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[23869] Re:台湾情勢への影響返信 削除
2022/3/15 (火) 21:59:06 徳翁導誉

> 滅多に書き込まないのですがお目汚しご容赦ください。
つねさん、お久しぶりです。
戦国武将カードのコンプリート報告以来かな?と思って検索したら、
アメリカ大統領選挙の際も、1度書き込みがありましたね(笑)。

> ・ロシアの弱体化
> ロシア軍が実ははりぼて(軍そのものというより、侵攻側だとか戦略のまずさとかがありますが)ということがばれ、

いや、ハリボテというか、こんなモノだと思いますよ、以前から。
まあ確かに、電撃的に成功させたクリミア編入の一件があって、
ロシア軍に対する高評価と、ウクライナ軍に対する低評価な論調があったのは事実ですが、
軍事力で言えば、世界2位の国(ロシア)と、世界22位の国(ウクライナ)の戦争であり、
電撃戦としては不発だったものの、現状は自力に勝るロシア軍がジワジワと押してますからねえ。
元々、技術力よりも物量こそが、ロシア軍の強味ですし(その点では、侵攻作戦よりは防衛戦が得意)。

もっと言うと、近年はアメリカ主導の戦争ばかりで、それに見慣れてしまい、
ついつい感覚が麻痺してしまいがちですけど、あれは米軍だけが特殊なのであって、
今回のウクライナ戦争も、年内に終結するなら、充分に早い方だと個人的には思いますよ。
何と言うか、西側の情報機関や研究期間が流してた「短期決着」のシナリオに、
メディア視聴者の方も乗せられているというか、それ基準で見でしまい過ぎな印象はありますね。
例えば、先日の「96時間以内にキエフ総攻撃の可能性」なんて話も、
ロシア軍の進軍状況を見れば「それは無いだろう」と予測できるのに、盛んに報じられるのは、
そうならない事を見越しつつも、敢えて出来なかったかのように伝えられる事で、
「ロシア軍 苦戦&ウクライナ軍 善戦」を印象付けたい、イメージ戦略の意図があるのかな?とも。

> 今後、ロシアが弱体化するのは確実です。中国にしたらあてにしていたパートナーがこちらが支えなければならない
> 厄介者になってしまった気分でしょうし、アメリカにしたら東アジアに注力しやすくなったのではと。

う〜ん、私の見立ては全くの逆かなぁ?
中国とロシアは「パートナー」との事ですが、
それはあくまで、アメリカという「共通の敵」があるからで、
本質的に両国は、潜在的な敵国(ライバル国)であるのは変わりませんからねえ。
そういう意味では、今後ロシアの力がガクッと落ち、中国を頼るしかないとなると、
その関係性は、対等なモノから、主従的なモノへと変わらざるを得なくなりますし、
厄介で危険な隣国が、大人しく従順になるのなら、中国としても悪いシナリオでは無いはずです。

また、昨今のアメリカの戦略は、欧州大陸への関与を弱めつつ、東アジアに注力する傾向だったのに、
こうして戦争が起きた事により、欧州への関与を強めなければならないとなると、
必然的に、東アジアに向けられる力は少なくなる為、これも中国的にはプラスなはず。
ここへ更に、中露と連携するイランにまで対峙しなければならないとなれば、
欧州で、東アジアで、中東でと、3正面作戦をやれる余力は、今のアメリカにも無いでしょうし、
その反面、敵の敵は味方ってだけなので、反米諸国同士がそこまで支え合う訳でも無いですね。


> ・経済制裁
> では中国が手を出しずらくなったかというとそうとも言い切れなさそう。
> 結局アメリカもEUも経済制裁と軍事支援で直接は軍を派遣していません。

もっと言っちゃうと、今回の戦争はロシアとウクライナという「2つの国」の争いですが、
中国と台湾の場合、2つの政府ではあっても、「1つの国」の中での争いですから、
損得勘定の話だけでなく、大義名分としても、なかなか干渉が難しくはあるんですよね。
アメリカにせよ、日本にせよ、中国と国交を結ぶ際に、
「1つの中国」という主張自体は受け入れてますし、
その上で、「平和裏な統一以外はNG」という方針を示してるだけなので、
いざ中国が武力行使で統一へと動いた際、どれだけ本気で止めに入れるかとなると・・・・

しかも、中国はロシア以上に厄介な相手ですし、ウクライナみたいに欧州の国でも無いので、
強いてプラス点を挙げるなら、「台湾関係法」という同盟に準じた関係である事でしょうか?
とは言え、この法律も、以前結んでいた「米華相互防衛条約」のような軍事同盟では無く、
あくまでも「守れたら守る」という努力義務みたいなモノなので、
ハッキリ言ってしまえば、その時のアメリカ大統領の決断次第とも言えますね。
そもそも正式に同盟を結んでいても、どちらが国益に適うか?というバランスの問題で、
最終的には、約束事を守らないという判断だって、普通に有り得るモノですし。
(「核の傘」も、仮に中国が日本に核を打ち込んでも、恐らくアメリカは中国に打ち返しません)

> 経済制裁が強烈とはいえ、中国の場合、ロシアとは比べ物にならないくらい
> 返り血が多くなりますし、EUが決断できるかどうか。

いや、単純にEUの貿易額だけ見れば、ロシアよりも中国の方が大きいですが、
EUが中国から輸入してる商品って、安さが魅力ではあっても、他に代替が効くモノが多い一方、
EUがロシアから輸入してるエネルギーは替えが効かず、何だかんだで制裁も緩くはありますね。
対ロシアの依存度が低いアメリカだから、原油の全面禁輸が出来るだけで、
SWIFT排除と言っても、EUはロシア最大手銀行を対象に含めませんでした。
(とは言え、当初案では2番手銀行も対象外だったので、EU的には頑張った方)

> 中国も単独でも耐えきれるかもしれません。
> 最近は戦略的に外部依存を減らしているようですし。

いや〜、今の中国で自給自足は難しいと思いますよ・・・・
「人民公社」政策を行っていた昔とは、状況がまるで違いますからねえ。
ロシアのように、エネルギーや食料が自前で賄える訳でも無いですし、
コロナ禍もあり輸出依存度が半減して尚、中国は日本以上に貿易依存が高いのが現実なので。

イメージしやすいように言えば、まずは日本が経済制裁を喰らった想像をした上で、
それを更に悪化させ、人口が10倍の社会を考えると、解りやすいような気がします(笑)。
逆に言えば、中国単独では無理だからこその「一帯一路」戦略なんですよね。
アメリカに海上ルートを押さえられても、陸路で中東やロシアからエネルギーを輸入し、
欧米市場から追い出されても、アジア・アフリカ市場での販路拡大を目指すって感じで。


> ・純軍事的要素
> 台湾は海で隔てられているので、ウクライナ以上に侵攻しにくそうです。
> とはいえ、普通はミサイルや航空戦力で抵抗力を奪うのがセオリーではと。
> 海で隔てられているというのは、援助もしにくくなります。

そうですね、台湾海峡は100km以上あるので、渡海するのも一苦労です。
そういう意味でも、地続きであるロシアとウクライナとは、状況が大きく異なりますし、
制海権や制空権を握らなければ、そもそも侵攻自体が行えません。
ですから、今回の戦争のように、電撃戦が不発に終わったからプランBに移行とか、
そうした手は難しいので、中国的には結構な一発勝負になるかと思われます。
米軍相手に後手に回っては、海や空で優勢に戦えるはずもないので。
(中国軍が米軍に伍するには、内陸部に引きずり込むか? 核で脅すか?の現状2択)

また、台湾有事に際して、日本側が気にしておくべき事は、
中国軍が制海権&制空権を確保する為に、先島諸島を一時占領する恐れがある事ですね。
あそこを押さえられたら、沖縄の在日米軍も、なかなか手が届かなくなりますし、
特に下地島の空港は、着陸誘導システムが設置された3000m級の滑走路があるので、
戦略的要衝として、開戦と同時に狙われる可能性もあろうかと。

> 最近は中国海軍がアメリカ太平洋艦隊を上回ってきているという話もありますし。
いや、それはさすがに無いかな(苦笑)。
そういう話があるとすれば、米海軍側の予算確保の為の宣伝かと?
仮想敵を実状以上に大きく見せる事で、自分たち自身を大きく出来ますので。
海軍力というのは、そう簡単に一朝一夕では成長しませんし、
それこそ中国初の空母なんて、ウクライナが売却した旧ソ連の廃艦を、
10年前に修復・就役させたのが、第1号となる「遼寧」でした。
正直、私はミリタリー関連の知識に疎い為、ハッキリと断言は出来ませんが、
現状、核さえ考慮しなければ、米海軍と比べる以前に、日本の海上自衛隊の方が強い気がします。

とは言え、質的には勝っても、物量では敵わないので、日中の海軍力の差は縮まる一方ですが、
でもまあ、米中の海軍力の差が埋まるのは、ちょっと難しいと思いますよ。
今の所、仮に米海軍が、残る全世界の海軍を敵に回しても、恐らくは勝てる実力がありますし、
今後どれだけ中国が成長しても、中国は大陸国家であり、アメリカは海洋国家なので、
仮に軍事費が同じでも、海軍に割ける予算の割合が違いますからねえ。

> (逆にロシアがなぜその手を取らなかったのかが不思議。
> ウクライナ軍をなめてたとかロシアが大規模航空作戦を取る能力がないとか言われてますが。)

う〜ん、能力が無いとまでは、私は思いませんね。
これに関しては、兄弟民族だからと、心理的な手心が加わっている面もあるでしょうし、
また、戦争後の統治を考えても、無差別に市民を巻き込むのは得策では無いと考えてるはずです。
逆に言えば、これがもしも中東とかで作戦を行っていれば、無慈悲に攻撃してると思いますよ。
(ただ確かに、ロシア空軍の動きがあまりに鈍いのは、私も疑問に感じてるのも事実)

とは言え、ロシア軍の側としても、なかなか作戦が順当に進まず、苦戦するような展開に陥れば、
兄弟民族だとか、戦後の統治を考えてとか、そんな余裕など無くなって来るでしょうし、
ともかく目先の戦争に勝利する事が最優先となれば、大規模爆撃も行ってくる気がします。
(怖いですが、キエフ総攻撃となった時、やらないのか?出来ないのか?が判断できますね)
で、そうなれば、死傷者数は1ケタ上がるでしょうし、
それで終わらず泥沼の市街戦となれば、死傷者数は2ケタ上がると思いますよ。
ロシア軍としても、自軍の消耗が激しくなる為、避けたいシナリオではあるでしょうが、
戦争に負けるくらいなら、非情な手段であろうと、そちらを選択するはずです。
そして今回、ロシア軍は中東のシリア兵を投入するという話が出てきており、
欧米人がアラブ人への攻撃を躊躇しなかったように、アラブ人も欧米人への攻撃は躊躇しないかと。

あとは、それ以外に言うと、事前にウクライナ軍へと供与されてた
アメリカ製の対空兵器や、対戦車兵器が、やはり強力だというのはありますね。
パイロットは歩兵に比べて、育成までに年月と費用を要しますし、
戦闘機なども非常に高額ですから、そう簡単に失いたくない思いは強いはず。
そういう意味では、ロシア軍的にも、思わぬ苦戦を強いられてる面はあるかも?
クリミア編入後の8年間、ウクライナ軍は米軍から1700億円に及ぶ支援と、軍事訓練を受けており、
その事による実力アップの程は、実戦になってみないと正確には把握出来ない所はあるでしょうし、
8年前の惨敗経験がある為、それ用の対策は既にバッチリ準備済みという所もあろうかと。
(悪い言い方ですが、米軍主導で対策を立て、米軍兵器の実験場として今回の戦争が使われてる側面も?)

> 本当は中国としても選挙を通じてなど平和的な併合を希望していたと思いますけど、
> 香港対応で自らその道を閉ざした感があります。

とは言え、あれで中国側が、どれだけのマイナスを被ったかとなると・・・・
そもそも香港に関しては、あと25年待てば、放っておいても自動的に併合されるのに、
それでも敢えて手を出すのは、大した対応など出来ないと見透かされてる感じもしますし、
併合へと至る、折り返し地点の順応化計画の一環なのかな?という見方も。
50年間そのままで、50年経ったからガラッと変更とは、なかなか行かないでしょうからね。
そして、中国と世界を結ぶ玄関口という香港の重要性が、
ここ最近の中国経済の成長により、相対的に下がってきたのも理由の1つかな?

また、あの一件により、対中感情が悪い台湾人の感情を、更に逆撫でした事はあったでしょうが、
これを機に、親中派から反中派に替わった台湾人が、一体どれだけ居るかとなると?
そういう意味では、別にあれで「自ら道を閉ざした」という感じは、あまりしないかな。
蒋介石と共に、大陸から渡ってきた外省人の方が、人口的には少数派な上、
外省人も2世3世となった今では、彼らの台湾人意識が高まってきてますから、
どのみち台湾人の民意に委ねれば、香港の件が無くても、統一反対が多数派でしょうし、
逆に賛成する人は、あれくらいで転じるようなら、そもそも賛成などしてない気がします。

有り得るとすれば、台湾領でありながら、大陸沿岸に浮かぶ「金門島」かな?
中台関係が改善し、経済交流が盛んになった事で、今では完全に大陸の経済圏と一体化しており、
数年前からは、水道水さえ大陸側から頼るようになった為、
政治的な権利より、日常生活の事を考えれば、台湾よりも中国入りを望むかも?
で、もしもそうなった場合、台湾が強硬に反対した場合は、そこから何かが起こるかも知れませんね。

> もっと老獪なイメージがあったのですが、「戦狼外交」なんて愚の骨頂に思えて仕方ありません。
そもそも中国って、20世紀の100年間を除けば、
2000年以上、大帝国としてやってきた歴史しか無いので、
伝統的な外交姿勢としては、老獪と言うよりは、鷹揚なイメージの方が強いかな?
解りやすく言うと、朝貢外交を受ける立場の側だったって事ですね。
メンツを立ててくれる相手には、数倍の利益を返す事で応えますし、
メンツを潰そうとする相手には、懲罰をもって当たろうとすると。
そして現在、中国は失われた100年間から立て直して、再び台頭しつつあり、
だからこそ、伝統的な外交姿勢を取り戻そうとしている一方、
台頭してきたからこそ、「反中」的な風当たりが強くなっている事もあって、
異を唱える相手に対して、過度に好戦的になってる傾向は見受けられるかな?

あとは、欧米諸国のアジアに対する無理解さや傲慢さも、一因としてはあるでしょうし、
日本としても、先進国という立場的に、欧米諸国と共同歩調を取るのは良いにしても、
無理解や傲慢な面まで、一緒に付き合う必要は無いと思うんですけどね・・・・
日本人だってアジア人な訳ですし、西洋の文化も、東洋の文化も理解でき、
それでいて独自の文化まで持っている所が、日本の何よりの強味だと私は思っているので、
西洋ベッタリに為り過ぎて、そのメリットを失う必要など無いだろうにと。

> 外から見えている以上に国内は危機的なマグマがたまっているのかも。
> ただそれだと目をそらすためになおさら外に攻める危険性が増しそうです。

国家主席は「2期10年」と定められている、中国の憲法まで改正して、
3期目を規定路線に乗せている、習近平の立場になって考えれば、
その安定を崩しかねない無用のトラブルなど、可能な限り避けたいのが本音でしょうし、
逆に言うと、そんな憲法改正が可能なくらい、危機的どころか盤石だとは思いますよ。
もし仮に、大きな問題を抱えているなら、冷遇されてるエリート集団「共産主義青年団」が、
このまま大人しく、すんなりと3期目なんて許すとは思えないので。

とは言え、台湾との統一は、中国共産党にとっても悲願であり、
習近平としても、自らを毛沢東やケ小平に並ぶ「歴史的リーダー」となる事を欲すれば、
毛沢東が建国を、ケ小平が香港返還を成し遂げたように、
台湾統一を3期15年の集大成として、強引にでも目指してくる危険性はありますね。
長期政権を築いた権力者というのは、最後に何らかのモニュメントを求める傾向が、
洋の東西や古今を問わず ありますし・・・・

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