▽ 2008/12/19 (金) 23:23:26 ▽ tristar |
| ▼ 徳翁導誉管理人様
>これは北アラル海の話なんですか?
すいません、寝ぼけながら書いてるとダメですね。
シルダリアの問題は、穀物を売って得られる収入と、エネルギーを売って得られる収入どちらが上かと言う話です。
発電所を作ってエネルギーを供給するなら、キルギスは冬季の水力発電を止めて夏季の灌漑に回すでしょう。
僕はこれって経済の問題と言うと思うのですよ。
> 問題の根幹が旧ソ連のムチャクチャなので、適正な水準を探っていると言った方が適当では。
>大きかったのは、社会主義から資本主義への移行の混乱ですね。
例えばオビ・エニセイ川からの導水計画が完遂されていたら、とか、どうせ止めるならカラクーム運河も止めときゃとか。
「社会主義の勝利の為にアラル海は美しく死ぬべき」とか言った官僚が居たそうですが、水を大量に必要とする綿花と稲の栽培を基準にしてしまった事がそもそもの過ちと思えます。
>ウクライナ
戦争までけしかけられて、NATOに入れて貰えなかったグルジアは悲惨ですが、ウクライナはどうなるでしょうねぇ。
インダストリアル・キャリアーズが潰れてしまいましたし、内陸志向、ロシアの勢力圏に戻っていくのでしょうか。
>ほとんどない
確かに明確な定義がある言葉ではないですが、オガララ帯水層の保護でなく、持続的な農業の話題の中での話です。
揚水に対して30〜50%程度の涵養がある事に対してほとんどないとの仰せに、管理人様の真意とは別なのは承知しましたが、僕が違和感を感じたという事です。
>「根幹」と言える割合
準乾燥帯なので日照が多く、農民は熱心なので反収は若干高めではありますが、
オガララ帯水層に依存する地域で飛びぬけて反収が高い、と言うわけではありません。
ではなぜこの様な数字が出るのか、と言うと、大都市近郊や海岸に近いところでは、より価格の高い果物や野菜を志向します。
西海岸ではアジアへの輸出を当て込んで水稲を作ってますね。
経済発展から取り残されているグレートプレーンズでは、輸送コストを入れると野菜や果物では競争力を持てず、止むを得ず穀物を栽培する形です。
他地域で生産しても著しく劣ると言うわけではなく、実際今回の高騰を受けて土壌保全留保計画(CRP)早期解除に対する違約金免除を行ったところ、大量に応募があったそうです。(彼らは貧乏クジになりましたが)
http://www.omicnet.com/omicnet/report/archives/co/2007co-rep.html
http://www.omicnet.com/omicnet/report/archives/nd/2007nd-rep.html
http://www.omicnet.com/omicnet/report/archives/ne/2007ne-rep.html
小麦では他地域よりも若干低めですね。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f7/Ogallala_changes_in_feet_1980-1995_USGS.gif
オガララ帯水層と言っても地域差があり、依存する地域で最も生産力の高いネブラスカ州周辺では、20年前から既に水位は回復傾向です。
> リン
そりゃ安いものがあれば安いものを使うのは当たり前でしょう。
問題は、リン鉱石の枯渇が農業の深刻なリスクになり得るかどうかです。
現在モロッコのリン鉱石輸出は7億ドル程度。例えばこれが枯渇して、全て人造リン鉱石で代用するとして、前回挙げたコスト10倍をそのまま適用しても70億ドルです。
一定のコスト上方圧力になる可能性はありますが、耐え難いコストには見えません。
> ブラマプトラ川ダム?
水利問題はそれ程大きくないとは言ってますが、冗談で火遊びに使えるほど簡単な問題でもないと思っています。
印パ戦争の最中でさえ、インダス川の水利協定は守られたって話もありますし。
本当にそんな話があったなら、まぁ日本のニュースでは扱いが小さくとも、世界ではそれなりのインパクトで伝えられると思うんですよ。
失礼とは思いますが、何かの勘違いなんじゃないですかねぇ。
>一方で中国は、魚よりも肉を食べる文化です。
日本は魚食ですが、日本よりは肉食傾向のある韓国とも同程度の水準まで上がってるので、これ以上上がる余地は少ない様に見えます。
淡水魚をよく食べるそうで、肉食文化とも言い切り難いとは思いますが、まぁ試しに計算してみます。
中国とインドの肉類消費量が一人あたり100キロまで増えるとしましょう。
インド(115000万人)1億1500万トン+中国(130000万人/現在既に50kg消費)6500万トン
インドでは豚肉として(1kgに対して飼料4kg消費)中国では牛豚鶏が1/3づつとして(1kgに対して飼料7/4/2kg消費、平均4.4kg)計算します。
インド46000万トン+中国28600万トン、計74600万トン
トウモロコシ75%、大豆ミール25%の配合飼料とする。大豆ミールのたんぱく質含有量はトウモロコシの5倍。
トウモロコシ28000万トン、大豆ミール9300万トン、大豆ミールへの変換効率80%(油脂20%)=大豆11625万トン
トウモロコシ反収をアルゼンチン程度の8トン/ヘクタールまで上げるとして、3500万ヘクタール。
大豆反収は現在と同量として2.5トン/ヘクタール、4650万ヘクタール。
https://www.jica.go.jp/activities/evaluation/tech_ga/general/2000/pdf/220.pdf
全部牛にしたところで、ブラジル・セラードの開発だけでも賄える量です。
まぁあまり意味のある想定とは思いませんが、現在の技術でもこれくらいの可能性はあるって話ですね。
幾ら費用が掛かるか分からない、と言っても天水農業ですし、土地改良の経験も十分積みました。
コストが跳ね上がる要因は特に見当たりません。
>餓死する人数も、変わりはありませんか?
北朝鮮を挙げます。国民一人当たりの農地は日本の5倍程度あり、1980年代までは自給率100%を越えていました。
旧ソ連崩壊に伴ってエネルギーが途絶え、肥料生産が止まって、反収が下がってこうなりました。
農地を広げる事が食料安全保障に繋がらない事の実例でしょう。
>>この価格で買えないのでは、自国で生産しろと言っても無理です。
>それは何故ですか?
こちらはジンバブエを挙げます。
経緯は管理人様には釈迦に説法でしょうから省きますが、2000年以降白人の所有する農場を強制収容し、黒人に与える「ファスト・トラック」を行いました。
肥沃な土地、適度な降水、インフラもある程度整備されていて、いわゆる貧困国よりは遥かに整った条件がありましたが、現在は世界有数の失敗国に数えられています。
土地がある、労働力がある、なら自分で作れと言っても無理な実例でしょう。
農業を支える基盤を自ら破壊した結果こうなりました。支え無しに農業だけでは機能しないんです。
(誰がやっても結果は同じだったと思えるところにジンバブエの厳しさを感じもするんですが)
>韓国なども似たような
韓国はマダガスカル島半分買ったって最近話題になりましたが、朝鮮半島からアメリカの影響力が減退したのを受けて独自の供給源を探っているようですね。
>天気予報みたいなモノ
人口学者は、出してる物は大筋で変わらないのに使う側の都合で解釈を変えられてしまう、と言ってますね。
日本の場合人口置き換え水準(全ての女性が結婚するとして、親と同数の子を確保できる数)2.07(日本の新生児男女比は男1.05:女1、出産を終えるまでに死亡したり病気で子供を産めない確率が0.02)
を既に1960年代に下回っています。それでも人口増加が続いた理由は、寿命の延長による死亡率の低下でした。
既に寿命の延長はほぼ飽和しています。医学の超進歩でもない限りは、あと10年〜30年でいわゆる団塊の世代の人たちは寿命を迎えます。
対して、現在子供を産める年齢の世代は圧倒的に少なく、既に少々出生率が回復した程度ではどうにもならない段階に来ています。
例えば、少子化対策が劇的に奏効して、2025年に2.07まで出生率が回復して以降維持できたとしても、50年は人口が減りつづけ、現在の人口の69%のところまで下がって止まるそうです。
フランスは普仏戦争の敗戦を教訓に、莫大な国費を注ぎ込み続けて少子化と戦って来ました。
発展途上国ですら出生率は減少を続けて、既に2%前半まで下がっています。発展途上国も、出生に因らず、死亡の減少による人口増加の時代が近づいています。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/zuhyou/0212.xls
>人間は動物
種を保存繁栄させる事も動物ですが、絶対的に利己的な事もまた動物ですからねぇ。
>「投資家」の話を聞いているみたいな感覚
そりゃ、超長期的に上げ相場になるか下げ相場になるかって話ですから、経済的な話題が中心になるのは仕方ないと。
ウチにも半年前頃は、食糧危機が来るから儲かると、銀行屋が農産物ファンドを売りに来たもんです(苦笑) |
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