小学校6年分の算数が教えられるほどよくわかる(ベレ出版)」および、
「中学校3年分の数学が教えられるほどよくわかる(ベレ出版)」がオススメですかねえ?
受験に繋がる学校数学の「なんで? どうして?」を、解りやすく解説する この本は、
正直、学問としての魅力を伝えつつ、それが受験にも繋げたい私のスタンスとは異なりますが、
「数学教師を目指したいけど、数学は苦手」という人には、まさに打って付けの2冊だと思います。

> 「平均値」だとか、言葉の意味がなんだっけこれ?っていうのが多く戸惑ってます笑
ザックリ言えば、みんなで1つの財布に入れた後、人数で頭割りしたモノですね。
例えば、10人でバーベキューをやる事となり、
2人が肉1kgを、他の5人は肉200gを持参し、残る3人は肉を持ってこなかった場合、
集まった肉は、全部で3000g (=1000x2+200x5+0x3)となります。
これを10人で均等に分けると、1人あたり肉300gずつ食べられる・・・というのが「平均値」です。
肉を1kg持ってきた人も、全く持ってこなかった人も、等しく300gになります(笑)。

とは言え、時には「ごまかし」の数値として用いられるのも、この平均値です。
例えば、11人の社会人が居たとして、それぞれの年収が、
1人が2000万円、2人が800万円、3人が300万円、5人が200万円だった場合、
全員の総年収は5500万円 (2000x1+800x2+300x3+200x5)で、平均年収は500万円となります。
「平均年収500万円」と聞くと、一見良さそうな感じがしますけど、
しかし、実際に500万円以上の年収を得ているのは、11人の中で3人しか居ない訳です。
共産国家でも無ければ、バーベキューの肉みたいに、みんなで均等に分けたりしませんしね。
ですから、11人のちょうど真ん中にあたる6人目の年収300万円をとる「中央値」や、
11人いて最も多い年収200万円の5人の層をとる「最頻値」というモノもあったりします。
まあ、数字に強くない多くの人に対して、もっともらしいデータと分析を提示する事で、
うまく相手を信じ込ませるというのも、典型的な数学の活用法ではありますが(苦笑)。

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