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[23858] Re2:危機や情勢のレベルを越え、既にウクライナ戦争に返信 削除
2022/3/8 (火) 22:16:41 徳翁導誉

> 私はウクライナでの戦争は、東部だけの限定的な衝突になると見ていたのですが、
> 全面戦争になってしまったので驚きました。

そうですね、私も東部限定に留める可能性の方が高いと見てました。
「ベラルーシがキエフ侵攻の為に道を貸す」可能性が、高まりを見せるに連れ、
全面戦争の危険性が、次第に増していった感覚はありましたね。

正直な所、そこまでベラルーシが荷担するとは、以前は考えてませんでしたし、
逆に言うと、ロシアの後援が必要なくらい、現在のルカシェンコ政権はヤバいのかも?
2020年の大統領選挙では、かなり綻びが見え始めてましたし。
とは言え、ロシア側からの派兵要請は拒否しているので、そこまで崖っぷちでは無いのかな。
ちなみに派兵要請で言えば、今年の1月、治安維持の要請を受けて、
ロシア軍はカザフスタンに派兵したのに、ウクライナへの派兵はカザフに断られてましたね。
アフガンでのタリバン政権復活もあり、隣接するタジキスタンはロシア軍が守ってますし、
アゼルバイジャンとアルメニアの停戦により、ロシア軍の平和維持部隊が両国へ派遣されたり、
「頼りにされてる」と言えば、聞こえは良いですけど、ロシアだって全く余裕が無い中、
旧ソ連諸国の政情不安により、ロシア軍が方々に引っ張り出され、かなり疲弊してそう・・・・

こうなると、「いっその事、ソ連を復活させた方が楽だわ」と、
ロシア側が思ったとしても、ちょっと否定できない感じはするんですよね。
ですが、一旦独立した国を、再度併合するのは至難でしょうし、
もちろん、それで今回のウクライナ侵攻が正当化されるなんて話では、決してありません!!
しかし一方で、時計の針を戻そうとする「ソ連8月クーデター」の失敗により、
「新連邦条約」が締結されず、却って国家分裂の動きを加速させた皮肉を思うと、
(ウクライナでは投票者の70%が、新連邦への参加に賛成票を投じてました)
「もしもクーデターが起きなければ」と、正直思わなくは無いんですよねえ・・・・
バルト3国の独立は必然だったにせよ、ウクライナは必ずしもそうじゃなかったはずで、
中央アジア諸国などは、当時 お荷物として、ロシアから切り捨てられた感さえあります。

大きな国の中にも当然争いは生じますが、それが小さな国々に分かれると、
その数だけ、もしくはそれ以上に、争いも倍々ゲームで増えていくモノですし、
多民族なエリアであるほど、独立は綺麗事ではなく、厄介事が増えるのが現実であり、
それに応じて民族主義が台頭すると、結局は流血の惨事へと繋がっていくと・・・・
これは何も旧ソ連に限らず、旧ユーゴスラビア諸国でも見られた光景ですね。
そして旧ユーゴ紛争の際も、戦争となれば、どちらも残虐な行為に至るのに、
親欧米派か? 親ロシア派か?の違いにより、勧善懲悪のストーリーが作られました。
この件は、NHKの取材に基づき書かれた、こちらの本↓が詳しいです。

「ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争」
https://www.amazon.co.jp/dp/4062750961

・・・って、考えてみると、四半世紀前の日本はまだ、紛争の当事者では無い事もあり、
欧米寄り一辺倒ではなく、それなりに客観的な報道が行えていたのですが、
地理的に それほど違う訳では無い、今回のウクライナ戦争の報道に関しては、
もう完全に、欧米報道の受け売りでしか無くなってしまいましたね・・・・
まあこれは、もう日本の報道に、独自取材が行えるだけの余力が無かったり、
イラク戦争の後、恐らくは意図的な誘導もあって「自己責任論」なるモノが吹き荒れ、
結果的に、日本人が自ら目や耳を閉じてしまった側面もある気がします。
これは長い目で見た場合、日本にとって、決して良い傾向では無いと思うんですよ。

> 個人的には欧米諸国、特に米国が場合によっては軍事介入もありうると釘を刺して、
> ロシアが開戦を思いとどまってくれるのがベストでした。

現在、NATO軍に対して「飛行禁止区域を設定しろ!」という話が出ていますが、
既に戦争が始まり、ロシア空軍がウクライナ上空の制空権を押さえた段階で、
いくら「空の中立化」を訴えても、それは実質的なNATO参戦になってしまうのですから、
「開戦を思い止まらせる」という意味では、「欧米の軍事介入を臭わせる」以上に、
ウクライナ上空の「空の自由(航空路)を守る!」という姿勢の方が、より適切だったかと?

簡単に説明すると、世界130あまりの国々は、相互に旅客機や貨物機の領空通過を認め合っていて、
アメリカやEU諸国、日韓豪あたりは勿論の事、その国際協定にはウクライナも参加しているんですね。
(ちなみにロシア・中国・ブラジルなどは、安全保障の観点から参加してません)
で、海賊から船舶を護衛する為に、各国がソマリア沖に海軍を派遣しているのと同じように、
航空機の護衛を目的に掲げると共に、本当に時々で良いんで、NATO空軍機をウクライナ上空で飛ばせば、
(ドンバス地域で、マレーシア航空機が撃墜される事件があったので、一応の大義名分は立つかと)
開戦と同時に制空権を握りたいロシア軍からすれば、これは大きな牽制になりますし、
もしも攻撃を仕掛けた場合、それはロシア側からNATOに喧嘩を売った構図になりますから、
これを行うだけでも、プーチンの開戦意思を挫く、かなりの抑止効果はあったかと考えています。

> 現状のメディアの動きを見ると、報道が過熱して偏って来ているなというのは私も感じます。
> ゼレンスキー大統領と政権の打ち出してる政策はとりあえず、できることはなんでもやって、
> ヒットしたりエラーしたりしながら、かなり綱渡りと行き当たりばったりで舵取りをしている感じがします。

恐らく、先の着地点などは全く検討してないか?
もしくは、最悪の着地点を検討しているのか?

国民総動員令を発動し、18〜60歳の全男性を動員対象として出国禁止にするとか、
希望する国民全員に武器を供与するとか、大規模に外国人義勇兵を受け入れるとか、
これって、泥沼の長期戦に持ち込み、戦場の市民生活の垣根を無くして、
数十万人、場合によっては100万人規模の、民間人犠牲者を覚悟の上で、
ロシア軍を撤退に追い込む作戦であるなら、軍事的には非常に最適な選択なんですよ。
でもこれ、政治的にであったり、人道的に考えた場合、本当に良い選択なんですかねえ?

また、これで仮に、ロシア軍を撃退できたとしても、
失われた人命は帰ってきませんし、一旦バラ撒かれた兵器の回収なんて無理でしょうし、
居着いた外国人民兵(反ロシアのイスラム系も参戦表明)を排除するのも難しいでしょうから、
国内の政情安定化には、かなりの時間と労力を要するはずで、
それに何より、独立以後の30年間でさえ、ウクライナ系とロシア系の住民が混在し、
その主導権争いから、腐敗と暴力で政情があまり安定しなかった国で、
一般市民に武器が行き渡った場合、国防戦争の後に、内戦突入なんて最悪のシナリオも、
絶対に無いとは、断言できない気はするんですよねえ(確率的には低いでしょうけど)。

実際、先日の停戦協議にも参加した、ウクライナ側の代表者の1人が、
その直後、「ロシアのスパイ」として処刑されたなんて話を聞くと、
今は侵攻軍という共通の敵が居るから良いものの、これが引いた後、
この戦争で深まる可能性がある、ウクライナ系とロシア系の軋轢が一体どうなるか?

ウクライナ側が発表している、「殺害したロシア兵」の数が異常に多いのは、
もしかしたら、単なる戦意高揚のプロパガンダ目的だけでなく、
「誤殺されたロシア系国民」が、多数含まれてるからなのかも知れません。
日本語が話せるキエフ在住のウクライナ人が、テレビの生中継に出演した際、
「戦争中だから、スパイ疑いの誤殺は仕方無い」
という発言を、聞かれてもいないのに、ポロッとしたのも、
番組ではスルーされてましたけど、個人的には気になったんですよね。
ひょっとしたらキエフでは、それ系の事件が多発し、市民の間で噂になってるのかな?と。

いや本当、こういう時って、一致団結する事で国民意識が醸成される好機でもあるのに、
疑心暗鬼からロシア系を処刑するような事が続いたら、両者の溝は広がるばかりで、
そうした意味では、20年30年の単位で見ると、危険なパンドラの箱に手を掛けた危険性も・・・・

> かなり無理をしていそうなので、過度な英雄視は本人のためにもどうかなと。
> この危機を乗り切っても、最後は綱から落ちそうに見えます。

ゼレンスキーという人は、もともと全く政治経験の無い、コメディー俳優であり、
ドラマでの大統領役がヒットして、そのまま大統領選挙で当選してしまい、
政権スタッフまで、ドラマの制作陣を配置してしまった人なので、
このような状況になると、却って役に入り込んでしまい、意外とノリノリだと思いますよ。
(ちなみに首都キエフの市長も、元ボクシング世界王者のクリチコ兄という陣容・苦笑)
なので、戦意高揚の能力という意味では、普通の政治家なんて足元にも及ばないでしょうし、
現状では、それが上手い方向に働いているとは思いますけど、
そもそも論で言ってしまうと、そんな政治素人だからこそ、ここまで事態を悪化させたとも・・・・
以前は支持率なんて確か10%台だったのに、開戦後は90%オーバーと爆上げな事を思うと、
良い悪いは別として、綱から落ちて手が放れそうな所から、戦争勃発で登り直せた感じですよね。

更に言うと、この人って実は、あまりウクライナ語が話せないんですよ。
ロシア語を母語とするユダヤ系であり、タレント時代の活躍の場もロシア語メディアで、
だからこそ、ウクライナ国内に留まらず、ロシアや旧ソ連諸国でも活動してたのだとか。
ですから、当選前は「ロシア寄りの政治家」と見なされてましたし、
こうした経歴から、ロシア側からも「御しやすい存在」と、甘く見られてた面はあると思います。
どうやら、地道な演説活動などは行わず、テレビ出演だけで当選しちゃったみたいですし。
でもまあ、ゼレンスキー自身は、「ロシアとEUの等距離外交」を指針しており、
ウクライナ民族主義寄りの政権が、ロシアとの関係を拗らせ、これほど政情を不安定化させた為、
ロシアとの関係が深い東部国民の支持を中心に、ロシアとの関係改善の願いも込めて、
ロシア寄りと見なされたゼレンスキーが、圧勝で大統領に就任した事情がありました。

とは言え、繰り返しになりますけど、魅せるのは得意でも、政治なんて未経験ですから、
外交には相手国がある事もあり、事前に唱えてた公約などは全く上手く進まず、
そうなると、支持者は一気に離れていって、批判者の声は勢いを増してくると。
こうなってしまえば、無難な現実路線に軟着陸するのが、1つの選択肢ではありますよね。
「ロシアとEUの等距離外交」なんて言っても、ロシアから見れば重要な隣国&兄弟国であっても、
EUから見れば東欧より更に先にある欧州の辺境なので、得られる支援額なんて天と地の差があり、
10年後20年後のEU加盟という遠い夢を見るよりは、何よりも目先の冬を越す為に、
ロシアを頼るというのは、妥協ですけど現実的で、恐らく国民の多数はそれを望んでいるんです。
しかし、過去の例から見ると、それを選ぶと、欧米の後援を受ける反ロシア派が、
デモを起こして、政権を転覆させ、自身も国外へと追われる危険性があるので、容易には決断できない。

そこで結局、ゼレンスキーが選んだ もう1つの選択肢というのが、
自分を批判する側だった反ロシア派に近付き、ロシアに対して強硬姿勢で挑む方針転換でした。
(ウクライナ系住民の心を掴む為、ウクライナ語も必死に勉強してるらしいですよ)
これはもう、甘く見ていたロシア側からすれば、飼い犬に手を噛まれたが如く、腹立たしい事態で、
ロシアとの関係改善を願い、ゼレンスキーに投票した東部の国民からすれば、
戦争勃発となった現在、大きな声じゃ言えないでしょうけど、裏切られた思いが実はありそう・・・・
実際、ロシアと戦争になって戦火に巻き込まれるのは、反ロシア派の暮らす西部地域ではなく、
親ロシア派の暮らす東部地域ですしねえ(だからと言って、ロシア軍を歓迎するかは別問題)。

ちなみに、この構図って身近な例だと、韓国の李明博に近いのかな?
日本生まれの知日派財界人として、韓国経済の復活と、日韓関係の修復を期待され、
2008年の大統領選挙に勝利するも、やはり政治というのは、そう簡単なモノでは無かったと。
で、期待された成果が得られず、次第に政権求心力を失い、左派勢力からの批判の声に抗えなった為、
保守系ながら「反日カード」を切って、日本の反応を読み誤って天皇批判や竹島上陸まで行うと、
日韓関係は却って悪化させた上に、それで左派系からの支持を得られた訳でもなく、
事前の期待が大きかったからこそ、その反動で、物凄い低評価な大統領になってしまいました。
そういう意味では、今回のゼレンスキーも、李明博に似ている気はするんですよ。
ただ違ったのは、その相手国が日本ではなく、ロシアであったという事(苦笑)。

・・・と、ここまではかなり辛辣に評しましたけど、
ハッキリ言って、改選前の段階では、こんな低支持率な大統領では、
あくまでも、「現職大統領」という肩書きが重要なだけで、
この人自身の戦略的な価値は低いかな?とも見てたんですけど、
危機の場面だからこそ、役者としての本領が発揮されたというか、
こうなるともう、ロシア軍としても、絶対に確保が必須なターゲットになりましたね。
でもそれって、自らの命の危機を、自分自身で上げてしまった事でもあるので、
どこまで理解し、意図的に演じているかは別として、これはこれで凄い事かな?と。
あっさり逃亡していれば、ウクライナ軍の抗戦も、今ほどでは無かったかも知れませんし。
そう言えば、日本の小泉元総理も、良い悪いは別として「名役者」だったなぁ・・・・


> 逆にロシアのプーチン大統領は有能・優秀というイメージがありましたが、
> 年齢的な衰えや健康不安があるという報道には納得できます。

まあ確かに、暴挙と言えば、暴挙なのですが、
逆にプーチンの立場になって考えると、「止むに止まれず」な側面もあるかな?と。
それこそ日本なんて、それ以上の暴挙を、80年前にやってますからねえ・・・・
太平洋戦争に比べれば、まだ今回のロシアの方が、勝算がありそうな気がします。

あと、今回の件も、戦前の日本と、現在のロシアを比べてみれば、
その心情や決断が、日本人なら見えてくるかも知れませんね。
「ウクライナから手を引け(クリミアも含む)」と言うのは、
「中国大陸から手を引け(満洲も含む)」に通ずる所がありますし、
NATO拡大はABCD包囲網に、ロシアのSWIFT排除は対日石油禁輸に、似てなくも無いかも?
ですから、「これだけやれば、やらないだろう」というのは、あくまで他人事の視点であり、
「これだけやられたら、やらざるをえない」というのが、当事者の視点でしょうから。

ただしロシアは、日本と違って、自足自給が可能な国ですし、
クリミア編入の時点で、既に経済制裁は喰らっていて、そうでもどうにか出来ていたので、
更に苦しくなるとは言っても、あのソ連時代に比べるとマシという意見も(苦笑)。
それに、事態が終息して、その状態が長期化してしまえば、所詮は他国の事ですから、
容認はしないまでも、黙認という状態に、落ち着きそうですし、
世界の情勢に変化があれば、晴れて有耶無耶になるのが、世の常ですからねえ。
例えば最近は、日米豪印の4ヶ国による「クアッド(Quad)」の連携が叫ばれてますけど、
核実験強行に伴うインドに対する経済制裁って、一体どこに行ったんでしょ!?
(ちなみに正解は、9・11テロに伴うアフガン侵攻を機に、わずか3年で制裁解除)

ですのでロシアの事も、いざ米中が睨み合った際には、あっさり許すかも知れませんし、
許されなければ許されないで、中露の連携が一層深まり、中国が更に巨大化するだけかも?
NATOだって、トランプ再選などでアメリカが抜ければ、ドイツを中心に、
ロシアとの手打ちを模索する動きが出るかも知れません。
脱原発&脱炭素なんて政策を続けるなら、ロシアからのエネルギー輸入は不可欠であり、
西側諸国だって戦時中、自国の利益の為に、ソ連のバルト3国併合を黙認しましたからねえ。
昨今の「自国第一主義」が台頭する時代背景を踏まえれば、そうした展開も充分あり得るかと。

そして何より、欧米や日韓豪といった先進国クラブが、如何に強く批判したとしても、
それが世界の全てではなく、実際に国連総会におけるロシアへの非難決議は、
141ヶ国が賛成票を投じた一方で、「反対5票・棄権35票・欠席12票」でしたからねえ。
また、賛成した国の中にも、独裁国や戦争を抱えた国は数多く、
本当に、制裁とか断行までするような国が、一体どれだけあるかとなると・・・・
国連総会に先立ち行われた安保理でも、当事国のロシアの反対(拒否権発動)は当然として、
中国・インド・UAEが棄権に回り、ロシアを除く14ヶ国が全会一致とはなりませんでした。
これに対して、「中国とロシアは一心同体だから」とか、
「まさかクアッドの一員であるインドが棄権するなんて」という、
あまり国際情勢に詳しくない反応も、ネット上では数多く見受けられましたが、
(中国は中国の、インドはインドの国益を追求して、それぞれ動いてるだけ)
ここで一番驚くべきなのは、「UAEまでもが賛成しなかった」って所なんですよね!

UAEって、国内に米軍基地があるくらい、アメリカ寄りの国ですし、
当然ながらアメリカも、今回の非難決議に賛成するよう、最後まで説得したようですが、
アフガン撤退を機に広まった、中東におけるアメリカ軍への不信感増大や、
石油価格の調整の為、同じく産油国であるロシアとの、近年における急接近。
そして何より、アラブの春によって台頭した、イエメンのシーア派勢力を叩くべく、
UAEはサウジアラビアと共に、イエメンに対する軍事侵攻を長年続けている最中であり、
ウクライナ戦争の非難決議に賛成するなら、イエメン戦争でも非難決議を出すと、
ロシア側から脅されてた・・・という事情があったらしいんです。
ぶっちゃけ、戦争の構図としては、あまり変わらない上に、
イエメン戦争の方は、既に10万人を超える死者を出してますからねえ・・・・
もちろん、こちらに関して、欧米諸国は見て見ぬ振りですし、
何なら駐留するアメリカ軍は、イエメン側からの攻撃を迎撃してくれてます(苦笑)。
まあ、アメリカ軍が行ったイラク戦争では、民間人が15〜20万人死んでおり、
そこには、NATO加盟を目指すウクライナ軍も賛成していた為、
今回の侵攻に対して、中東での同情意見は、我々が思っている以上に少ないそうです。

で、ロシアとUAEが凄いな・・・と言うか、政治の世界って暗闇だなと感じるのは、
UAE側が、ウクライナ戦争の非難決議に棄権する代償として、
ロシア側は、イエメン戦争の非難決議を出さず、
それ所か、UAEが戦っているシーア派勢力を、テロ組織として容認するという、
非常にアグレッシブな裏取引が、実はあったらしいんですよね!?
そういう意味では、ロシアやプーチンの判断力って、本当に鈍ってるのでしょうか?
ちなみにUAEは、アメリカ軍だけでなく、フランス軍まで基地提供して駐留させてますし、
そうする事で、ペルシャ湾を挟んで向かい合う、イラン軍の脅威を凌ごうとしています。
そして、安保理で欲しいモノを全て得たUAEは、直後の国連総会では一転して、
今度はアメリカ側の機嫌を取るべく、ロシア非難決議に賛成に回ったと(笑)。

少なくとも、今の日本じゃ、ロシアやUAEのような外交的立ち回りは無理でしょうね(苦笑)。
せいぜい、イスラエルに対する非難決議が出された際、
反対(拒否権発動)に回るアメリカに付き合って、棄権をするくらいですから。
って、今回の決議に棄権した国を責める人たちは、日本の棄権も同じく責めてるのかなぁ?

> 長期独裁政権の問題点は、次の指導者の芽を摘み取ってしまう事に思えました。
> 定年制や再選の禁止にはやはりしっかりとした意味があるんだなと。

一応、ロシアも憲法で、大統領の「連続3選禁止」が定められており、
だからこそプーチンも、2000年から2008年まで、2期8年の大統領職を務めた後、
4年置いて、2012年に大統領再登板を果たしているんですよね。
いくら与党の党首を務め、空白期間は首相職も務めていたとは言え、
一般的に言えば、これって現実的には、相当のレアケースです。
真に独裁者なら、改憲して3選すれば良いのに、それが可能なほど強権では無く、
であるのに、4年間も権力を維持できたまま再登板を果たすなんて、普通じゃ有り得ません。
そういう意味では、「有能・優秀というイメージ」は、決して誤りでは無いかと?

ちなみに、現在でも連続3選禁止の条項は残っているのですが、
再登板後のプーチンは、憲法改正によって、大統領の任期を4年から6年に伸ばし、
更には一昨年、改正新憲法の発布で、旧憲法下での歴任は一旦リセットする荒技に出ました(苦笑)。
でも、これは逆に考えると、プーチンは「連続3選禁止」の維持に必死な訳で、
ある意味では、後々のロシアの事を考慮しての拘りなのかも?(自分だけは特別扱いですが・笑)
あと、ここまでやって、5選(2024-2030)・6選(2030-2036)への道を整えたプーチンですけど、
今のプーチンの状態を見ていると、とても2036年までは行けそうに無いですね・・・・
70歳手前でこれだと、83歳だなんて、さすがに無理でしょ!?
そうなると、どれだけプーチンが望んだ所で、再選というのは難しい気がします。

世間一般のイメージ的に、ちょっと勘違いされてる気がしますけど、
ロシアって中国などとは違い、一応は選挙で大統領を選ぶ「民主国家」であり、
それは何も、形式的に選挙を行ってる訳では無く、本当に行っているんですよね。
もちろん、日本や欧米諸国に比べれば、選挙の不正は蔓延してるでしょうし、
立候補者の資格差し止め処分なんてモノも出されたりしますので、決して完全ではありませんが、
それでも、地方の知事選挙では、野党系の候補が勝利するなんて事もあります。
過去4回の大統領選における、プーチンの得票率も「53%」「72%」「64%」「78%」となっていて、
完全勝利はしているものの、イメージほどの圧勝とは映らないのでは無いでしょうか?
(ちなみに参考までに、橋下大阪市長の市長選での得票率は「59%」「88%」)

まあロシアの場合、第2党が共産党で、第3政党が極右政党という事情もあります。
新興財閥や在外系が支援する改革派の新政党は、それ故に金銭問題を起こしがちで人気が上がらず、
寄らば大樹の陰と、政権与党だけが寄り合い所帯として肥大化する中、
少ない野党支持者を取り合って、野党同士が内ゲバを起こすのも、支持者離れを加速させると。
ロシア政界は「独裁!独裁!」と非難されがちですが、実はこの構図って、
55年体制下における「自民党の一党支配」時代とも、ちょっと似ている側面もあるんですよね。
ロシア国民的に、そこまでプーチン絶対支持じゃないけど、共産党や極右政党よりはマシだと(笑)。

そういう意味では、今回の戦争を始めたプーチンを失脚させるべく、
「ロシア軍は反旗を翻せ!」だとか、「市民デモで政権を転覆させろ!」とか主張する人が居ますが、
最も穏健で、確率的にも高いのは、2年後に迫った大統領選で、
プーチン以外の候補が勝たせる展開に持ち込む事でしょうし、
ここで焦ってプーチンが弾圧に動けば、それこそ軍にそっぽを向かれ、デモで政権が転覆しそう。
プーチン自身はKGB出身なので、大統領の職務を超えて、ロシア軍を掌握している訳じゃないですし、
選挙の勝利には過半数の票が必要ですが、デモでの転覆なら国民の2〜3割の支持で実現可能です。
具体的には、赤の広場に5万人でも10万人でも、デモ隊の若者が現れれば、
いくら大統領の命令があっても、兵士だって国民に銃口を向けられなくなりますし、
そうした民意が現場に集まる人たちだけでなく、世間でも一定数は良そうだと感じられれば良いはず。
(経済制裁で耐え切れないほど市民生活が困窮すれば、選挙に関係無くでも発生の展開も?)
実際、東欧諸国の政権崩壊時や、ソ連8月クーデターの際は、そういう光景が見られましたからねえ。

あとは、選挙でプーチンを脅かす、対抗馬と成り得る様な候補者の弾かぁ・・・・
欧米諸国が支持するような、市民活動家上がりの政治家は、
実際のロシア国内での支持率となると、国民全体の数%くらい関の山でしょうし、
欧米的にはナワリヌイを推したい所でしょうが、ロシアで広範な支持が得られるかとなると?
かと言って、共産党や極右政党なんて、プーチン以上の強硬路線ですので、
ウクライナ戦争を止める狙いがあるなら、ここからの大統領選出も望ましくなく、
う〜ん、そもそも私はロシア政界の事情なんて、全く詳しくないので、
一昔前の古い名前になりますが、イリーナ・ハカマダ女史くらいしか名が浮かばない(苦笑)。
(戦前にソ連へ政治亡命した袴田陸奥男の娘で、日本ロシア学の第一人者である袴田茂樹は異母兄)
プーチンが2選目を果たした、2004年の大統領選挙にも出馬し、4%しか得票できませんでしたが、
違法とならない範囲の政治活動で、合法的にプーチン政権の交代を迫り、
リベラルかつ民主的で、旧ソ連的な大国主義を否定し、欧州協調路線を示した彼女なら、
欧米ウケも良いでしょうし、古い名前だからこそ、それなりに国内知名度もありますからねえ。
これまでの活動歴や、女性である事を踏まえると、プーチンもそこまで強行手段は取れないでしょうし。

その他だと、ひ弱な野党では頼りないとなれば・・・実現性の程は解りませんけど、
寄り合い所帯である政権与党を、割らせる方向で仕掛けてみるとか?
プーチンの最側近として、首相や大統領職(2008-2012)を務めたメドヴェージェフが、
現在、影響力が高まりすぎた事もあって、閑職というか、名誉職に回されているので、
上手いこと切り崩せれば、プーチンに対する強力な対抗馬になりうるかと?
実際、プーチンが大統領1期目の際に、首相を務めたカシヤノフは、
大統領職に色目を見せた事で首相を解任されると、野党を結党して反プーチンの姿勢を示し、
大統領選にも打って出ようとした事実がありますからねえ。
もしも今回の戦争でプーチンの政権基盤が揺らげば、与党内での静かなクーデターでも良いので、
プーチンの身の安全と財産を保証する替わりに、メドヴェージェフへの禅譲が行われ、
それに伴い、ロシア軍撤退&欧米からの支援取り付けとなれば、平和理に終息できるかも?
有り得るとすれば、今回の経済制裁で大打撃を受けた、新興財閥から担ぎ出される形かな。
いくらロシアが武断的な国家だとは言え、やはり経済だって重要ですし、市民生活は尚更なので。

とは言え、プーチン政権の実態が、西側のイメージほどの独裁では無い以上、
西側メディアが映さない、ロシアの物言わぬ多数派の意見というのは、恐らく、
今回の戦争に対して、積極的に賛成とは言わずとも、それなりの理解を示してるはずなんです。
そして、「1発喰らわせれば壊れる」などという、安易な考えのもとに手を出せば、
却って多数派の賛成意識に、火を付ける結果になってしまいかねない為、
仮に何か仕掛けるにしても、その辺の民意の読み間違いは、絶対に避けるべきでしょうね。


> また、制裁の動きばかり目立ちますが、事態の収拾に向けた外交の動きがほとんど見えないのが気になります、
> 本来は制裁と外交的なアプローチがセットで働くべきだと思うのですが、現状はそうなっていない。

戦闘終結を優先するのであれば、「三方一両損」的なのが落とし所でしょうけど、
まあ実際は、どちらかが潰れるか、完全に要求を呑ませるまで、戦争というモノは続きがちですし、
双方の流血量が増す程に、安易な妥協は出来なくなると言うか、
そうすると、逆に交渉者や決定者の身が危険になるので、
国益よりも保身に走るようになると、尚更、停戦など結べなく為るんですよねえ・・・・

ちなみに、もしも私が当事者なら、この辺りの妥協案を提示するかな?
 1.ウクライナは遡及して、クリミアの独立を認める(ロシア編入は独立後の扱い)
 2.東部2州を含め、ウクライナ全ての州に高度な自治国とし、ウクライナを連邦国家化
 3.ロシア軍は東部2州から兵を引き、ウクライナ国内の自治国として存続させる
 4.ウクライナは軍事面で、旧ソ連諸国の「集団安全保障条約機構(CSTO)」に加盟する
 5.ウクライナは経済面で、EUへの加盟申請を行い、終戦後に履行を願う

1に関しては、そもそもクリミアってソ連時代に、
ウクライナ出身のフルシチョフにより、ロシアからウクライナに転籍された土地であり、
住民としてはロシア系が多く、ソ連崩壊によりウクライナが独立する際には、
クリミアはクリミアで、住民投票の結果を受け、独立を宣言してましたからねえ。
「自分たちは独立してもOKだが、お前らはダメ」では、本来なら筋が通らない所ですが、
まあそこは、ソ連崩壊直後のゴタゴタもあり、クリミアに高度な自治権を認める事で、
ウクライナ国内に留まる事を納得させたという過程がありましたからねえ。
それなのに、2014年の革命の際に、臨時政府の実権を握ったウクライナ民族主義者により、
クリミアの自治権は取り上げられたのですから、再度の独立宣言は妥当と言えなくも無いです。
これはもう、苦渋の決断かも知れませんけど、現状を認めた方が良いと思いますし、
ウクライナ側から見ても、ロシア系国民の比率を下げられるメリットが、実はあります(苦笑)。

続いて2と3に関しては、ウクライナ系とロシア系が混在するから、
いつまで経っても国が安定しないのなら、2等分にするのはさすがに無理でも、
各州ごとの自治権を、今以上に認めてしまった方が、争いが起きないと思うんです。
ウクライナ民族主義者が、どれだけロシアの言語や文化を排除しようとしても、
ロシア語しか話せない国民が3〜4割も居るのですから、それは無理って話だと思うですよ。
であるなら、各州の実状に合わせて、政策を決めた方が良い気がします。
あと、これだけなら自治州でも良いのですが、既に独立承認したロシアのメンツを考慮すると、
これはもう名目の違いで、自治州よりも自治国(連邦制)とした方が、
ロシア的にも、東部2州を返しやすいでしょうし、影響力を残せるという観点です。

最後に4と5に関しては、それこそ今回の戦争が、ウクライナのNATO加盟申請をキッカケに始まり、
また、プーチンの要求も「ウクライナの中立化&非武装化」であるのなら、
それはさすがに現実性が乏しいので、CSTOに加盟するというのがリアリティーのある選択かと。
こうして一旦、ロシアの子分となってしまえば、思ってる以上にロシアは寛大・・・というか、
実態としては、ロシア軍は盟主として良いように使われてて、負担の方が多い印象ですし、
極端な話、もしもCSTOが気に入らなくなれば、そこから離脱しちゃえば良いんです(笑)。
実際、アゼルバイジャン・グルジア・ウズベキスタンの3ヶ国は離脱しましたし、
ウズベキスタンなんて、そのあと再加盟して、更には再離脱したり、
離脱したアゼルバイジャンも、困った時には協力を仰いだりしてますからねえ(苦笑)。
ロシア目線で言うと、別に味方にならなくても、敵にさえならなければOKな所があるので。

そして、これはある意味で肝なのですが、ロシア側の拘りは軍事面なので、
ロシアと欧州の両天秤路線という事で、経済面での安全保障としてEU加盟を目指すと。
ロシアにしても、EU内に取り残された、飛び地であるカリーニングラードを、
EUとの経済特区にして、発展させようという戦略があるくらいですし、
NATO加盟に比べれば、EU加盟にはそこまで警戒感は無いと思うんです。
それに、平時となれば、最も重要なのは経済であり、
今の状況だからこそ、加盟審査も甘くなる事が想定できるとすると、
終戦とEU加盟を抱き合わせる事で、アメリカ側からも圧力を掛けてもらっても良いかと?
また、ロシアとも自由貿易協定を結ぶ事で、ウクライナがEUとロシアの中継地となれば、
EU的にも手放し難くなりますし、ロシア的にも侵攻し難くなるという側面もあります。
これはこれで、軍事力を用いない安全保障戦略だと思うんです。

以上、ウクライナ側には譲歩する要件が多いですし、
ウクライナ民族主義者からは、絶対に反対の声が挙がりそうですけども、
数十万人の死者を避けつつ、ウクライナ国家の独立と存続を考えるのであれば、
この辺りが、無難な落とし所だろうと、個人的には思うんですけどねえ・・・・

> こういう時に、特使や大臣を派遣したりできれば日本も外交ができるなと思えるのですが……
東京五輪での失言問題もあり、世間的な評価は著しく低いですが、
そういう役割が出来るのって、日本だと森元総理くらいしか居ないかも?
何故だかは解りませんが、独裁的な政治家の心を掴む事に、やたらと長けてるんですよね(笑)。
日本の政治家の中で、最もプーチンが心許せる存在も、間違いなく森元総理ですし、
昔ながらの田舎的な調整型の人柄が、現代の日本だとトラブル・メーカーになるものの、
物事の裏表で、こういう時には役立ったりする事があるんですよね。
これはもう人間性の話なので、首相任期は長くても、小泉元総理や安倍元総理では無理かな?
民主党政権の際も、私的特使として、森元総理のロシア派遣は検討されてましたし、
そうした縁もあっても、現在進行中の国会でも、立憲民主党の方から、
岸田総理に対して、森元総理の特使派遣案が出されてましたね。
でもまあ、今この段階で、日本が特使を送った所で、何の交渉カードも持ち合わせていないので、
「今のところ予定はない」と応えてましたし、そりゃそうだろうなと、私も思います。

現段階で、日本が行える外交カードがあるとすれば、
それはウクライナから逃げてきた、避難民の受け入れくらいでしょうね。
まあ実際問題、欧州から遠く離れ、言葉も文化も異なる日本に、
逃げて来ようなどというウクライナ国民は、恐らくほとんど居ないでしょうし、
そもそも、在日ウクライナ人が2000名に満たないとの話を聞くと、
駐日大使館とも相談しながら、彼らの親類縁者を即座に受け入れ、支援するだけでも、
言葉は悪いですが、国際的に大きなアピールにはなりますし、
現実的な出費や負担を考えても、大したモノにはならないはずです。
そして、岸田総理は中道左派な政治家なので、実際にそのように動いてるようですが、
方針的には示したものの、実現の動きはまだまだ遅いといった感じでしょうか?

在日ウクライナ人による呼びかけで、子供たちから集めた寄付金が、武器購入に使われたのを見ると、
日本に逃れてきたウクライナ人の為に、支援金を募った方が、ダイレクトに効果が見えますし、
資金の使い道としても、日本人側の心情として、やはりシコリが残らない気がするんですよね。
いや勿論、武器を送ったウクライナ人の思いも、それはそれで解らなくは無いのですが・・・・

あと、日本を含めたアジア諸国が、地域安全保障の観点から売却を反対する中、
ロシアも享受を制限してきた旧ソ連の軍事技術を、空母・爆撃機・揚陸艇を売り渡す事で、
中国軍の外征能力を飛躍的にアップさせたのは、何を隠そうウクライナですからねえ・・・・
今回の戦争を受け、今後の中国軍の動きを不安視すると共に、
侵攻されたウクライナに対して同情するのは、私も充分に理解できるのですが、
そもそも論として、昨今の東アジアの情勢不安に、ウクライナが一役買っている事を踏まえると、
純粋に「ウクライナ、かわいそう」と同情すれば良いような、そういう単純な話では無いんですよね。
(って、日本は日本で安倍政権時、イスラエルと共同で兵器開発を始めた為、中東から恨まれるかも?)

まあ、ウクライナ西部の住民が、強硬な反ロシア路線なのは別に構わないとして、
「民主的に誕生した政権が親ロシアな政策を採ると、選挙ではなくデモで転覆させる」
「ウクライナ国民の4割を占めるロシア語母国者の権利を侵害する」
「広範な自治権を認めて独立を阻止したクリミアから、自治権を剥奪する」
「EU加盟は遠い夢で、ロシアから受けた1兆円規模の支援金は返さない」
「ロシアにガス代金を支払わず、ガスを止められるとEU輸出分を勝手に使う」
「国を立て直す具体策は乏しい一方、金権的で政治は腐敗(腐敗は親ロシア派も同様)」
「1万人以上の死者を出すドンバス紛争で、停戦合意とは逆方向に攻勢を強める」
などの行為は、さすがに目に余ると思っています。
勿論、だからと言って、今回のロシア軍の侵略行為が正当化される訳では、当然ありませんが!!

2014年のソチ五輪の最中には手出し出来ないだろうと、ウクライナで仕掛けられ、
2018年のロシアW杯を控える為に、ロシア側も大規模な反撃に出られず、
2022年の北京冬季五輪の閉幕を待って、こうして今回、反撃へと打って出たものの、
その8年間の内に、これ程までにウクライナ軍が増強された事で、
ロシア軍の電撃作戦が不発に終わったと考えれば、
凄く皮肉で逆説的な見方ですけど、やはり「スポーツ平和」の効果って大きいのかな?(苦笑)
それこそ8年前の段階で、自国開催の五輪もW杯も投げ捨てて、今回のような侵攻を行っていれば、
恐らくはアッと言う間に、首都キエフを始めとして、ウクライナの大部分は制圧されてたでしょうし。

ちなみにW杯繋がりで言うと、ロシアは前回大会の開催国ながら、
今年あるカタール大会の欧州予選で、相手国が次々と対戦拒否の姿勢を示した事で、
不戦勝でロシアのW杯出場が決定・・・とはならず、
逆に、ロシアを予選から排除する事で、欧州予選の正常化が図られる結果となり、
結局ロシアは、戦わずして、カタールW杯への道は絶たれましたね。
北京冬季パラリンピックへの出場も、一旦はIPCから認められたものの、
最終的には国際世論に負けて、開会式の前日に一転して排除となりましたし、
そうした事情もあってか、現地ロシアでは、こんな案↓まで出始めているのだとか。

「ロシアサッカーにAFC進出プラン 『制裁は日本だけ』 中国が後方支援=現地報道」
https://www.tokyo-sports.co.jp/soccer/world/4033883/

ロシアって、国土面積だけで言えば、その8割近くはアジアですし、
逆パターンとして、中東諸国に対戦拒否されたイスラエルが、欧州に転籍した実例があるので、
(アジア在籍時のイスラエルは、アジア杯優勝1回・W杯出場1回・五輪出場2回の強豪国)
ウクライナ占領が長期化し、欧州では復帰の目処が立たなければ、意外と有り得ない話では無いかも?
この記事に対して、「アジアでも対戦拒否されるだろう」との意見も、数多くも見ましたが、
実際の所、アジア連盟所属国の中で、今回のウクライナ侵攻に対する国連非難決議を見ると↓

 非難決議に賛成:日本・韓国・オーストラリア・サウジアラビア・タイなど24ヶ国
   (クリミア編入時は棄権:アフガニスタン・ブルネイ・カンボジア・ミャンマー・ネパールの5ヶ国)
   (クリミア編入時は欠席:UAE・レバノン・オマーン・イエメン・東ティモールの6ヶ国)
 非難決議に反対:北朝鮮・シリアの2ヶ国
 非難決議を棄権:中国・インド・イラン・イラク・キルギス・タジキスタン・モンゴル
            パキスタン・バングラデシュ・スリランカ・ベトナム・ラオスの12ヶ国
 非難決議を欠席:ウズベキスタン・トルクメニスタンの2ヶ国

という結果なので、クリミア編入まで含めて非難したのは、日・韓・豪など13ヶ国しか居らず、
その中で、ロシアとの対戦拒否まで打ち出す強硬姿勢の国が、一体何ヶ国あるかとなると・・・・
例えば日本も、ロシアに対する経済制裁に加わるくらい、アジア内でも厳しい対応を取る国ですが、
同じく制裁中の北朝鮮に対して、対戦拒否(厳密には入国拒否)が検討されたのは、民主党政権時だけですし、
(この時は結局、反発した北朝鮮の方から出場辞退した為に、日本側の対戦拒否とはならず)
平和な欧州と違って、内戦や独裁を常に抱えるアジアは、ある意味、その辺の基準が緩い気がします。

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