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[8836] Re10:米国経済破綻返信 削除
2008/10/11 (土) 16:23:38 徳翁導誉

> この点に関する徳翁導誉さんとルーキウスさんが指摘する「如何に迅速に対処し、これと決めたら集中的に最大限を投入し、戦果を高らかに宣伝するか」については私も全く同感です。
> 違うとすれば『作戦の「内容」以上に重要なのが「速度」』なのかもしれません。
> (望ましい)結果=内容+速度+戦果の宣伝
> だとして、“内容<速度”が成り立つのは結果が望ましい場合です。
> 内容以上に速度が重要なのは結果を望ましいものにする為であり、
> 望ましい結果が望めないならば、どんなに速度が速くても意味はありません。

いや、それは勿論そうですよ。
問われるべきは、全て「結果」なのですから。
ただ、その結果を求める為に、「速度」も「内容」も重要なのは当然の事として、
その上で、内容以上に求められるのが速度だと言う事です。

元々、軍事に例えた話なので、軍事で語るとするならば、
孫子の兵法でも、「巧遅は拙速に如かず」と言ってますし、
名将として讃えられるアレクサンダーもナポレオンも、
作戦の内容自体が完璧なのではなく、特筆すべきはその「速度」でした。
また、私の専門である物理で言えば、
運動エネルギーは「1/2×質量×速度×速度」で表され、
質量を倍にするより、速度を倍にした方が、より大きなエネルギーを得られます。

もっと簡単な例で言ってしまえば、何かトラブルが発生した時に、
その場で即座に70点の答えを提案する人と、1週間後に100点の答えを提案する人とでは、
前者の方が、より評価されると言う事だと思います。
それは株をやる上でも同じだと聞きますが、どうでしょうか?
株とは「実体+雰囲気」で成り立ってる所でしょうし、
雰囲気に実体が引き上げられたり、押し潰されたりする事もあるでしょうが、
短期間で大きく変動するのは、基本的に「雰囲気」の方だと思います。
そうした雰囲気の波を動かすには、もちろん「質」や「量」といった中身も重要ですが、
それ以上に重要なのは「速度」だと思います。

ただ、だからと言って、何でも良いから早くやれば良いと言っている訳ではないですよ。
前述の例で言うならば、即座に20点の答えを提案しても、それではダメです。
それは、ただ単に「拙速」なだけですから。
だからこそ、私は三菱UFJの取った行動には疑問を呈している訳です。

では、「今回の金融安定化法案はどうか?」という事に話はなるかと思いますが、
もちろん私も、今回の「75兆円」で事態が終息するとは思っていません。
しかし、だからと言って、手をこまねいていれば良いという訳ではなく、
例えダメ元であるとはしても、その時点で出来る範囲の事をやるしかないと思いますよ。
そう言った意味では、あの時点ではアレが限界でしょうから、
だったら、その効果を最大限にする為にも、より早かった方が、幾らかプラス分も多かったかと。
まあ所詮は「幾らか」ですけど、それでも無いよりはマシです。

逆に言えば、「じゃあ、どうすれば解決するの?」と問われて、
現時点に於いて、明確で現実性のある答えを出せる人なんているんですかねえ?
不良資産を買い取りを宣言し、協調利下げや預金保護もやり、公的資金の注入にも触れ、G7会議もやった。
少なくとも私には、こんな状況でどうすれば下げ止まるかなど、皆目見当も付きません。
そもそも震源地であるアメリカが、大統領選挙と下院選挙を目前に控えて、
レームダック化しているブッシュ政権が、何処まで出来るかという問題もありますからねえ。
昨日のブッシュ大統領による緊急会見にしても、先日の財務長官の発言をなぞっただけでしたし・・・・

そんな中で、「選挙管理内閣」とも言われる麻生政権が、
使いにくい外貨準備をIMF経由で中小国に融資する案や、
国内では、自社株買いの制限を年内に限り撤廃する案など、
こう言っては何ですが、意外と的確な動きをしていて少し驚きました。
麻生自身に企業経営の経験があるとは言っても、
財閥の御曹司として一部門を受け持っただけで、実績の方は・・・だったと聞いてましたので。
財務省と金融庁の再統合という案には反対ですが、
しかしその一方で、財務大臣と金融大臣の兼任はアリだと私も思いますし。

今までは、ハッキリ言って不安でしたので、
「早めに解散総選挙をやってくれ」と思ってましたが、
こうした対応を見ると、とりあえずは第一波が過ぎてからで良いかも?という気に。
それでもやはり、頃合いを見つつも、解散は早くやるべきだとは思いますけどね。
こんな世界的な金融危機が、そんな短期間に終息するべくもなく、
これから第二波、第三波もあるでしょうし、麻生本人も「全治3年」と言っているのですから、
であればこそ、早期に解散し、安定した政権を打ち立てた方が、市場からの信頼回復に繋がるでしょうし。

あと、怖いのは、対米従属路線を突き進み、
総額300兆円とも予想されるアメリカ政府の資本注入額を、
日本が負わされるのではないか?という事ですね。
でも、アメリカが数十兆円から数百兆円の赤字国債を発行して、
それを引き受ける事が出きる国と考えますと・・・・
EUにしても、通貨はユーロで統一したモノの、金融政策では足並みを揃えられませんでしたし、
EUに権限を統合するか?ユーロへの結束力が弱まるか?の選択を迫られるかも知れません。
2008年という年は、世界の大きなターニング・ポイントになるのかも?

解散総選挙後、民主党政権にでもなれば、
財務大臣や金融大臣への就任も予想される「ミスター円」こと榊原英資は、
「金融安定の為の資金投入はすべきだが、アメリカの尻拭いまでする必要はない」と発言してますし、
以前、アメリカに潰された「アジア通貨バスケット」構想も実行に移すかも?
そもそも小沢自身が、アメリカを「オンリーワン」の存在ではなく、「ナンバーワン」の存在として捉え、
それに続き、中国を「ナンバーツー」と捉えて、「日米中の三角形」を構想してますからねえ。

ただ、この期にに及んでも、未だに「解散、解散」と連呼する鳩山由紀夫には・・・・
早く解散総選挙を行うべきにしても、さすがに金融危機もこの規模になるとねえ。
解散を叫んだ所で、与党から解散を恵んでもらえる訳でもないんですから、
取り敢えず、1つのキー・ポイントである大統領選挙が終わるまでは、
解散を希望して、テロ特措法の通過で協力するよりも、
この金融危機への対処で協力した方が、民主党にとっても賢い判断だと思うんですけどねえ。


って、何だか最近、政治と経済の話ばかりだなあ・・・・
(まあ、状況が状況だけに、それも一向に構わないんですが)
私の主成分は「スポーツと科学」で出来てるのに(笑)。
と言う事で、今回のノーベル賞受賞に全く触れないのも何なので、最後に一言。

南部先生、おめでとうございます。
やはり、長生きはするものですよねえ。
最右翼と言われていた戸塚先生も、今年早世されて結局受賞できませんでしたし。
あと、蛍光タンパク質を発見したのは、日本人科学者だったんですね。
下村教授が今回受賞するまで、全く知りませんでした・・・・
それにしても最近、化学賞は生物関係での受賞が多いですね。
まあ、以前は物理関係も多かったですし、
いろいろな科学分野に連なる化学の宿命なのかな?
それを言えば物理も、宇宙から素粒子、そしてダイオードまでと幅広いですけど。

ああ、今回の大量受賞で、少しは基礎研究の置かれた状況が改善されれば良いなあ・・・・
最近はどうも、効率だけを追い求めて、基礎が疎かにされがちですからねえ。
明治政府も通った道ですが、目先の上ではそれで良くても、後はジリ貧になりますし、
文科省の大臣などは、大量受賞を単純に喜ぶだけでなく、
南部先生や下村教授が、日本ではなく海外で成果を残された事を、もっと憂慮すべきかと。
明治人の努力により、「母国語で高等教育が受けられる環境」が整えられているんですから。
実はこうした恵まれた環境って、非欧米圏ではほぼ皆無なんですよねえ。

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