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[23867] Re4:危機や情勢のレベルを越え、既にウクライナ戦争に返信 削除
2022/3/15 (火) 21:57:29 徳翁導誉

> > そして旧ユーゴ紛争の際も、戦争となれば、どちらも残虐な行為に至るのに、
> > 親欧米派か? 親ロシア派か?の違いにより、勧善懲悪のストーリーが作られました。
> > この件は、NHKの取材に基づき書かれた、こちらの本↓が詳しいです。
> > 「ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争」
> > https://www.amazon.co.jp/dp/4062750961

> ロシア・ウクライナ共に自分の描いたストーリーに持って行こうとしている感じはしますね。
> ネットニュースを見ると欧米・ウクライナ・ロシア全方位から情報を操作しようとしている臭いがします。
> わかりやすいプロパガンダからSNSやフェイクニュース、ファクトチェックを利用した婉曲なものまで……

ぶっちゃけ、こうした世論誘導の「情報操作」は、
民主主義社会である西側諸国の方が、断然得意というか、
ハッキリ言って「情報統制」に慣れた東側諸国じゃ、太刀打ちできないと思います。

とは言え、そうした情報操作で簡単に踊らされるのも、結局は西側市民の方であり、
そもそも、官制情報しか触れない東側市民は、最初から情報なんて信じてないので、
そう簡単には踊らされないという、実に皮肉な現実はあるんですよね(苦笑)。
ロシアでは昔より、「アネクドート」と呼ばれる政治風刺の小話が発達しまして、
例えばソ連時代、「プラウダ(真実)」という共産党の機関紙がありましたが、
「プラウダにはプラウダ(真実)が載っていない」というアネクドートが流行るくらいに。

もっと言えば、アメリカの大統領選挙とロシアの大統領選挙を、実際に見比べてみれば、
どちらがフェイク・ニュースが多く、どちらが踊らされる有権者が多いか、解りそうな気もします。
いや本当、特にネットが普及して以降、アメリカン大統領選挙って酷いですからねえ・・・・
って、これは何も、ロシアの選挙情報は、公正で正しいとか言う話では無く、
偽情報を作って踊らせるとか、そんな手の込んだ手法する以前の話ってだけですけど(苦笑)。

でもまあ、あれこれ言いましたけど、結局は、
ほとんどの人って、自分の生活に特段影響のないニュース内容に関しては、
西側とか東側とか関係なく、「ふ〜ん」と流して聞いて終わりなんですよね。
そういう意味では、情報統制やプロパガンダは、どちらにもあるのは大前提であり、
向こう側の心配や批判をするよりも、自分たち側で気を付ける方が先では?と思っています。
念の為に言っておくとは、私は別にプーチンを支持してる訳で、肩を持つ訳でもありません。
強いて言うば、日本や自由民主主義の肩を持つからこそ、それを脅かしかねない事に厳しく当たると。

> ゼレンスキー大統領の演説とかは非常にわかりやすいですが……
ゼレンスキーが大統領役を演じ、そして実際に大統領の座まで引き上げた上げた
ドラマ「国民のしもべ」(彼の政党も同名)が、世界各国で放送が始まったみたいですね。
確かに、ここまで話題になると、私もちょっと見てみたい(笑)。
日本語字幕版も、いつかは放送されるのかなぁ?
でもこれって、全世界に向けての、かなり効果的な広報戦略にはなる気がします!!
ウクライナ国民でさえ、役のイメージに釣られて、本当に大統領に据えたくらいなので、
既に英雄視されてる状態で、そんなドラマを見たら、ドラマの役と現実の本人を混同する人が多発しそう。

> 国家から企業、個人に至るまでが規模の差こそあれ参戦できてしまうネット上での情報戦というのは怖いなと。
> 特に日本人は傾向的に雰囲気に流されやすいので冷静に情報を読んでいきたいです。

ここで1つ、今のウクライナ国内の「雰囲気」が伝わる間接情報を。
サッカー・ウクライナ代表で、歴代最多の144試合出場という記録を持ち、
代表チームでキャプテンを勤めてきた、ティモシュクというレジェンド選手が居るのですが、
現在の彼は、現役時代にもプレーしたロシアのクラブで、長年コーチを務めているらしいんです。

で、彼は戦争勃発後もコーチを辞職せず、沈黙を守っているという理由で、
何とウクライナ・サッカー協会は、過去の代表記録を全て抹消し、コーチ資格も剥奪して、
今後国内での活動を一切禁じるという、状況が状況とは言え、いくら何でもな裁定を下したんですよね。
ロシア軍の行動を賞賛したならまだしも、沈黙している事を理由に厳罰というのは・・・・
これは何も、サッカー協会だけの勇み足ではなく、大統領や駐日大使などの言動を見ても、
今のウクライナが、そうした空気に支配されてる現実を、端的に表しているのだと感じます。

ちなみに、ウクライナの駐日大使は現在、
ロシアの各都市や各大学と友好関係を結ぶ、日本の全ての自治体と大学に対して、
関係を停止するよう依頼する活動を行っていますね。
今の所、応じる所あり、応じない所ありって感じですけど、
「ロシアに味方するのか!」という電話攻撃で、日常業務に支障を来し始めれば、
今後は、なかなか抗えなくなってくるかも知れません。

> > 実際、先日の停戦協議にも参加した、ウクライナ側の代表者の1人が、
> > その直後、「ロシアのスパイ」として処刑されたなんて話を聞くと、
> > 今は侵攻軍という共通の敵が居るから良いものの、これが引いた後、
> > この戦争で深まる可能性がある、ウクライナ系とロシア系の軋轢が一体どうなるか?
> > ウクライナ側が発表している、「殺害したロシア兵」の数が異常に多いのは、
> > もしかしたら、単なる戦意高揚のプロパガンダ目的だけでなく、
> > 「誤殺されたロシア系国民」が、多数含まれてるからなのかも知れません。
> > 日本語が話せるキエフ在住のウクライナ人が、テレビの生中継に出演した際、
> > 「戦争中だから、スパイ疑いの誤殺は仕方無い」
> > という発言を、聞かれてもいないのに、ポロッとしたのも、
> > 番組ではスルーされてましたけど、個人的には気になったんですよね。
> > ひょっとしたらキエフでは、それ系の事件が多発し、市民の間で噂になってるのかな?と。

> 私刑がそこまで横行しているのであれば、現代であればなにかしら
> ニュースとして上がってきそうなものだと思うので、
> 無いとは思いませんが何千人単位という事はないのではとは考えます。
> どちらかと言うと、戦争末期の日本がやらかした戦果の誤認と過剰報告の類ではないかなと。

現状、「何千人単位」という事は、私も考えていませんよ。
と言いますか、ウクライナ国民の被害レベルですら、まだそれくらいに留まってますし。
ただ、最初の頃の発表で、ロシア側よりも10倍多い殺害者数を出してきて、
しかもそれは、戦死したウクライナ兵より2倍多いという、
戦意高揚の為に数字を盛るにしても、ちょっとやりすぎ感は感じたんですよ。
ウクライナは戦場になってる側なので、死体という「実物」が残りますし。

で、その後、こうしてウクライナ高官が「処刑」されたという報道が出てきて、
私としては大きなニュースだと感じたのに、意外なほどアッサリと流されて、
ロシア高官が「更迭」されたニュースの方が、大々的に報じられてる現状に、
かなりの違和感を抱くと共に、スパイ容疑の処刑がどれだけの数に及ぶかが気になったと。
実際、開戦直後のキエフでは、戒厳令が出されると共に、
大規模な「スパイ狩り」が行われたのは事実なので、
和平交渉に参加した高官すらこうだと、一般のロシア系住民の扱いは読みかねるな?と。
テレビの市民インタビュー見ても、人口比の割には、妙にウクライナ語率が高い気がしますし、
(私はロシア語もウクライナ語も解しませんが、響きが少し異なるのは、何となく解ります)
こんな状況では声を挙げても、却って自分自身が殺されかねず、
もっと言えば、既に殺されていれば、死人に口無しですし、
ロシア側が殺したのか、ウクライナ側が殺したのかも、判断できかねる状況な気がするんですよね。

とは言え、これは現状だと解らない事だらけなので、戦争が終わらないと解らないかな?
でも、2014年のウクライナ騒乱の際にも、ロシア系とウクライナ系の住民が衝突して、
数十人の死者が出る事件が、何度と無く続いた事実を知っているので、
今回は戦争となると、革命児の衝突レベルでは済んでないのでは?という想像もするんです。
これだけ西側メディアがウクライナ寄り一辺倒だと、不利な情報は出て来にくいと思うので。
まあ確かに、今の時代であれば、ニュースじゃなくてもSNSで出てくるかな?とも思うのですが、
その反面、「偽情報の拡散を禁ずる」との理由から、既にYouTubeやFacebookでは、
ロシア寄りの発信に関しては検閲や停止を行っている現状がありますし、
戦時の情報戦というのは、私たちの想像以上に、既に根が深い感じになっているのかも知れません。

実際、日本においても、NHK-BSは昔から、世界各国のニュース番組をダイジェスト放送しているおり、
日本や欧米メディア以外の見解を知る上でも、非常に有益な放送枠であったのですが、
今週ついに、恐らくは抗議の声を受けて、ロシアのニュース番組が除外され、
替わりにウクライナのニュース番組が入る事となったんですよねえ・・・・
これがまだ、ロシアとウクライナの双方を流すのなら、却って素晴らしいと思いますが、
ロシアを外して、ウクライナを入れてでは、あまりに あからさまと言うか、
これでもう、日本語しか出来ない人には、ロシア側の言い分は届かなくなっちゃいました(泣)。
スプートニクの日本語記事とかはありますが、やはり現地のニュース番組とは別物ですしね。
その主張を受け入れるかは兎も角、主張自体が解らなければ、理解し合う事もできず、
最初から全て拒絶する行為は、停戦への道筋さえ拒否する考えに等しいモノです。

また、ロシア支配下エリアに対する、ウクライナ側からの攻撃により、
被害を受ける都市や人々の映像は、こうして情報遮断されれば見られなくなると・・・・
ロシアの戦車隊を華麗に撃退する際の、使い慣れたドローン操作の感じを見ると、
ドンバス紛争で、ウクライナ軍が投入したドローン兵器による「戦果」の程も間接的に伝わり、
それが全面戦争ともなれば、何も無いなんて事は無いはずですが、直接的には伝わりません。

偽情報か否かなんて、それを見聞きした個々人が、それぞれ判断すれば良い訳ですし、
もっと言えば、これだけプロパガンダだの、情報統制だの言われていれば、
日本とか欧米諸国にいて、ロシア発の情報だけを信じる人なんて、ほぼ居ないでしょう!?
それでも排除するのは、ハッキリ言っても、目にも耳にもしたく無いという感情であり、
それはそれで心情的には理解できるものの、だからと言って、
報道自体を規制させる事は、その人以外の全ての人たちから情報を取り上げるのと同義であり、
結果的に、一方の側の情報しか流す事が許されず、それは過激でも嘘臭くても許されるって、
これ自体が、プロパガンダや情報統制じゃ無いというのなら、一体何だと言うのでしょう!!
捕虜を使ったメディア戦略も、あれをロシア側がやったら大バッシングでしょうに、
ウクライナ側がやる分には問題視されず、それどころか全て真実扱い報道されるのは何なの?
報道の自由がない国ではなく、報道の自由がある国で・・・というか西側全ての国々で、
それが間違いではなく、あたかも正義のように行われる風潮というのは、
もうそれ自体が、かなり危険な兆候だとは思うんですよねえ。

ハッキリと言ってしまえば、こうした事を平気で行えてる人というのは、
例えば逆に、今回だとロシア人の立場であったなら、恐らく平気で戦争を賛美しているはずです。
いや本当、こうした風潮は非常に危険なんですよ。
戦争というのは、お互いが自分の正義を信じて譲らず、そのまま対立がエスカレートして、
双方がブレーキを踏まないまま、衝突してしまう事で起こるケースが多いですし、
安易に「戦争反対!」と叫ぶ声が、結果として戦争を招く現実を、人々はもっと知るべきです。
で、そういうタイプに限って、いざ戦争が始まるとそれを賛美し、今度は「講和反対!」と叫ぶと。
双方が相手の話に耳を貸さなければ、最後まで戦い、どちらかが全滅するしか道が無いですからね。

しかし一方で、ネット時代の恩恵を受けたな、と感じる報道に触れたのも事実ですね。
人道回廊で避難民を送るニュース映像を見た際、ウクライナのイメージに反して、
妙にアフリカ系やアジア系の若者が多い事が、少し気になったんですよね。
西欧諸国と違って、旧植民地からの移民が多いという国でも無いですし。
で、ネットで調べたら、英ロイター通信の日本語記事が見つかり、どうやら彼らは外国人留学生との事。
まあソ連時代は国策として、貧しい大学生を盛んに招き入れていましたから、
そうした伝統が、旧ソ連の崩壊後も、未だにウクライナで残っているのだなと感じると共に、
では何故、彼らは前線に取り残されたのか?が気になって、再度調べてみたんです。

すると、彼らは貧しい大学生だからこそ、
ウクライナで暮らす欧米人や日本人とは違い、自力で逃げ出すだけの財力が無く、
更に、これは旧東欧圏で見られる傾向なのですが、とにかく有色人への差別意識が未だ根強いと。
なので、戦争という非常時により、彼らも心理的な余裕を失っている事もあって、
ウクライナ市民から無用の暴行を受けたり、避難用のバスや列車に乗せて貰えなかったり、
避難の為に多額の賄賂を要求されたり、ロシア側への避難も許可されなかったりして取り残され、
世界の目が集まる人道回廊の避難バスだったからこそ、彼らもようやく乗車が出来た事情など、
海外メディアが発信する記事が、日本語に翻訳されて、私も知る事が出来たんですよね。
この間、ニュース映像を見てから、わずか10分程度の事でしたから、凄い時代になったなと。
ネットが無い時代は、ニュースを見て気になっても、自力で調べるのは大変でしたから。

その一方で、確かに情報量は計り知れないほど増えましたけど、
却って情報量が増えすぎて、求める情報に辿り着くのが困難な現状もあり、
更に言うと、自発的に調べようとしないと、与えられた情報に流される傾向は以前と変わらないと言うか、
何重にもチェックされる大手メディアの情報と違い、ネット上には怪しい情報も溢れている為、
気を付けないと、情報への感度というか、正確性というのは、以前よりも下がってる印象まであるんですよ。
それこそ、人道回廊で避難するニュース映像自体は、私以外にも多くの人が見たでしょうけど、
わずか10分で得られた、彼ら外国人留学生につていは、あの映像を見た何割が知っているか?と。

で、公開情報でさえ、そうなのですから、
ロシア寄りな発信が規制されてる事や、私は日本語の情報しか得られない実状を踏まえると、
そうは言っても、一体どれだけ正確が情報を得られているのか?というのは、
自分自身でも正直疑わしいんですよね。
ただ少なくとも、疑わずに鵜呑みにしてる人よりは、まだ正確かな?とは思いますけど、
その辺りの取捨選択だって、個人的なフィルターに掛けているので、そんなに自信はありません。
フィルターがおかしければ、マスコミ情報を鵜呑みにするよりも、判断を誤る事だって普通にあるので。
ですから私の場合、信じるか信じないか、嘘か真実か、0%か100%かの2択ではなく、
手にした情報は全て、信用度みたいなパーセント付きで記憶しますし、
他の情報とも影響し合う事で、その信用度パーセントは、時々上下したりもすると。

> ただ、内戦に関しては低くない可能性でありうると思います。
> 東部地域での戦闘のニュースを聞くに、ロシア正規軍より親ロシア派の戦意(もしくは憎悪)が高そうですし、

でも実際、独立を承認したドネツク&ルガンスクの2州に関しては、
ほとんど勢力範囲を広げられてない感じがするのですが、どうなんですか?
まあ8年間も戦ってきたので、2州のウクライナ側も要塞化してそうですし、
そう簡単に落ちないとは思うものの、ロシア軍が大規模に加勢すれば落ちるかと見ていたので、
これだけ遅いとなると、この2州にはあまりロシア軍が増派されてないのかな?
北から南からと全面作戦になりましたし、こちらの方は後回しって感じで。

というか、2014年に この2州と共に独立宣言を行うも、即座に鎮圧されたハリコフ州が、
開戦から3週間近くが経って尚、未だに落ちていない所を、
ロシア系住民の多い地域とは言え、そう簡単では無いんだろうなぁ、とは思いますけどね。
もっと言えば、如何にハリコフがウクライナ第2の大都市とは言え、
それなりに親ロシア派の支持があるなら、あそこまで簡単に蜂起が鎮圧されなかったでしょうし。

> ウクライナ系の極右勢力も愛国心を掲げて戦争の混乱の中で勢力を増してくるでしょうから、
> ロシア軍が撤退して丸く収まるという展開の方が可能性としては低いかと。
> 一般のウクライナ国民は隣人を敵とみなして殺したりはしないと思いますが、
> 双方の極端な一派は確実に相手側に近い住民を敵とみなしてリンチや襲撃をしそうですし。

ただ、これは旧ユーゴ内戦や、ルワンダ内戦など、
数多くの内戦で見られた光景なのですが、
内戦前には大多数の人々とが、民族に関係無く、隣人として平和に暮らせていても、
ひとたび戦争となり、民族意識と民族間憎悪に火を付けられてしまうと、
人は簡単に残虐になれますし、一旦そうなると、なかなか元には戻れないんですよね。
もう少し解りやすく言うと、戦争が始まる前は、一部の人間の過激な思想であっても、
戦争という異常な状態に陥ると、過激な思想はアッと言う間に一般市民にまで広がるモノなんです。
お互いがお互いを信じられなくなり、双方とも疑心暗鬼に陥れば、
「自分や家族の身を守る為に」と、人は簡単に、大量殺戮者へと変わりますから・・・・

で、仮に、ロシア軍の占領が何年か続き、そして撤退した場合、
一時的だろうと何だろうと、ロシアの支配に荷担した者と、抵抗した人。
この二項対立は、大なり小なり、恐らくは発生すると思うんですよねえ。
まあ正直な所、第二次大戦中のレジスタンス神話とか見ても明らかなのですが、
大部分の市民は、妥協と諦観で仕方無く支配を受け入れるモノですけど、
最終的に、勝者と敗者が定まると、それまでの自分たちの対応など忘れて、
神話的に勝者を持ち上げつつ、さも自らも最初から そうだったように演じ始め、
魔女狩りをするかのように、叩くべき負け犬を生み出そうとレッテル貼りが行われがちです。
そしてウクライナの場合、ロシア系とウクライナ系という解りやすい違いがあり、
更には攻め込んできた敵がロシア軍ですから、神話は非常に作りやすい状況なんですよね。

ロシア系もウクライナ系も共に手を取り、祖国を守り通したという神話に落ち着けば万々歳ですけど、
さて、最後はどのように落ち着く事やら・・・・
戦争の展開次第によっても、戦後社会の描かれ方は、大きく違ってくるでしょうし、
今はまだ、何とも言えないというのが、現実のようには思います。

> > ここで一番驚くべきなのは、「UAEまでもが賛成しなかった」って所なんですよね!
> > UAEって、国内に米軍基地があるくらい、アメリカ寄りの国ですし、
> > 当然ながらアメリカも、今回の非難決議に賛成するよう、最後まで説得したようですが、
> > アフガン撤退を機に広まった、中東におけるアメリカ軍への不信感増大や、
> > 石油価格の調整の為、同じく産油国であるロシアとの、近年における急接近。
> > そして何より、アラブの春によって台頭した、イエメンのシーア派勢力を叩くべく、
> > UAEはサウジアラビアと共に、イエメンに対する軍事侵攻を長年続けている最中であり、
> > ウクライナ戦争の非難決議に賛成するなら、イエメン戦争でも非難決議を出すと、
> > ロシア側から脅されてた・・・という事情があったらしいんです。
> > UAE側が、ウクライナ戦争の非難決議に棄権する代償として、
> > ロシア側は、イエメン戦争の非難決議を出さず、
> > それ所か、UAEが戦っているシーア派勢力を、テロ組織として容認するという、
> > 非常にアグレッシブな裏取引が、実はあったらしいんですよね!?
> > そして、安保理で欲しいモノを全て得たUAEは、直後の国連総会では一転して、
> > 今度はアメリカ側の機嫌を取るべく、ロシア非難決議に賛成に回ったと(笑)。

前回から少し付け加えると、国連総会では賛成に回ったものの、
96ヶ国の共同提案国に入らず、総会の場で賛成に1票を投じただけであり、
これは、サウジアラビアも同じだったのだとか。

アメリカがトランプ政権から、民主党のバイデン政権に替わって、
アフガン撤退の件だけでなく、人権問題に対して うるさくなった事もあり、
親米的だった中東諸国のアメリカ離れも、地味に進んでるみたいですね。
それこそサウジやUAEであれば、イエメン内戦への介入問題がありますし、
実質的にサウジを取り仕切ってるムハンマド皇太子は、トルコで記者の暗殺まで行いましたから、
トランプはまだしも、バイデン的には、ちょっと承伏しかねてる所があるとの事。

その一方で、今回の戦争により、産油国であるロシアの輸出を規制した結果、
エネルギー価格の高騰は避けられず、その為にはアメリカの石油増産が手としてあるものの、
支持層に環境擁護派が多く抱えるバイデンとしては、国内でそんな決断など出来そうもなく、
となると、サウジやUAEといった中東の産油国に、増産を依頼する展開となる事でしょう。
しかし、アメリカ離れな現状もあってか、既に釘を刺す発言を行っているので、
最終的には増産依頼に応じるかも知れませんけど、ちょっと不透明ではありますね。
ロシア・中国・インドなどが加盟する「上海協力機構」に対しても、
近年では中東諸国も加盟に興味を示し始めてますし。

あと、国家の動きとは違いますが、
今回の戦争は欧州で起こり、白人が犠牲になっているという事実から、
欧米メディアは、ついつい感情的になるあまり、
アジアやアフリカで起こる(起こす?)、いつもの戦争とは異なる
「特別な戦争」というスタンスや発言が、結構 見え隠れしており、
中東のジャーナリスト協会が、非難声明を行うなんて事も起きてますね。
そうした発想は、「無意識な差別感情」に基づくモノであると。
まあ実際、私も そうした所が気になる事もあるのですが、
一般的な日本人の感覚だと、正直どうなんですかねえ?
私の場合、世間感覚よりもアジア人意識が強い自覚があるので、ちょっと解り難い所。
普通は、未開なアジア人10万人よりも、文明的な白人1万人が亡くなる方が、心が痛むのかな?

> > 少なくとも、今の日本じゃ、ロシアやUAEのような外交的立ち回りは無理でしょうね(苦笑)。
> > せいぜい、イスラエルに対する非難決議が出された際、
> > 反対(拒否権発動)に回るアメリカに付き合って、棄権をするくらいですから。
> > って、今回の決議に棄権した国を責める人たちは、日本の棄権も同じく責めてるのかなぁ?

> 外交力の低さには定評のある日本ですが、だからこそ、こういう事態の各国の動きを見て、
> 政府には国益を考えた立ち回りを考えて欲しいなとモヤモヤするわけです。

まあ、日本の対米従属路線って、既に77年も続いてますし、
冷戦期にあった「日本の国益=アメリカの国益」という考え方が、
政治家や有識者と呼ばれる人たちの間でも、なかなか抜け無そうなので、
今後も「アメリカ追従」が、日本の基本的な立ち回り方針であり続けると思いますよ。
アメリカの影響力が相対的に落ちているとは言え、当分は世界ナンバー1のままでしょうし、
その路線が最良か?となると微妙ですけど、その路線なら大過なく済むのは事実です。

と言いますか、もしも本気で国益について考えるのだとしたら、
そもそも論として、「日本の国益って何?」という事を、まずはキチンと定義すべきでしょうね。
目標も不明瞭なままゴールを目指した所で、良い結果など望めるべくもありませんので。
そして、日本の国家と国民にとって、優先すべき事項が決まれば、
それを得る為、もしくは守る為に、手持ちのカードで一体何が出来るのか?
更に言えば、どんなカードを増やせば、どういった選択や行動が可能になるかも、
キチンと先を見越しながら、物事を進めていく必要が出てくると。
で、明治維新から敗戦までの戦前の77年間は、良くも悪くもそういう事を熟慮してきましたが、
敗戦から今日に至る戦後の77年間は、アメリカ任せで楽をしてきた時代が続いたので、
今から色々考えようと言っても、なかなか手に付かないと言うか、そもそも身に付いてないと。

実際問題、今回のウクライナ戦争に関しても、
じゃあ日本が、具体的に何か大きな役割が担えるか?となると・・・何も無いのが現実です。
アメリカの使いっ走りとしか見られてないので、中立的に仲裁とかも行えませんし、
そもそも経験に乏しいので、いきなりやっても上手く行かないでしょうし、
ハッキリ言って、仲裁に立っても、両国に示せるカードが、何1つとしてありません。

「モヤモヤ」する気持ちを解消する手段って訳じゃないですけど、
では実際、現代版カナダ担当さん的に考える、
日本の立ち回り方って、何か あったりしますかねえ?
何でも良いので、その辺りが具体的にイメージできると、モヤモヤ感ではなく、
「こうすべきでは?」という感じで、明確な感じの「イライラ」感へと転じます(笑)。

> > > 逆にロシアのプーチン大統領は有能・優秀というイメージがありましたが、
> > > 年齢的な衰えや健康不安があるという報道には納得できます。

> > まあ確かに、暴挙と言えば、暴挙なのですが、
> > 逆にプーチンの立場になって考えると、「止むに止まれず」な側面もあるかな?と。
> > それこそ日本なんて、それ以上の暴挙を、80年前にやってますからねえ・・・・

> やはり、今回の紛争、プーチン大統領の年齢の問題は大きかったのではないかなと思ってしまいます、
> 70歳近くでなく、50代であればウクライナ東部へ介入する準備や分離への動きにもっと時間を掛け、
> 全面侵攻ではなく、もっと別の手段を取ったのではないかと。
> 欧米の妨害もあるでしょうし、うまく行ったかどうかはわかりませんが……

う〜ん、それはどうですかねえ?
「時間を掛けて、少しずつ」というのを好むのは、
島国育ちの農耕民である、日本人的なモノの考え方だという面があり、
大陸的な考え方だと、「取れる時には一気にガッと」という感じがします。
それに、衰えつつあるのは、プーチン個人だけでなく、
ロシアという国家自体も、そうだという事もあるので・・・・

ソ連時代から見れば、ただでさえ人口が半減してるのに、
人口減少に歯止めが掛からない状況なので(日本も他人事では無いですが)、
もうロシアって、アメリカ側から見れば、完全に「衰えるばかりの帝国」扱いで、
台頭してきた中国と、腰を据えて対峙する為にも、
「一発ビビらせて、大人しくさせておこう」という、甘い見通しがあったのも事実かと。
でもなきゃ、昨年の11月、ロシア国境まで20kmという目と鼻の先で、
ロシアに向けて核を打ち込む軍事演習なんて、アメリカ軍も行わないでしょうし、
ロシア軍の側から見て、これが脅威に映ったのは理解できなくも無いです。

また同じく昨年の1月、トランプ敗選後の混乱により、予期せぬ軍事衝突へ発展しないよう、
アメリカ軍が中国軍に対して、非常に気を使った(文民統制の点では問題アリでしたが)事もあり、
ロシア軍としては、現実的な脅威以上に、「ナメられた」という心理的な屈辱の方が上なのかな?
「たかが心理的な話で」と思われるかも知れませんが、喧嘩は気持ちで負けたら終わりですし、
その喧嘩を注視している周囲も、そこで負ければ雪崩を打ったように勝者へと流れますし、
これまででさえ、旧グルジアやウクライナなど、旧ソ連の構成国というロシアの喉元で、
アメリカの保守派やCIAは好き勝手に仕掛けてきていて、
隣国ベラルーシの独裁も限界が近付いてるのを見ると、同じ事が繰り返さる可能性は高く、
プーチン後のロシアを考えると、その仕掛けはロシア国内にまで及ぶ可能性が充分ありますからねえ。
このままでは10年以内に、90年代の混乱期に引き戻されるかも知れない恐れが、動機としてあったかも?

そしてクリミア編入後、アメリカはウクライナに対して、8年間で1700億円の軍事支援を行い、
NATO加盟の動きまで見せたとなれば、ロシア側のタイミング的にも、
「今を逃せば、もう無理」という心情だったのかも知れませんね。
逆に言えば、今ならまだ、一撃喰らわせれば簡単にウクライナは降伏すると、
ロシア側も甘い見通して動いてしまった可能性はありますが・・・・
とは言え、電撃作戦は不発に終わったとしても、両国の軍事力の差を考えれば、
時間は掛かっても、最終的にはロシア軍がウクライナを占拠する公算は高いですし、
本気で核を打ちかねないロシアに対して、アメリカ側も戦端を開く意思は無いはずで、
そういう意味では、「今なら、まだ行ける」というのは、その通りなのかも?

となると、少し気は早いですし、不謹慎かも知れませんけど、
占領統治について考えを移すと、ウクライナ市民がどれだけ抵抗するのか?
その辺りが、ちょっと読み難い所ではあるんですよねえ。
あれだけの人口と国土を、ロシア軍が押さえ付けるのは困難という見立てが多いですが、
ウクライナの場合、元々は同じ国民同士で、ロシア語を話せる層が2500万人も居るとなると、
言葉も文化も異なるアフガン・イラク・シリアでの占領例とは、少し前提が異なる気がするんです。
勿論その一方で、ウクライナは民主国家ですから、政治信念に基づく抵抗は強いかも知れませんが、
しかし大多数の一般市民にとっては、支配下の「奴隷の平和」だろうが何だろうが、
身の危険を避けられるのであれば、ある程度 妥協してしまうのが、人情のようにも思います。
民族的にも近く、言葉が通じる相手であるならば、尚更の事。

でもまあ、ロシア語が出来ないウクライナ系や、ロシア系でもウクライナに祖国愛を抱く人は、
占領後もパルチザン的に抵抗を続けるでしょうし、それがだけの規模になるか次第で、
そこに配備されるロシア兵の数も変わってくるでしょうし、
占領統治に従うウクライナ国民の治安部隊も、熱の入り方が違ってくるのかな?
実例・・・と言ったら悪いですが、この8年間、
親ロシア派の実行支配地域に暮らしたドネツク・ルガンスクの市民が、
一体どういう感じだったのか?というのも、1つの参考情報になるかも知れませんね。
逆に言うと、あれがドニエプル東岸やキエフまで広がるイメージをするのが近いかも?

そして、実際にプーチンがどう考えているかは、私などには解りませんが、
「偉大なるロシアの復活」という長年の夢は、恐らく行動背景にはありそうですし、
どれだけ明確なイメージ像を抱いているかは さておき、私には、
もしも1991年にクーデター事件が起きなければ、移行されるはずだった「新連邦制」のシナリオを、
改めて描き直すみたいな、漠然とした理想がありそうに感じるんですよ(実現性はともかく)。
内政は各国の自由ながら、経軍事と済は一体で行う、言うなれば「CIS合衆国」って感じで。
そもそもプーチンは以前より、ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学的悲劇」と評しており、
ソ連の社会主義体制は否定しつつも、ソ連の国家枠組みの方は肯定してましたからねえ。
(東スラブ民族が数百年かけて築いたモノを、わずか数年で壊したのは、一方で歴史的事実)
「ソ連を懐かしまない者には心がない。ソ連に戻りたい者には脳がない」
という、有名なプーチンの発言もありますし、そこが最終目標であるのなら、
「全面侵攻ではなく」とか「もっと別の手段を」という考えとは、なかなか折り合いが付かないと。

ちなみに、クーデターが勃発しなければ、その翌日に新連邦条約を調印する予定だった9ヶ国は、
ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・カザフ・ウズベク・キルギス・タジク・トルクメン・アゼルバイジャンで、
(クーデター事件を機に、ウクライナは独立路線へと舵を切り、ロシアも追随してソ連は崩壊)
調印予定じゃなかった6ヶ国が、バルト3国・モルドバ・ジョージア・アルメニアでしたから、
ウクライナを除けば、おおよそ現在の親ロシア派国家と反ロシア派国家に分かれますね。
(とは言え、アゼルバイジャンはトルコに接近しており、アルメニアはロシアに助けを求めてる現状)
また近年、旧ソ連の独裁国では、国内の統制力が落ちつつあって、ロシアの関与が強まっている一方、
ロシア側からすれば負担に耐えきれなくなっており、更には今回、ウクライナ問題まで自ら抱え込んだ為、
スリム化して効率性を高める意味でも、軍事と経済の統合は目指す所の目標だとは思うんです。

それと、現在のウクライナ西部に関して言うと、
第1次大戦まではオーストリア領であり、第1次大戦後はポーランド領で、
あそこがソ連領(ウクライナ領)になったのは、第2次大戦勝利の結果でしたから、
ロシア側としても、歴史的に そこまで執着するエリアでは無いでしょうし、
西部地域は独立後のウクライナにおける、反ロシア派の中心地である事を考えると、
却って、旧国境辺りのラインで分断してしまう方が、ロシア的にはスッキリするかも知れません。
もちろん、一方的に分断を強いられるウクライナ側からすれば、冗談じゃない話ですけど。

って、こんな発想が出てくるのも、恐らくは、
私がソ連時代をギリギリ覚えてる世代の人間だからなんでしょうね。
逆に言うと、独立後に生まれた30歳以下の人たちからすれば、
ソ連なんて既に歴史の1ページですし、時間が経つほど その割合は増すと考えれば、
そういう面でも、ソ連の記憶がある世代が、未だ半数は居る今こそが、
時計の針を戻そうとするなら、タイムリミットなタイミングなのかも知れません。
血気盛んな若者は、抗う気持ちが強く、命の危険を冒す事すら厭わない傾向が強い一方、
中高年になるほど、打算や諦観で物事を見て、命あっての物種と考えがちですし、
そこに「歴史」と「記憶」との大きな差があるとなれば、彼らが社会の中枢に居る内だと。

逆に言うと、ここでロシアの一発逆転が為らなかった場合は、
国力が右肩下がりなロシアは、中国に擦り寄る道しか残ってないかも知れませんし、
(EUに例えるなら、ドイツが中国で、フランスがロシアってイメージ)
その他の旧ソ連諸国も、周辺の地域大国の勢力圏に分割されていくのかなぁ?
それこそ「上海条約機構(SCO)」が、第2のワルシャワ条約機構(WTO)になるみたいな感じで。
とは言えSCOは、WTOとは まるで性格が異なる組織な為、
仮に「新冷戦」などと呼ばれる事になっても、冷戦とは全く違った世界構図には なろうかと。
例えばトルコは、SCOへの加盟を希望しながら、一方では既にNATOの一員ですし、
インドはインドで、SCOが反米色を強めれば、距離を置いてくるでしょうし、
いろいろとクセの強い国が揃ってますので、なかなか一致団結とはならなそう。

ですけど、仮に団結できれば、非欧米連合として相当な存在感は発揮しそうな気がします。
そして、もしも そうなった場合には、未来のウクライナは一体どちら側に付いているのか・・・・
今後の展開次第では、ロシアの要請に応じて、中国軍が占領下のウクライナに駐屯なんて事も?
勿論、今すぐにと言うのは皆無でしょうけど、5年後とか10年後、
米中対立が激化する一方、ウクライナ占領の長期化でロシア軍が疲弊すれば、もしかしたら。


P.S.
最後に、プーチンが少年時代、柔道など格闘技を習って得た「3つの教訓」というのが、
10年くらい前の新聞インタビュー記事に載っていたので、ちょっと転載。

 1.力の強い者だけが勝ち残る
 2.何が何でも、勝とうという気持ちが大切
 3.最後までとことん闘わねばならない

このスタンスは、恐らく今でも変わらないのでしょうし、
これがプーチン自身の行動原理だと解釈して、今回の戦争は見た方が良いかも?
要するに、ここまで大規模に行った以上、絶対に中途半端な手の引き方はしないだろうな、と。

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