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[9055] Re:まとめレス2返信 削除
2008/11/1 (土) 16:27:21 徳翁導誉

> お疲れ様です。ルーマニアなのですが、
>  ルーマニア書記長(1961年 - 1965年)
> と変更をお願いしたくあります。

変更箇所を張り直す時に気付いたんですが、
1961年というのはデジの首相就任の年で、書記長就任は1955年ですね。
無許可ですが、勝手に修正しておきました。

> 新規投稿です。
ありがとうございます。
列伝の方も、結構埋まってきました。
プレイするに於いても、自分が担当する指導者がどんな人物であったか、
多少でも理解できていると、思い入れも増すでしょうしねえ。


> > このグラフ↓を見る限り、石炭の方が安いみたいですが?
> それは試算方法が違うのか、僕の資料が違ったのかも知れません。

まあ石炭は品質によって、値段もそれぞれですからねえ。
しかし基本的にはやはり、石炭の方が安いモノかと。
その証拠として上げたのが、以前の火力発電所の話ですね。

> 原油価格が上がれば代替エネルギーの利用が進む。
> 産油国は価格維持に励むでしょうが、現実には価格は下落傾向、と考えます。
> どちらのシナリオにしても、長期的なエネルギー不足が現実に発生するとは思えません。(ごっちゃに話してたから分かり難かったですね)

それは価格の話であり、供給量の話とはまた別ですよ。
連動する面はあるにしても。

> > シェアと言いますか、単位面積当たりの収穫量が違うんですよ。
> > かと言って、これが「農業開発力の向上か?」と問われると・・・・

> 農業従事者は儲かる物を作るだけの話ですからねぇ。
> ただ、作付面積のみを農業開発力と取ると言うのも変な話に思えます。
> ゲーム的にどれを農業値と考えるなら、生産量と考えるのが一番近いのでは。

そもそもの話は、「農業はそう簡単に生産量を増やす事は出来ない」って話ですよねえ?
ここでの「生産量」とは、例えば「生産量が2倍になった」と言う事であれば、
それは「米や小麦、肉類などがそのまま2倍の生産量に」と言う事であり、
「芋は米や小麦より生産量が多いから、転作させて生産量が2倍に」という話とは違うんです。

> > しかし、そうした過去の経緯が、これからの未来を保証する訳ではないですからねえ。
> それは同意しますが、農業も「急には増やせない」のでなく、
> ある程度フレキシブルな対応力を持っていた、長期的にも安価に増産する余力も十分に存在した、事の説明にはなると思います。

必要に迫られ、「緑の革命」のような無理を強いられた現実は、
「フレキシブルな対応力」「余力も十分」なんて言葉では片付けられないと思いますが?

> 農業環境が厳しくなる要因が存在するわけでもないと。
水は?肥料は?温暖化は?生産コストの上昇は?
恐らく根拠は、以前の返信にあった「世界農業機関」の発表だと思うのですが、
(この世界農業機関って、FAO:国連食糧農業機関の事ですよねえ?)
私もキチンと読んだ訳ではないのですけど、
あれは「理論上」の話であり、「現実的」な話としては疑問に感じる面もありました。
と言うか、あれって「遺伝子組換え反対」という意図が隠れたレポートなのでは?

> > アメリカでは既に、ガソリンは「E10」の方向でかなり進んで
> 消費者は高いE10より、安いガソリンを買うのが普通です。
> エタノールとガソリンの価格差が開けば、議会は何時までも補助金を垂れ流しにさせるとは思えません。

いや、ですから、「国策によって」という話ですよ・・・・
「ガソリンは全てE10にしよう」という方向に進んでいると話です。
アメリカ国内でも既に、「E10義務化」がされている州もありますしね。

> 全ての国家が国家予算を全て注ぎ込んでも、世界需要を満たせないバランスはリアリティに欠けると思えます。
ああ、なるほど。
ゲーム内での金額の事ですか。
ただそれを言ったら、全ての項目が高すぎますので(笑)。
その辺は完全に、ゲーム上の都合です。


[9100] Re2:返信 削除
2008/11/4 (火) 21:13:41 tristar

▼ 徳翁導誉管理人様
>その辺は完全に、ゲーム上の都合です。
で全ては説明ついちゃいますので、ここからは雑談風味ですね。

>それは価格の話であり、供給量の話とはまた別ですよ。
>連動する面はあるにしても。

供給量と価格は不可分と思います。供給量が減るのに価格が下がる事は通常あり得ませんし、逆も同じです。
価格が上がったから、需要が減る事はあり得ますが。
石油供給量が足りなくなれば、代替エネルギーの利用でエネルギー不足は起こらない。石油供給過剰で価格下落。産油国の適切な生産調整で、価格が維持される。
いずれにしても、長期的なエネルギー不足が発生するシナリオは、想像できません。

>「芋は米や小麦より生産量が多いから、転作させて生産量が2倍に」という話とは違うんです。
そこだけを取って厳密に言えば違いますが、転作元の作物は供給が減少して価格が上昇、生産意欲が高まって増産する、結果はさして違わないと。
少なくとも過去はこれが機能して中長期的には農産物価格が維持(低迷)されたと言って良いでしょう。意図的に北朝鮮みたいな事をやったわけではないと。

http://www3.jetro.go.jp/jetro-file/BodyUrlPdfDown.do?bodyurlpdf=05000917_001_BUP_0.pdf
http://www.maff.go.jp/kokusai/cooperation/02/pdf2/data01.pdf
ブラジルの場合は転作でなく、純粋に生産力が上がってると見ていいですよね。

http://www.d1.dion.ne.jp/~tmhk/yosida/stat.htm#seisan
これなら生産拡大の証拠になりませんか。大麦や燕麦等減ってる作物が無いわけではないですが・・・。

>緑の革命
功罪は置くにしても、技術革新で農業の可能性が開く一例ではあるでしょう。直近には、遺伝子組み替え技術で第2の緑の革命になる可能性はありますね。
緑の革命の必要は、貧困との戦いからの必要で(効果があったかどうかは別にして)、農業生産力の必要とは違うと考えます。

>FAO
うへ、どこから持ってきたかバレちゃいますね(苦笑)
農業生産拡大が困難だとの視点で仰せですから、現実性が無いとのお話になるのでしょうが・・・。
10年も前のレポートですが、現在も大きな逸脱はありません。
現在まで現実に即している、事だけでは将来の保証にならない事は分かりますが、農業に今後大きなリスクがある、とも思えないんですよ。

レポートが遺伝子組み替え反対派に利用されている面はあると思いますが、FAOが世界農業先行き不安を圧しても遺伝子組み替えを反対する組織とは思えませんし、そもそもFAOは遺伝子組み替えに肯定的な立場です。
http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/068/mgzn06809.html

>水は?
過去も付きまとってきた問題で、取り立ててリスクが増大する要因ではないと。

>肥料は?
リン鉱石の事だろうと思いますが、土壌での利用率改良、人造リン鉱石、新鉱床発見等で解決するでしょう。
リスクが無いとはそりゃ言えませんが、大きなリスクとは思えません。カリは500年分以上の埋蔵がありますしね。

>温暖化は?
気温の上昇は既存の農業環境に変化をもたらす可能性があるものの、冷帯・亜寒帯の生産力を飛躍的に高めます。
降水量の増加は、殆どの場合農業にはプラス要因です。二酸化炭素の増加は植物の成長を促すとの研究もあります。


>生産コストの上昇は?
コストの問題は生産力の問題でなく、貧農→貧困の問題でしょう。コストを圧縮しやすい大規模農家は、むしろ価格上昇で生産意欲を刺激されるでしょう。
農産物の生産・消費量の増加を遥かに上回るペースでGDPが上昇し続けた、続けるであろう事もコスト問題は大きなリスクとはならない事の裏付けになると思います。
問題とされている「石油不足」「食料不足」は、結局のところ「恩恵に預かれる人々の収入下限」が上がる程度の問題と考えます。
(もちろんそれはムチャクチャ大きな問題とは承知してますが、世界政治のメインテーマになるとは思えないとの意で)

歴史的感覚で考えるべき大きなリスクは、寧ろ人口減少じゃないでしょうか。世界人口は、既に増加率は1.2%程度まで下がり、2050年頃の75-100億人をピークに停滞、そして減少に転じると予想されています。
21世紀前半は中国、中盤はインドが世界経済を牽引するでしょうが、その次の市場はどこでしょう。人口減少により、経済が継続的な縮小を始めたら・・・・。

日本だけを取っても、今は死亡率の低下が、出生率の低下を補っていますが、合計特殊出生率が1近いと言うのは凄まじく危険な数字です。
中国の人口は2030年頃の15億人がピークで、2050年頃には1億人減少すると予想されています。

>「国策によって」
国策と言っても環境の変化でたちまち破棄するでしょう。(政権も変わりますしね)

http://www.nedodcweb.org/report/2007-6-24.html
国策とはこれの事でしょうか、メタンハイドレートなんかより遥かに不確定な先進バイオ燃料?をアテにしているのもおかしいと思いますが、生産量の拡大も現実的とは思えません。
実際、業界株も殆ど反応しませんでした。
1:1.34って数字は、バイオエタノール1000ml生産するのに、石油700mlを消費する計算です。輸送やインフラ整備等にもエネルギーは必要です。
エネルギー収支が赤字だとの試算も出てますしね。

エタノールは燃料自給率向上に貢献せず、地球環境に優しいわけでもなく(地域環境にはいいですが)、価格が安いわけでもない。
生産地は中西部に集中していて、腐食性が高く既存のパイプラインが使えず、タンクローリーによる輸送に頼らざるを得ない。
石油高は原料高で利益が出ず、原料安は石油安で競争力が無い。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/122
国策で大量の需要が保証された業界なら、こんなに下がります?
http://finance.google.com/finance?q=NASDAQ:PEIX
http://finance.google.com/finance?q=NYSE:AVR
http://finance.google.com/finance?q=NYSE:VSE
この他のエタノール関連企業も似たような値動きです。

根拠の無い、感覚と言うか印象だけの話になりますが、バイオエタノール自体、農産物の供給過剰による価格低迷対策と思えるんですよ。
本当に食料が足りない/足りなくなるなら、こんな無駄だと分かった事に使っていられないと思うんですよねぇ。


[9127] 農業について返信 削除
2008/11/7 (金) 19:32:36 徳翁導誉

> > それは価格の話であり、供給量の話とはまた別ですよ。
> > 連動する面はあるにしても。

> 供給量と価格は不可分と思います。供給量が減るのに価格が下がる事は通常あり得ませんし、逆も同じです。
> 価格が上がったから、需要が減る事はあり得ますが。

それはあくまで「市場」での話であり、ゲーム内での担当は「国家」なのですから、
得するのに売らなくても、損するのに売っても良いですので、
そうしたケースも十分に有り得ると言いたい訳です。
「通常」ではそうであっても、「非常」ではそうでない事も有るとなれば、
それは即ち、「不可分」の関係ではなく「連動」の関係であると。

> http://www3.jetro.go.jp/jetro-file/BodyUrlPdfDown.do?bodyurlpdf=05000917_001_BUP_0.pdf
> http://www.maff.go.jp/kokusai/cooperation/02/pdf2/data01.pdf
> ブラジルの場合は転作でなく、純粋に生産力が上がってると見ていいですよね。

確かにブラジルは、生産力自体が上がっていると思いますけど、
でもそれって、既にそもそもの論点からは大きくズレてませんか?

> http://www.d1.dion.ne.jp/~tmhk/yosida/stat.htm#seisan
> これなら生産拡大の証拠になりませんか。大麦や燕麦等減ってる作物が無いわけではないですが・・・。

すみませんが、ただデータを貼られるだけでは、
「どのデータを参考に、何を言いたいのか」と言うのが、
こちらには、さっぱり伝わらないのですが・・・・

> > 緑の革命
> 功罪は置くにしても、技術革新で農業の可能性が開く一例ではあるでしょう。
> 直近には、遺伝子組み替え技術で第2の緑の革命になる可能性はありますね。

いや、ですからそれは「可能性」の話であり、
その可能性自体を否定するつもりは、私も当然ないのですが、
しかし、だからと言って、それは「保証」にはなりませんよと。

> > FAO
> うへ、どこから持ってきたかバレちゃいますね(苦笑)
> 農業生産拡大が困難だとの視点で仰せですから、現実性が無いとのお話になるのでしょうが・・・。

「疑問に感じる面もある」と書いただけで、「現実性が無い」とまでは言ってませんよ。
ただ、「どれだけ金が掛かるの?」というのはありますが。

> レポートが遺伝子組み替え反対派に利用されている面はあると思いますが、
> FAOが世界農業先行き不安を圧しても遺伝子組み替えを反対する組織とは思えませんし、
> そもそもFAOは遺伝子組み替えに肯定的な立場です。
> http://www.niaes.affrc.go.jp/magazine/068/mgzn06809.html

う〜ん、別に同じ組織内から発せられたレポートであったとしても、
その報告者や会議などには、それぞれの立場がありますので、
全てが全て、同じ方向を向いている訳ではないですよ。
ちょっと違うかも知れませんが、空幕僚長の論文(内容的には論文とすら呼べませんけど)が、
自衛隊や防衛庁の見解って訳ではないですし。

> > 水は?
> 過去も付きまとってきた問題で、取り立ててリスクが増大する要因ではないと。

水消費量の増加に、水の争奪戦まで起き始めて、
21世紀は「水の世紀」とも言われてますけどね。
例えば、チベットからインドへと流れるブラマプトラ川など、
インドは川の水を水不足の地域へ引こうとして、下流のバングラデシュから猛抗議されてますし、
そのインドも、川をチベットで堰き止めて水不足の地域へ引こうとしている中国に猛抗議をしている。
この辺の事態は、「過去」を例証として何とかなる程度の事なのでしょうか?
海水の淡水化などもありますが、それも「どれだけ金が掛かるの?」という話です。
また、それとは別に「化石水」にしても、無尽蔵に使える訳ではないのですから。

> > 生産コストの上昇は?
> コストの問題は生産力の問題でなく、貧農→貧困の問題でしょう。

そうした部分まで「貧困の問題」として片付けてしまうのであれば、
「農業環境が厳しくなる要因」として、もう私から語る事はないですね。
ただ、あくまで「農業」である以上、経済活動に乗らない事には成り立ち辛いですし、
極端な話になってしまいますが、採算を考慮しなくて良ければ、
日本だって、食糧自給率を1000%にでも2000%にでも出来ますからねえ。

> >「国策によって」
> 国策と言っても環境の変化でたちまち破棄するでしょう。(政権も変わりますしね)

まあ、それが「国策」ってモノですからねえ。
放っておいても上手く転がっていくのであれば、
通常、国策でどうこうなんて話にならないですし。

ただ、今回の政権交代でエネルギー政策が転換されるかと言えば、
まだまだ予想にしかすぎないものの、オバマは推進してくると思います。
基本的に、バブルの穴はバブルでしか埋まりません。
数年前にも、ITバブルの穴を金融バブルで埋めたように、
今度は金融バブルの穴を、環境エネルギーバブルで埋めようとする可能性は十分に有り得ます。

> 国策で大量の需要が保証された業界なら、こんなに下がります?
何故また関連企業の株価の話に・・・・
まあ別に良いですが、では逆に、何故そこまで上がったのでしょうか?

> 根拠の無い、感覚と言うか印象だけの話になりますが、
> バイオエタノール自体、農産物の供給過剰による価格低迷対策と思えるんですよ。

いや、その認識で正しいですよ。
まあ、それが全てという訳でもないですが。

> 本当に食料が足りない/足りなくなるなら、こんな無駄だと分かった事に使っていられないと思うんですよねぇ。
国レベルの話と、世界レベルの話とを、ゴッチャにされてませんか?


[9156] Re:農業について返信 削除
2008/11/11 (火) 21:16:36 tristar

▼ 徳翁導誉管理人様

>「人口が増えすぎる」「食料が足りない」「燃料が足りない」
>こららの事は、実際に私たちが生きている世界で既に現れている問題であり、
>それはこれからも、更に加速していく事でしょう。
>21世紀に訪れるであろう「物資不足」

僕が感じるのは、これに対する根本的な疑問です。

> 得するのに売らなくても、損するのに売っても良いですので、
> 「通常」ではそうであっても、「非常」ではそうでない事も有るとなれば、
> それは即ち、「不可分」の関係ではなく「連動」の関係であると。

これは政治リスクで、絶対的供給量のリスクではないと。
それもオイルショックの頃、エネルギーが世界貿易の主要な部分を占めていた時代ならこれで済みましたが、今はエネルギーと一次産品全て含めても半分に満たない世界です。
その点でのリスクも、これからは減少傾向でしょう。

最近の商品相場暴落(正常化)で悲鳴を上げてるような、人口の少ない資源国が統治しやすい、とはとても思えないんですよ。
カネで車は動かない、カネは食えないと言いますが、輸出国もカネを必要としています。

>それって、既にそもそもの論点からは大きくズレてませんか?
>「どのデータを参考に、何を言いたいのか」

http://www.stat.go.jp/data/sekai/04.htm (4-1、4-3、4-4参照)
こっちの方がデータが多いか。人口増を上回る農業生産増が市場原理の中で行われている事であり、頭打ちになっている事を示すデータは無いと僕は読みます。

> う〜ん、別に同じ組織内から発せられたレポートであったとしても、
> その報告者や会議などには、それぞれの立場がありますので、

FAOプレスリリースですから、組織の公式見解と考えるのが普通の取り方でしょう。
その例えで言うなら、防衛事務次官が、大臣の決裁を得て正式に発表してます。
GM反対団体はFAOの許容姿勢を批判しているくらいで。

>それは「保証」にはなりませんよと。
リスクと可能性を並べて考える(感じる)しかない話です。

> > > FAO
> ただ、「どれだけ金が掛かるの?」というのはありますが。

レポートが作成されてから現在までは採算ベースで達成してきました。
これから急激に金が掛かる様になる事を示す情報は無い筈です。

> > > 水は?
> この辺の事態は、「過去」を例証として何とかなる程度の事なのでしょうか?

「昔何とかなったから、これからも何とかなるんじゃん?」ではなく、「過去も水の争奪は行われたし、これからも行われるだろう。これから急激に水不足量が増える事を示す情報は無い」です。
それぞれは深刻で危険な問題なのでしょうが、地球規模見れば局地的な問題であり、農業に対する大きなリスクとは思えません。
下のレポートにもありますが、アフリカ北岸〜南東岸、中近東、南アジアの話ですから、貧困とセットで語られるべき問題でしょう。

> 海水の淡水化などもありますが、それも「どれだけ金が掛かるの?」という話です。
http://www.jaif.or.jp/ja/news/2006/desalination_report.pdf
海水の淡水化ってこんなに進んだのですか。これからもコストは下がるでしょうしねぇ。
現在の農業情勢でコストに見合うか?言われると微妙ですが(イスラエルはこれでやってるみたいですが、商品作物中心だしあの国は特殊だからなあ)
どれだけコストが掛かるか見当もつかないレベルの話ではなさそうです。

> > > 生産コストの上昇は?
> 採算を考慮しなくて良ければ

採算を度外視しなければならない程のコスト上昇要因が見当たりません。

本当に危機がやってきて、市場価格が倍になれば、貿易だけで年間3500億ドルの金が輸入国から輸出国へ流れ込みます。
各国内の市場ではもっと大きな金が消費者から生産者へ流れる事でしょうし、各国は増産の為に農業インフラへどんどん投資するでしょう。
これだけの金が動いて、経済活動として成り立たないレベルの危機になるとは思えません。

> 今度は金融バブルの穴を、環境エネルギーバブルで
市場規模が小さ過ぎると思います。アメリカの全てのガソリンをE10にしたところで、年間4億バレル弱ですからねぇ。
バブルはバブルと言うだけあって、実態の無い・見えない物が牽引する物ですから、明らかに見通しの立つエネルギーは不向きに見えます。

>、では逆に、何故そこまで上がったのでしょうか?
イメージの問題でしょう、先進のクリーンエネルギー、著名人も投資している、エネルギーなら要らなくなる事は無いから安心だろう。
フタを開けて吟味したら、イメージとはかけ離れた実態が浮かんできたと。
日本でも、光通信とかありましたよね。

> 国レベルの話と、世界レベルの話とを、ゴッチャにされてませんか?
「21世紀に訪れるであろう「物資不足」」の定義が分かってないのですが、
1.最も収入の無い人々を飢餓が襲う
2.世界的に食料価格が上がって、日本人のエンゲル係数もちょっと上がって、生活が厳しいとぼやく
3.一部の農業国以外は生存が困難なレベルの不足
1はこれからも継続してしまうとは思いますが、3はもちろん2も起こらないと思って発言しています。


[9164] Re2:農業について返信 削除
2008/11/13 (木) 19:09:23 徳翁導誉

> >「人口が増えすぎる」「食料が足りない」「燃料が足りない」
> >こららの事は、実際に私たちが生きている世界で既に現れている問題であり、
> >それはこれからも、更に加速していく事でしょう。
> >21世紀に訪れるであろう「物資不足」

> 僕が感じるのは、これに対する根本的な疑問です。

これは、現実世界での話ですか?
それとも、ゲーム世界での話ですか?
現実世界の話だとしたら、採算ベースでの話ですか?
それとも、絶対量での話ですか?

> > 得するのに売らなくても、損するのに売っても良いですので、
> > 「通常」ではそうであっても、「非常」ではそうでない事も有るとなれば、
> > それは即ち、「不可分」の関係ではなく「連動」の関係であると。

> これは政治リスクで、絶対的供給量のリスクではないと。
> それもオイルショックの頃、エネルギーが世界貿易の主要な部分を占めていた時代ならこれで済みましたが、今はエネルギーと一次産品全て含めても半分に満たない世界です。
> その点でのリスクも、これからは減少傾向でしょう。

???
え〜と、申し訳ないんですけど、
既に何処を論点とされているのか、こちらには分からなくなりました・・・・
すみませんが、根本的には「何が論点か」をまとめていただければ有り難いです。

> > 海水の淡水化などもありますが、それも「どれだけ金が掛かるの?」という話です。
> http://www.jaif.or.jp/ja/news/2006/desalination_report.pdf
> 海水の淡水化ってこんなに進んだのですか。これからもコストは下がるでしょうしねぇ。

海水の淡水化は結構進んでいますよ。
しかし、多段蒸発式にしても、逆浸透膜式にしても、
それには必ずエネルギーが必要となる為、コストを下げるにも限界があり、
川や湖などから引く普通の淡水に比べれば、どうしても割高になります。
実際、現段階で海水の淡水化を利用している国って、
シンガポールや中東産油国など、資金はあるけど水は乏しいって国に限られてますし、
そもそも、海水を淡水化しなければならない状況自体が、水不足の深刻さを現しているのでは?

> これから急激に水不足量が増える事を示す情報は無い
現状で利用可能な淡水って、
日本人レベルで使えば80億人分、アメリカ人レベルで使えば40億人分と聞いた事があるのですが?
人口が増えれば、水の消費量が増えるのは当然として、
それ以上に大きいのは、生活レベル向上による水消費量の増加です。
ここ半世紀で、世界の人口は2倍に増えましたが、水の消費量は3倍に増えていたはずです。

> それぞれは深刻で危険な問題なのでしょうが、地球規模見れば局地的な問題であり、農業に対する大きなリスクとは思えません。
「地球規模で見れば」と言われても、
水は偏在している上、雨期で一気に流れる水もある訳で、
水資源賦存量の全てを、上手く有効に分配できる訳ではありません。
アメリカ中部の大穀倉地帯では、オガララ帯水層の化石水に頼ってますが、
既に推定埋蔵量4兆トンの半分以上を使ってしまい、
地域によっては、既に水が枯れてしまった所さえ出てきています。
そもそも乾燥地帯であった中国北部やオーストラリアでも、水不足は深刻化してきてますし、
アラル海やチャド湖なども、過度な利水で干上がってきています。
例えば、熱帯雨林地帯には淡水が豊富にあるとは言っても、
そうした水不足の土地を潤せる訳ではないですので。

> 下のレポートにもありますが、アフリカ北岸〜南東岸、中近東、南アジアの話ですから、貧困とセットで語られるべき問題でしょう。
んん、ちょっと意味が分からないのですが、
貧困問題がある地域だから、水不足の問題ではなく貧困問題だという事でしょうか?
貧困とセットで語るのは良いとして、
そうした貧困地帯で、通常よりも経費の掛かる淡水化が必要だという時点で、
単純に「水が不足している」とは言えないのでしょうか?
それに、水不足はスペインや韓国でも起きている問題ですし、
日本で言えば、福岡市などは既に海水淡水化で水の不足を補っているはずです。
また、「水不足=貧困」という事であれば、四国は貧困地帯なのでしょうか?
本州より水道パイプラインを引けば解決するだろうから、貧困問題だという理由で。

> > 今度は金融バブルの穴を、環境エネルギーバブルで
> 市場規模が小さ過ぎると思います。アメリカの全てのガソリンをE10にしたところで、年間4億バレル弱ですからねぇ。

環境エネルギーとは別に、バイオ燃料だけの話ではありませんよ。

> バブルはバブルと言うだけあって、実態の無い・見えない物が牽引する物ですから、明らかに見通しの立つエネルギーは不向きに見えます。
住宅ローンとは、実体の見えない存在なのでしょうか?

> > では逆に、何故そこまで上がったのでしょうか?
> イメージの問題でしょう

では、そうしたイメージが生まれた根元とは?

> > > 本当に食料が足りない/足りなくなるなら、こんな無駄だと分かった事に使っていられないと思うんですよねぇ。
> > 国レベルの話と、世界レベルの話とを、ゴッチャにされてませんか?

ちょっと何処の国の事だったか忘れましたが、
とあるアフリカの国で、今までは隣国の余った穀物を安く買っていたものの、
その隣国の政策が変わり、余った穀物を用いて肉牛飼育を始めた為、
その国への穀物輸出が止まり、食糧危機が発生するようになった際に、
FAOの報告では確か、それを「貧困の問題」と片付けていたんですよねえ・・・・
育てた牛肉は誰かの口に入ってる訳で、捨てている訳ではないんですし、
私の感覚だと、これは「食糧不足」だと思うんですけどね。
そして、肉牛飼育を始めたその隣国からすれば、
牛肉販売で今まで以上の利益が出るなら、他国で食糧危機が起きようと関係ない訳で、
牛肉がバイオ燃料に変わっても、それは同じ事だと思います。

> 「21世紀に訪れるであろう「物資不足」」の定義が分かってないのですが、
> 1.最も収入の無い人々を飢餓が襲う
> 2.世界的に食料価格が上がって、日本人のエンゲル係数もちょっと上がって、生活が厳しいとぼやく
> 3.一部の農業国以外は生存が困難なレベルの不足
> 1はこれからも継続してしまうとは思いますが、3はもちろん2も起こらないと思って発言しています。

その場合分けですと、私の話は1の人口が増え、2も起こり得るって感じですかねえ?
また3ほど極端な所までには至らずとも、それに近いケースも皆無ではないと。


[9187] Re3:農業について返信 削除
2008/11/17 (月) 01:17:30 tristar

▼ 徳翁導誉管理人様
> これは、現実世界での話ですか?
そのつもりです。「統治しやすい云々」は
>人口の少ない産油国の中には、そうした国も現実にありますね。
>税金が掛からない上、教育費や医療費なども無料って具合に。

に対しての発言ですね。

>実際に私たちが生きている世界で既に現れている問題であり、
ここからずれてるのかな、僕は現在の世界では、物資不足は発生していないと考えています。

> 根本的には「何が論点か」
長期的な物資不足が発生・進行しているか?についてがメインで、
現在と将来の需給関係のお話のつもりです(拡散気味ですが)

> > 海水の淡水化
> エネルギーが必要となる為、コストを下げるにも限界があり割高

砂漠でゼロからスタートでも無い限りは、乾季・旱魃時に使えば良いだけですから、見た目ほどのコストは掛からない筈です。
沖縄で設備を導入したところでは、導入したものの順調に雨が降るので、1度も使ってないなんて話もあります。
レポートを見る限りは、ダムを作るのとどちらが経済的か、利水だけ考えるなら一概に判断が付かない程まで進んだようですし。

> 海水を淡水化しなければならない状況自体が、水不足の深刻さを
最近まではそもそも水を用意する手段が存在しなかった事に比較すれば、選択肢が出来た分リスクは減少したと言うべきと思います。

> アラル海
北アラル海ではダムを建設したり利水計画を見直した結果水位は回復しつつあります。
適切な管理と利用で効率を高めれば可能な事はまだまだ数多いとの、実例と思います。
オガララ帯水層でも利水効率向上の成果が出始めて、地下水位低下量は年々小さくなっているそうです。
中国や他も、ある程度経済力のあるところなら対処可能でしょう。チャド湖は絶望的ですが、これは貧困の問題と思います。

>生活レベル向上による水消費量の増加です。
水の用途は7割農業用、2割工業用、生活用水は1割程度と言われています。
生活レベルの向上と言える経済力があるなら、解決する方法はあるでしょう。
中国沿岸部では、巨大な造水プラント事業が幾つも立ち上がってるそうです。

> 貧困問題がある地域だから、水不足の問題ではなく貧困問題だという事でしょうか?
全ての人類が潤沢に水を使えるかどうか、と問われればそれはNOですが、水不足が、農業や地域での人の生存に直接関わるかどうかの問題は貧困とセットで語るべき、と言ってるつもりです。
四国では水不足でプールがつかえない、生活断水等はあっても、作物が全滅したとか集団移住を余儀なくされたとの話にはなってません。
地域の実情に合致した農業が行われている事を考えれば、水不足による特別なリスクの発生している地域とは思いません。

> 住宅ローンとは、実体の見えない存在なのでしょうか?
不動産価格が果てしなく上がった事は日本でも十分経験しましたし、特にアメリカの場合関連消費で経済そのものを牽引する程の大きな物です。
実体を正確に把握できた人間は警告者にも居なかったでしょう。
現在も金融システム動揺の原因は、損失がどこまで広がるのか分からない、金融機関が相互に疑心暗鬼になっている事と言われています。
サブプライムローン等は実体の見えない物の代表みたいな物じゃないですか。

> では、そうしたイメージが生まれた根元とは?
世界的な金余りで行き場を失った資金が流入しただけ、と見ているので、深刻な原因があるとは考えていません。
金融危機と言われるより全然早くから下落していましたし。

> 今までは隣国の余った穀物を安く買っていたものの、隣国の政策が変わり、食糧危機が発生する
> FAOの報告では確か、それを「貧困の問題」
> 私の感覚だと、これは「食糧不足」だと思うんですけどね。

その国にとっての食糧不足であっても、世界市場には通常価格なら十分に買えるだけの物があるのですから、「世界規模の食糧不足」ではないし
FAOは「畜産で儲けるな隣国を救え」と言う性質の団体ではないですから、貧困と言うのは普通と思います。

市場原理や国益から切り離して人類を全て飢えから救う事は、現在のところ不可能と考えます。

> 牛肉がバイオ燃料に変わっても、それは同じ事だと思います。
それはそうですが、市場価格を見れば、現在のバイオ燃料は世界市場を破壊する物ではない事は明らかになりました。
全く新たな儲かる使い道が発見されたなら別ですが、今はリスクと言える段階とは思えません。
インド人が肉食を始めたら、とのお話もありましたが、ライフスタイルの変化は年月をかけて進むもので、その程度の変化なら市場原理の中で農業は対応して行けると思います。

> また3ほど極端な所までには至らずとも、それに近いケースも皆無ではないと。
2に関して意見が分かれるのは仕方ないですが(先物取引のプロだって分からないんですし)
世界人口が90億人程度で頭打ちになる事が予想されている中で、3に近いケースとなると農業生産は全く伸びず、下手すれば減少するって事ですか。


[9224] Re4:農業について返信 削除
2008/11/29 (土) 14:22:50 徳翁導誉

> > 実際に私たちが生きている世界で既に現れている問題であり、
> ここからずれてるのかな、僕は現在の世界では、物資不足は発生していないと考えています。

う〜ん、「ずれてる」と言いますか、
私なりには、tristarさんの言わんとしている所は、
だいたい理解できてはいると思うんですが、
私が言わんとしている所が伝わっているのか?という不安が・・・・
って、まあ、それは結構いつもの事だったりするんですけどね(笑)。

私の主張って、1つの事象に対して多角的な視点から見て、
それを一定の流れを以て視点を移動させ、
その事象の全体像を捉えようとする「マシンガン撮影」みたいな見方をする上、
更にそこへ、問題点やら対処法やらを付け加えるので、
流れや視点は無視され、個々の単語だけを拾われて誤解釈されたり、
「結局、何を言いたいのか解らない」と言われたりする事が多いですので(笑)。
ですから、相手の主張に乗っかって、話を進めるケースが多くなっちゃうんですよねえ・・・・
まあ、そこまで自己主張したい訳でもないので、別にそれはそれで構わないんですが(笑)。

> > 根本的には「何が論点か」
> 長期的な物資不足が発生・進行しているか?についてがメインで、
> 現在と将来の需給関係のお話のつもりです(拡散気味ですが)

と言う事で、これからはこれをメインに語りましょうか(笑)。

まず最初に言っておきますと、
私も「必ず食糧不足や物資不足が発生する」とまで言っていません。
ただ、それが発生する可能性も「十分にありえる確率」であり、
起きるか起きないかではなく、そうした確率が存在する事自体が、
「問題」が存在するという事です。
そして、何らかの問題があったとして、その問題を解決する方法が生み出される事と、
その問題自体に対処する事とは、また違う次元の話であるという事を言っている訳です。
これからも人類は、いろいろな問題に対して様々な解決方法を産み続けて行くでしょうし、
私も理系の人間の端くれとして、そうした事を強く信じてはいますが、
しかし、そうして生み出される変革や革新というのは、「自然の流れ」に乗ったものではなく、
それがあたかも、当然の流れであるかのように前提されるべきでは無いと言っている訳です。

> 北アラル海ではダムを建設したり利水計画を見直した結果水位は回復しつつあります。
> 適切な管理と利用で効率を高めれば可能な事はまだまだ数多いとの、実例と思います。

あの〜、北アラル海の水位回復って、
南アラル海に流れ込む水を堰き止めて、つまりは南アラル海を見捨てる事で成り立っていて、
しかも北アラル海は、別名「小アラル海」とも言われるように、
元々のアラル海から見れば、10%有るか無いか程度の水量しかない部分な訳で、
数十年前と比べて数%分の水量しか保てていないモノを、成功例のようには扱えないかと・・・・
それに塩害や砂漠化の問題だって、まだまだ残されていますし。

> オガララ帯水層でも利水効率向上の成果が出始めて、地下水位低下量は年々小さくなっているそうです。
そうした対策が採られている事も知ってますが、
しかし、そもそも補充される事がほとんどない化石水を使っている訳で、
例え使用水量を半分に減らしても、使える期間が2倍に増えるというだけで、
節水するに越した事はなくとも、根本的な解決には繋がらないと思いますが?

> >生活レベル向上による水消費量の増加です。
> 水の用途は7割農業用、2割工業用、生活用水は1割程度と言われています。

生活レベルが向上する事で増えるのは、生活用水の使用量だけじゃないですよ。
生活レベルが上がれば、農業用水や工業用水の使用量だって増えます。
と言いますか、確か生活用水の使用量以上に増えるはずです。
例えば、「牛丼1杯にかかる水は2トン」とも言いますしねえ。

> 生活レベルの向上と言える経済力があるなら、解決する方法はあるでしょう。
> 中国沿岸部では、巨大な造水プラント事業が幾つも立ち上がってるそうです。

海水の淡水化は、安全性と安定供給の面で優れているのは確かですが、
前回も書きました通り、どうしても割高となるんです。
しかも、中国の水不足は沿岸部のみでなく内陸部でも深刻です。
沿岸部で造った水を内陸部に送ると言っても、更なる費用が掛かりますよ。
経済的に豊かになれば、水道料金が2倍になっても大丈夫・・・なんてモノでもないでしょうし。
だからこそ中国も、チベットから内陸部へ水を引く事を考え、
チベットを水源として頼るインドの猛反発を買っている訳です。

> > 今までは隣国の余った穀物を安く買っていたものの、隣国の政策が変わり、食糧危機が発生する
> > FAOの報告では確か、それを「貧困の問題」
> > 私の感覚だと、これは「食糧不足」だと思うんですけどね。

> その国にとっての食糧不足であっても、世界市場には通常価格なら十分に買えるだけの物があるのですから、「世界規模の食糧不足」ではないし
> FAOは「畜産で儲けるな隣国を救え」と言う性質の団体ではないですから、貧困と言うのは普通と思います。

そもそも、「世界市場には通常価格なら十分に買えるだけの物がある」という前提が正しいのでしょうか?
もしも、全世界の人々が先進国なみの所得と嗜好を持っていたとして、
その需要を賄える程の供給が、本当に十分なほどあるのでしょうか?
そして、それ程の需要があった時、本当に通常価格なんてモノは維持されるのでしょうか?

現在は、世界市場での通常価格で購入できない層の需要はないモノと考えるので、
需要に十分なほどの食糧供給が行われており、これは食糧の不足ではなく貧困の問題。
貧困層の生活が豊かになり、その分だけ需要が上がれば、供給の方も付いてくる。
このような考え方が、どうしても納得できないんですよ、私には。
FAOは世界農地の収穫率を、欧米並の収穫率にすれば良いなんて言いますが、
現実問題として、それって本当に可能なんですか?
欧米並の設備を整えるのに、いったいどれだけの費用が掛かるのですか?
仮に世界が欧米並になり生産高が数倍に膨れ上がったとして、リンはどうするですか?
今のままなら120年保っても、需要が数倍になれば、あっという間に価格は高騰ですよ。
それに、水の供給はどうなるのか?
そりゃあ、この世の事はほとんど、金さえあれば何とかなりますけど、
では、その金の出所はどこから?
私にはどうしても納得できないんです・・・・
そもそも食糧供給なんてモノは、世界規模なんかで考えるモノではなく、
まずは地産地消を基本として考えるモノであろうと、私は思っていますし。

> インド人が肉食を始めたら、とのお話もありましたが、ライフスタイルの変化は年月をかけて進むもので、その程度の変化なら市場原理の中で農業は対応して行けると思います。
例えば中国では、ここ20年で牛肉の消費量が20倍になってますし、
外国の例を持ち出さなくても、日本の食生活を見れば、
10年20年といった単位で、かなり劇的に変化するのも解ると思いますけど?

> > また3ほど極端な所までには至らずとも、それに近いケースも皆無ではないと。
> 2に関して意見が分かれるのは仕方ないですが(先物取引のプロだって分からないんですし)
> 世界人口が90億人程度で頭打ちになる事が予想されている中で、3に近いケースとなると農業生産は全く伸びず、下手すれば減少するって事ですか。

「2050年に世界の人口が90億人に達する」という予測ならまだしも、
「世界人口が90億人程度で頭打ち」という予測は、一般的に、
楽観的な「下位推計」の部類に属するモノでは?
そもそも、人類の歴史から見て、
何の要因もない限り、人口というのは増加し続けていくでしょうし、
それが頭打ちになるというのは、需要の増大や供給の限界も要因として考慮されているのでは?
悲観的に考えすぎるのも問題ですが、かと言って、楽観的に問題に対処しては、
問題が深刻化した時に、まず解決する事が出来なくなりますからねえ。
別に私は、未来を予想して、それを当てたい訳ではないですし。


[9269] Re5:農業について返信 削除
2008/12/6 (土) 01:49:30 tristar

▼ 徳翁導誉管理人様
お疲れ様です。風邪は養生するしかないですから、無理をされないようお願いします。

>「十分にありえる確率」であり、「問題」が存在するという事です。
僕も問題が何一つ存在しない、とは言いませんが、「現在不足していて更に加速する」する程の問題とは思えないんですよ。

>当然の流れであるかのように前提されるべきでは無い
未来を想像する上で、過去の実績と現在のリスクを踏まえて、人類が普通に活動(進歩)するだろうと考えるのはそれほど特殊な事じゃないと思うんですよ。
特別な技術的飛躍や、都合の良い突発事件を前提に話しているつもりはありません。

>南アラル海
南アラル海は上流域の国家利害が絡んでいて、大した対策を行えていません。
「干上がったら湖底の油田が掘りやすくなっていいんじゃん」等と言う話すら出ています。
カザフスタン政府が管理に努力している北アラル海と同列には語れないと思います。
カザフスタン側では、持続的な農業が行われていると考えていい筈です。

>補充される事がほとんどない化石水
涵養がゼロではありません。現在揚水過剰なのは事実と思いますが、(現在分かっている涵養の2倍〜3倍程度揚水があるとか)
耕作放棄されて砂漠になるような問題とは思えません。
現場で関わる人たちには重大な問題ですが、日本人の心配が必要な問題ではないでしょう。

>ブラマプトラ川ダム?
具体的な話があったのかな、と調べてみましたが見つかりませんでした。
中国政府は南水北調を推進中で、西線でさえ問題が多く検討段階なのに、更なる費用も手間も危険性も外交的リスクも越えて強行するのでしょうか。

毛沢東の時代から南水北調は検討されてきましたが、実行不可能でした。
実行できる経済力と技術力を得たのですから、過去に比して水不足は進行しているのではなく、緩和されると言うべきです。

>ここ20年で牛肉の消費量が20倍に
年率にすれば15%程度、それくらいなら世界の農業は対応してきました。
仮にインドがそうなったとしても中国より小規模の事ですから、対応可能でしょう。

>「世界市場には通常価格なら十分に買えるだけの物がある」という前提
>もしも、全世界の人々が先進国なみの所得と嗜好を持っていたとして、

これはよく分からないのですが、現実の需要や購買力を無視して、先進国なみの消費量を前提とした生産力、と言う事でしょうか。
それは現実離れしているでしょう、そんな生産力を用意したところで、大量の在庫を抱えて暴落させるだけです。
現在の農業生産を規定しているのは、生産限界でなく市場価格です。

>この世の事はほとんど、金さえあれば何とかなりますけど、
>私にはどうしても納得できないんです・・・・

それは金銭の力を過大、或いは過小評価していると思います。
金銭は(この話の流れで言うなら)産業と産業を繋ぐ便利な道具に過ぎません。

>食糧供給なんてモノは、世界規模なんかで考えるモノではなく
僕は、食物だけを神聖視する事に違和感を感じます。
例えばコンビニ弁当の廃棄が問題になったり、ドリフターズがパイを投げるコントが問題になったりしました。
それだけの物で飢餓に苦しむ人々をどれだけ救えるか、みたいに語られるじゃないですか。
でも、徹底的に節約して食物の無駄が無くなったとしましょう。それらの物が他に回るのか、と言えばNOです。
需要が減った分市場価格が下がり、コスト競争力の弱い発展途上国の農業が圧迫されるだけです。
経済的な裏付けと分離するのが正解、とは思えないんですよ。

金銭がそんなに万能か、と言われればNOと言うしかありません。が、農業問題に限っても、金銭は最も有力なツールです。
経済的な範囲で増産が無限に可能だと言えるデータは持っていませんが、市場経済と自由貿易による農業生産が限界に近い・達したと言えるデータも無い筈です。

>地産地消
農業の多面的機能や安全保障等を全て否定するわけではありませんが、水資源、気候、経済力等様々な差のある世界で同列に並べて自給と言うのは・・・
「幾ら金が掛かるかわからない」からこそ、コストの安いところに重点投資する方が効率的です。
それに、農産物が手元に届くまでの、「栽培・収穫」のみを取って地産地消と言っても、水資源(上流国とか、海水淡水化にしてもエネルギーとか)、リンやカリ等農業に関わる様々な要因を海外に依存しては、根本的な変化とは言えないと考えますし、それらを全て各国内でやれと言うのは更に非現実的です。

>楽観的な「下位推計」の部類に属するモノでは?
http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm
中位推計を持ってきています。
二宮書店のデータブック、40ページ将来人口の項目にも、90億7500万人/人口増加率0.38%とあります。

低位推計に至っては2045年に77.5億人をピークに減少へ転じるとしています。

社会が安定し成熟するに従い出生率は低下します。
現在世界人口の増加率は1%を割る寸前で、高位推計ですら増加率は更に減少傾向と予測しています。
飢餓の発生している地域の方が人口増加率が高く、需要の増大や供給の限界はあったとしても人口の抑制要因にはなりません。

>何の要因もない限り、人口というのは増加し続けて
こちらの方こそ楽観的に見えます。先進国は人口減少に対して特効と言える対策を打ち出せていません。

>楽観的に問題に対処しては
科学的・統計的に大きくない問題を必要以上に心情的に煽る事に違和感を感じます。
問題意識を持つ事も不要、とは言いませんが、政治的・経済的思惑で操作され易い問題ですから、数歩後退した醒めた視点も必要と考えます。


[9273] Re6:農業について返信 削除
2008/12/6 (土) 20:17:51 徳翁導誉

> お疲れ様です。風邪は養生するしかないですから、無理をされないようお願いします。
どうもです。

> > 当然の流れであるかのように前提されるべきでは無い
> 未来を想像する上で、過去の実績と現在のリスクを踏まえて、
> 人類が普通に活動(進歩)するだろうと考えるのはそれほど特殊な事じゃないと思うんですよ。
> 特別な技術的飛躍や、都合の良い突発事件を前提に話しているつもりはありません。

その「普通に」の基準が異なるんだと思います。
「これくらいは進歩するだろう」という折り込みで予測を立てて、行動を計画するのでは、
それこそ、「サブプライム・ローン」や「ゆとりローン」になりかねない訳ですし。

> > 南アラル海
> 南アラル海は上流域の国家利害が絡んでいて、大した対策を行えていません。
> 「干上がったら湖底の油田が掘りやすくなっていいんじゃん」等と言う話すら出ています。
> カザフスタン政府が管理に努力している北アラル海と同列には語れないと思います。
> カザフスタン側では、持続的な農業が行われていると考えていい筈です。

その事実こそ、各国間で水の争奪戦が起き、
水不足が問題となっている証左ではないのですか?
有限である淡水資源を各国で取り合えば、水は足りなくなります。
って、大アラルへの流れを堰き止めて小アラルを救おうというのですから、
見方によっては、アムダリヤ川もシルダリヤ川も、結局やってる事は同じかも?

まあ確かに、護岸工事を行ったり、取水コントロールを行うなどして、
カザフスタンが努力しているのは認めるんですが、
でも現状で、独立時の生産力には達していませんし、
河川維持の取水量を考えますと、維持していくので精一杯なんじゃないですかねえ?
その一方で、上流に位置するキルギスがダムを築いた事で、水が不足がちになり、
ロシアがカザフスタンに対し、水を輸出しようかと考えているくらいですので、
努力とかは置いておいて、こちらでも水不足が問題化しているのは確かなのでは?
と言いますか、そこまでの状況だからこそ、河川や湖の維持に必死な面もあろうかと。

> > 補充される事がほとんどない化石水
> 涵養がゼロではありません。現在揚水過剰なのは事実と思いますが、(現在分かっている涵養の2倍〜3倍程度揚水があるとか)
> 耕作放棄されて砂漠になるような問題とは思えません。

え〜と、「水不足」の話ですよねえ?
なぜ急に、「砂漠になるような」なんて話になるのでしょうか?
それと、「ほとんどない=ゼロ」ではないですし、
乾燥地帯で年間降水量が500mm未満であり(日本の平均降水量の4分の1)、
気候的に、途中で蒸発量してしまう量も多いのですから、間違った言い回しではないかと。

> 現場で関わる人たちには重大な問題ですが、日本人の心配が必要な問題ではないでしょう。
日本で消費される小麦や大豆、とうもろこし等の半分以上が、アメリカからの輸入である以上、
そのアメリカ農業の根幹であるプレーリーでの農業問題は、日本にとっても大きな問題だと思いますが?
世界最大規模の穀倉地帯なんですし。

> > ブラマプトラ川ダム?
> 具体的な話があったのかな、と調べてみましたが見つかりませんでした。
> 中国政府は南水北調を推進中で、西線でさえ問題が多く検討段階なのに、更なる費用も手間も危険性も外交的リスクも越えて強行するのでしょうか。

いや勿論、本当に実行しようという段階では無いですよ。
中国側が検討し、それを伝え聞いたインド水資源大臣が中国政府と対応した事が、
去年だか、一昨年だかに、ニュースであったと思います。
まあ、中国からすれば検討しただけでも、インドからしたら死活問題ですからねえ。

> 毛沢東の時代から南水北調は検討されてきましたが、実行不可能でした。
> 実行できる経済力と技術力を得たのですから、過去に比して水不足は進行しているのではなく、緩和されると言うべきです。

で、実際問題、
毛沢東の時代に比べて、今の方が水問題は緩和されているんですか?
黄河の断水日数だけで見ると、明らかに事態は深刻化しているように思うのですが。
まあ、毛沢東時代の無茶のツケを、払わされている面もありますけど、
水が不足しているか否かの問題とは、また別次元の話ですしね。

> > ここ20年で牛肉の消費量が20倍に
> 年率にすれば15%程度、それくらいなら世界の農業は対応してきました。
> 仮にインドがそうなったとしても中国より小規模の事ですから、対応可能でしょう。

中国が先進国並に牛肉を食べ出せば、消費量は更に5〜6倍は増えそうですが・・・・
それに、インドは小規模と言っても、元々ほとんど食べてない上に、
人口が10億人を越えているんですから、先進国の半分程度でも、並大抵な量じゃないですよ。
1人あたり1kg増えただけでも、1億人分の穀物消費量に相当するんですから。

> > 「世界市場には通常価格なら十分に買えるだけの物がある」という前提
> > もしも、全世界の人々が先進国なみの所得と嗜好を持っていたとして、

> これはよく分からないのですが、現実の需要や購買力を無視して、先進国なみの消費量を前提とした生産力、と言う事でしょうか。
> それは現実離れしているでしょう、そんな生産力を用意したところで、大量の在庫を抱えて暴落させるだけです。
> 現在の農業生産を規定しているのは、生産限界でなく市場価格です。

簡単に言えば、60億人なり、90億人なりが全員、
アメリカ人と同じような食生活が出来るほど、現状の人類に生産力があるのか?と言う事と、
仮に生産できたとして、「通常価格」を維持できるほど、生産コストが安く済むのか?と言う事です。
もっと簡単に言えば、「貧困の問題」というのであれば、
仮に全人類が貧困から脱出し、需要と購買力を満たしたとして、
本当に求めるだけの供給と価格帯が、現実的に可能なのか?と言う事です。

> > この世の事はほとんど、金さえあれば何とかなりますけど、
> > 私にはどうしても納得できないんです・・・・

> それは金銭の力を過大、或いは過小評価していると思います。
> 金銭は(この話の流れで言うなら)産業と産業を繋ぐ便利な道具に過ぎません。

いや、「過大、或いは過小評価」の意味が解らないのですが・・・・
全く正反対の意味じゃないですか!?
それと、ここでの「金」とは、言い換えれば「コスト」の事です。
例えばリンなども、コスト面を考えれば枯渇が心配でも、
コストを度外視すれば、まだまだ幾らでも埋蔵量はありますので。

> > 食糧供給なんてモノは、世界規模なんかで考えるモノではなく
> 僕は、食物だけを神聖視する事に違和感を感じます。

石油が1ヶ月途切れても人間は死にませんが、
食料が1ヶ月も途切れれば人間は死にますし・・・・

> 経済的な範囲で増産が無限に可能だと言えるデータは持っていませんが、
> 市場経済と自由貿易による農業生産が限界に近い・達したと言えるデータも無い筈です。

まあ、その両極端の中で、どの辺を想定するかの話なんでしょうね。
食糧危機を訴える(煽る)人には、後者に近い想定をするケースが多いでしょうし、
逆にFAOなどは、そこまで極端ではないものの、前者に近いと私は思います。
「世界で欧米並に生産力が上がれば」と言うのは、
論理としてはそうでも、現実としては無理があるでしょうし。

> > 地産地消
> 農業の多面的機能や安全保障等を全て否定するわけではありませんが、
> 水資源、気候、経済力等様々な差のある世界で同列に並べて自給と言うのは・・・
> 「幾ら金が掛かるかわからない」からこそ、コストの安いところに重点投資する方が効率的です。

農作物を安く作れる国で大量に育て、その国から買えば良い。
「効率」という面では、確かに私もそうだと思いますよ。
しかし、その国が輸出をストップしたら・・・・
以前挙げた畜産に転向したアフリカの国のような例もありますし、
今年の食料価格高騰で、輸出の禁止や制限を行った食料輸出のなんと多かった事か。
「世界市場で買え」と言っても、食料を輸入する先進国と買い争うのは厳しいですし、
日本ですら最近は、いろいろと買い負ける事も珍しくないくらいですからねえ。
「貧しくて食えない」から、貧困問題の解決をという以前に、
「貧しくても食える」よう、まずは自給を基本に置くべきかと(特に食料は)。
逆にアメリカは、「相手国の胃袋を握る」やり方を続けてますね。

> > 楽観的な「下位推計」の部類に属するモノでは?
> http://www.stat.go.jp/data/sekai/02.htm
> 中位推計を持ってきています。
> 二宮書店のデータブック、40ページ将来人口の項目にも、90億7500万人/人口増加率0.38%とあります。
> 低位推計に至っては2045年に77.5億人をピークに減少へ転じるとしています。

あれ?
いや〜、すみません。
調べ直してみましたら、ここ数年で、
国連の世界人口予想が、かなり下方修正されてるんですね(笑)。

それにしても、十数年前には世界規模での「人口爆発」予想をしていたのに、
この短期間で、今度は世界規模での「少子高齢化」予想ですかあ。
まあ、50年100年単位での予想が、非常に難しいのは重々承知ではあるものの、
何だか、極端から極端に振れているような感じも・・・・
冷戦期の物理学者が、核戦争の被害を少々大袈裟に予測する事で、
社会へ警鐘を鳴らしたような感じのモノもあるんですかねえ、ひょっとして?(笑)

> > 何の要因もない限り、人口というのは増加し続けて
> こちらの方こそ楽観的に見えます。先進国は人口減少に対して特効と言える対策を打ち出せていません。

全世界が先進国になるのですか?
全世界が先進国となれば、「先進」国など無くなるのでは?
と、まあ、言葉遊びは置いておくとして(笑)、
根元的には、人間だって生命体な訳ですし、
限界に達するまではバァーと増えて、
限界まで達したら、増えたり減ったり波打ちながら停滞し、
限界が上昇する変革があれば、またバァーと増えての繰り返しだと思います。
減ったら減ったで、また増えますよ。

> > 楽観的に問題に対処しては
> 科学的・統計的に大きくない問題を必要以上に心情的に煽る事に違和感を感じます。
> 問題意識を持つ事も不要、とは言いませんが、政治的・経済的思惑で操作され易い問題ですから、数歩後退した醒めた視点も必要と考えます。

まあ確かに、思惑があって煽る層がいるのも事実でしょうけど、
別に私は、煽るつもりはありませんよ。
では逆に、その「大きくない問題」と言い切れるだけの、科学的・統計的な根拠は?


[9284] Re7:農業について返信 削除
2008/12/10 (水) 19:39:18 tristar

▼ 徳翁導誉管理人様
> > 南アラル海
>水不足が問題化しているのは確かなのでは?

問題が存在しているとは思いますが、クリティカルな時期は過ぎつつあり、乗り越えられない話ではないでしょう。

>維持していくので精一杯
水位は順調に回復していて、近くアラリスク港まで水位が達する見込みだそうです。

>独立時の生産力には
問題の根幹が旧ソ連のムチャクチャなので、適正な水準を探っていると言った方が適当では。
水を大量に必要とする綿花・稲から、小麦への転換が進んでいるそうです。
綿花の国際価格も低迷してますしね。

>年間降水量が500mm未満、途中で蒸発量してしまう量も多い
http://www.maff.go.jp/www/counsil/counsil_cont/nouson_sinkou/141211syo_iin/siryou-4.pdf
グレートプレーンズは広大ですから、分かっているだけで年間6〜8Km3の涵養があります。殆どないと言える量ではないと。

>アメリカ農業の根幹であるプレーリー
オガララ帯水層に依存する耕地はグレートプレーンズ8州のうち500万ヘクタール、全米の5%程度を根幹とは言い切れないのでは。

アメリカの耕地面積は、20世紀前半をピークにずっと減らしてきました。
http://www.maff.go.jp/kaigai/gaikyo/z_america_2.htm

アメリカでも環境保全に名を借りた生産調整が行われています。
http://www.maff.go.jp/primaff/koho/seika/review/pdf/1/primaffreview2001-1-7.pdf

日本からすれば考えられない事ですが、殆どは灌漑を行わず、天水のみで農業が成り立っています。
もちろん単純にいきなり再稼動可能とは言いませんが、オガララ帯水層に関わり無く大きな生産余力を持っていると言って問題ないでしょう。

> > ブラマプトラ川ダム?
http://www.recordchina.co.jp/group/g19087.html
ソースと言える物がこれしか見当たらないんですが、UPIは統一教会系の会社に買収されてますよね。
この系統の人たちの意見を鵜呑みにするには抵抗があります。
対中国戦略にインドを取り込みたい人達のお話に見えますが、穿ち過ぎですかねぇ。

>黄河の断水日数だけで見ると、明らかに事態は深刻化しているように思うのですが。
黄河は1999年以来断流していないです。(これは根本的な改善と言うよりも、小手先のテクニックの結果にも見えますが、深刻化とは言えないでしょう)
南水北調が稼働すれば、更に緩和するでしょう。

>中国が先進国並に牛肉を食べ出せば
既に中国の肉類消費量は日本を越える水準です。増加の余地、速度共に限界はもう見えてます。

先進国並み、とは言わなくても中国くらいの水準なら、そんな無茶な投資を行わずとも達成できるでしょう。
逆に言うと、その程度の投資さえ呼び込めない価格なんですよ。

水と言っても、世界の3/4は天水農法で、灌漑が必要なのは乾燥地帯と稲等の特に水を必要とする作物です。
リンの問題が大きいなら、何故生産国はOPECの様なカルテルを作って国際価格を管理しないのでしょうか。
生産国自身がリンの価値に幻想を持っていないからでしょう。
既に実験室レベルでは、天然鉱石に比べて10倍程度のコストで人工リン鉱石が作られています。
商業的に大量生産すればコストは更に下がるでしょう。生産国も、チリ硝石の轍を踏みたくはないですからね。

>石油が1ヶ月途切れても人間は死にませんが、
>食料が1ヶ月も途切れれば人間は死にますし・・・・

それはあまり意味の無い仮定です。石油が止まったとするなら、流通が止まって消費者は飢える事に変わりはありません。
肥料や農機具が無くなれば同じ規模で生産を続けるのは不可能でしょう。
金銭が途切れれば、社会は大混乱に陥ります。
例を挙げてもキリが無いですが、どれもこれも社会の構成要素として欠かす事の出来ない機能があります。
食料だけあれば生きられる世界ではありません。

>「貧しくても食える」よう、まずは自給を基本に置くべきかと(特に食料は)。
上と繋がりますが、食糧問題を貧困の問題と言うのは、社会が農業を支えられる基盤を持っているか否かです。
土地も農機具も必要ですし、生産しても流通させなければなりません。
農民に農業のノウハウを提供する事も必要ですし、対価無しに農産物を国内に配布しろと言っても無理ですから、報酬も用意しなければなりません。
貧しければ食えない、理不尽な事ではありますが、人類は解決する手段を持っていません。

>食料を輸入する先進国と買い争うのは厳しいですし
現在の食糧価格は概ね適正に思えます(まだ下がるんだろうけど)。
これも上と繋がりますが、この価格で買えないのでは、自国で生産しろと言っても無理です。

>>金銭の力を過大、或いは過小評価していると思います。
>全く正反対の意味じゃないですか!?

金銭は何でも出来るのに農業だけ、と言うなら過大評価ですし、金銭は食べれられないし車も走らせられない、と言われれば過小評価だと。
何れにせよ、金銭の価値に誤解があるようなニュアンスに聞こえました。

>今年の食料価格高騰で、輸出の禁止や制限
この様な異常事態が発生する可能性はありますから、ある程度の自給や備蓄、供給源の多様化を否定するつもりはありません。

>しかし、その国が輸出をストップしたら
国内の農民なら、自らの収入を犠牲にしても国内に食料を出してくれる、なんて保証はありません。
今回の食糧価格高騰では、自国の需要を無視して輸出に回したからこそ輸出制限が必要になりました。
日本でも食糧難の時代には、農家は法を無視して売り惜しみ、闇に流して利益を得ました。

>アメリカは、「相手国の胃袋を握る」
世界でもこれだけアメリカに依存しているのは日本だけと言っていいですが、日本の場合は日米同盟が外交の基軸なので、進んで胃袋を人質に出している面はありますね。

>全世界が先進国になるのですか?
なったら本当に人類は滅亡するかも知れません(苦笑)

>極端から極端に振れているような感じも
従来の、人口増加率を基点にした計算で人口爆発と予測されていましたが、減り続ける人口増加率や急速に進む少子高齢化を説明出来なかった事から、人口学が急速に発展した事が要因でしょう。

>バァーと増えての繰り返しだと
社会が成熟すると、育児・教育コストの高騰、財産分割を嫌う、人生の意義を子供を産み育てる事以外に見つける、等従来の生命体としての原則を外れる問題が見つかりました。
野生動物でも、一定数を割り込むと自力で種を保つ事が出来なくなる事がありますが、人類はどうなるでしょうかねぇ。


[9304] Re8:農業について返信 削除
2008/12/14 (日) 16:14:08 徳翁導誉

> > > 南アラル海
> > 水不足が問題化しているのは確かなのでは?

> 問題が存在しているとは思いますが、クリティカルな時期は過ぎつつあり、乗り越えられない話ではないでしょう。

これは北アラル海の話なんですか?
それとも南アラル海の話なんですか?
引用元がバラバラなのですが・・・・
まあ、どちらにしても、
アムダリヤの方は、相も変わらず水の引き合いが続き、
シルダリヤの方も、水の引き合いが始まろうとしているのに、
どうして、そこまで言い切れるのでしょうか?

> > 維持していくので精一杯
> 水位は順調に回復していて、近くアラリスク港まで水位が達する見込みだそうです。

ここでの「維持」とは、取水量や収穫量の話です。
大アラルへの流出を堰き止めたのですから、
シルダリヤからの流入が続けば、湖面水位が回復するのは当然の事かと。

> > 独立時の生産力には
> 問題の根幹が旧ソ連のムチャクチャなので、適正な水準を探っていると言った方が適当では。

大きかったのは、社会主義から資本主義への移行の混乱ですね。
まあその分、ウクライナの黒土地帯などに対しても、
近年は、ヨーロッパ企業の進出が激しくなってますが。
ウクライナというのは、これからの欧州情勢のかなりのキーですよね。

> >年間降水量が500mm未満、途中で蒸発量してしまう量も多い
> http://www.maff.go.jp/www/counsil/counsil_cont/nouson_sinkou/141211syo_iin/siryou-4.pdf
> グレートプレーンズは広大ですから、分かっているだけで年間6〜8Km3の涵養があります。殆どないと言える量ではないと。

同じデータを元にしても、違う印象を抱くのですから、
これはもう「感じ方」の違いというしかないかと。
ただ、130万km2と広大なグレートプレーンズで、年間に6〜8km3という涵養量、
そしてオガララ帯水層が4000km3と言われるのを考えますと、
既に使われた水量が「50%」で、1年に補充されるのが「0.15〜0.2%」であり、
「ほとんどない」という表現が、そこまで不適当だとは思いません。
それと、再度言うようですが、「ほとんどない=ゼロ」ではありません。
「ほとんどない」は相対的な単語であり、「ゼロ」のような絶対的な単語ではないのですから。

> >アメリカ農業の根幹であるプレーリー
> オガララ帯水層に依存する耕地はグレートプレーンズ8州のうち500万ヘクタール、全米の5%程度を根幹とは言い切れないのでは。

面積的に言えば、確かにそうですが、
小麦の生産量は37%、トウモロコシは12%、穀物全体では15%を生産しています。
十分に「根幹」と言える割合だと思いますが。
と言いますか、たった5%の耕地でこれだけの生産量を誇ると言う事は、
裏を返せば、耕地面積だけで一概に、
収穫量や農業効率を語れない事を、如実に現していると思いますけど?
耕地を放棄するにしても、コストの高い所や収穫率の悪い所から始める事も多いでしょうし。

> > > ブラマプトラ川ダム?
> http://www.recordchina.co.jp/group/g19087.html
> ソースと言える物がこれしか見当たらないんですが、UPIは統一教会系の会社に買収されてますよね。
> この系統の人たちの意見を鵜呑みにするには抵抗があります。

私が見たのは、NHK-BS1での欧州メディアの報道だったと記憶しています。

> > 黄河の断水日数だけで見ると、明らかに事態は深刻化しているように思うのですが。
> 黄河は1999年以来断流していないです。(これは根本的な改善と言うよりも、小手先のテクニックの結果にも見えますが、深刻化とは言えないでしょう)
> 南水北調が稼働すれば、更に緩和するでしょう。

再度聞きますけど、で、実際問題、
毛沢東の時代に比べて、今の方が水問題は緩和されているんですか?

> > 中国が先進国並に牛肉を食べ出せば
> 既に中国の肉類消費量は日本を越える水準です。増加の余地、速度共に限界はもう見えてます。

「肉類」ではなく、「牛肉」の話をしているんですよ。
現在、中国で消費されている肉類の多くは、豚肉や鶏肉です。
同じ1kgの肉を作るにしても、牛肉は1.5〜2倍ほど穀物を消費します。
更に、魚を食べる日本の肉消費量は、先進国の中でもかなり低いです。
1人あたりで、アメリカは日本の4倍、欧州は日本の3倍食べますからねえ。
一方で中国は、魚よりも肉を食べる文化です。
経済成長が進めば、更に肉消費量が増える可能性はあると思いますけど?

> リンの問題が大きいなら、何故生産国はOPECの様なカルテルを作って国際価格を管理しないのでしょうか。
> 生産国自身がリンの価値に幻想を持っていないからでしょう。

中国、アメリカ、モロッコの3カ国で、全世界の70%近くを産出し、
その中国やアメリカが自国用に囲い込み、輸出をしていないのが現状なんですが・・・・

> 既に実験室レベルでは、天然鉱石に比べて10倍程度のコストで人工リン鉱石が作られています。
> 商業的に大量生産すればコストは更に下がるでしょう。

紙やプラスチックのリサイクル事業が、採算レベルに達してますか?
人工リンにしても、原理はそれと似たようなモノですよ。
どうやったて割高になります。
「金さえあれば何とかなりますけど」とは、つまりこの事を言っている訳です。
人類の科学技術力とは、現実的に結構なレベルにありますけど、
コスト面と見合わせれば、多くの事は実行できるレベルにはない。
ですから、「あれも有る」「これも有る」と言われても、
技術的には可能でも、多くの場合はどうしても金の問題が付きまとう。
淡水化とかでも「コストは更に下がる」と言われましたが、原理的にどうしても限界があります。
基本的には、「通常価格」よりは割高に為らざるを得ないんです(通常価格が高騰すれば別ですが)。
その辺の事を、どこまで織り込んで語っておられるのでしょうか?

> > 石油が1ヶ月途切れても人間は死にませんが、
> > 食料が1ヶ月も途切れれば人間は死にますし・・・・

> それはあまり意味の無い仮定です。石油が止まったとするなら、流通が止まって消費者は飢える事に変わりはありません。

餓死する人数も、変わりはありませんか?

> > 食料を輸入する先進国と買い争うのは厳しいですし
> これも上と繋がりますが、この価格で買えないのでは、自国で生産しろと言っても無理です。

それは何故ですか?

> > しかし、その国が輸出をストップしたら
> 国内の農民なら、自らの収入を犠牲にしても国内に食料を出してくれる、なんて保証はありません。
> 今回の食糧価格高騰では、自国の需要を無視して輸出に回したからこそ輸出制限が必要になりました。
> 日本でも食糧難の時代には、農家は法を無視して売り惜しみ、闇に流して利益を得ました。

で、国外へ出回らなくなるのと、国内で出回らなくなるの、
どちらが確率的に高いのでしょうか?
また、他国から出回らせるようにするのと、自国で出回らせるようにするの、
どちらが確率的に高いのでしょうか?

> > アメリカは、「相手国の胃袋を握る」
> 世界でもこれだけアメリカに依存しているのは日本だけと言っていいですが、日本の場合は日米同盟が外交の基軸なので、進んで胃袋を人質に出している面はありますね。

詳しくは知りませんけど、韓国なども似たようなモノでは?
また、胃袋を握る戦略としては、冷戦期にはソ連に対してやってましたね。
って、例えば小麦の輸出入で見た場合、
日本の輸入元は、アメリカが56%、カナダが22%、オーストラリアが21%で、
世界全体の輸出量では、アメリカが22%、カナダが12%、オーストラリアが12%ですから、
日本の地勢を考えれば、ある程度妥当な数値と言えなくもないですけどね。
1000万トン以上輸出している国って、後はフランスとアルゼンチンですし。

> > 極端から極端に振れているような感じも
> 従来の、人口増加率を基点にした計算で人口爆発と予測されていましたが、減り続ける人口増加率や急速に進む少子高齢化を説明出来なかった事から、人口学が急速に発展した事が要因でしょう。

「人口学が急速に発展」って言えるんですかねえ?
私には、その時々の要素で計算し、その時々に変化が生じるので、
50年先、100年先の予測となると、その差が大きくなっているだけに見えるのですが。
まあ、人口の増加率なんて、そう簡単に解るモノでもないでしょうしね。
言うなれば、天気予報みたいなモノかと。
観測技術や計算能力も上がりましたが、的中率はあまり変わってませんからねえ。

> > バァーと増えての繰り返しだと
> 社会が成熟すると、育児・教育コストの高騰、財産分割を嫌う、人生の意義を子供を産み育てる事以外に見つける、等従来の生命体としての原則を外れる問題が見つかりました。
> 野生動物でも、一定数を割り込むと自力で種を保つ事が出来なくなる事がありますが、人類はどうなるでしょうかねぇ。

人間とは、人間が思っている以上に動物だと私は考えています。
まあ、こればかりは理屈じゃないですよね。
例えば、明確な根拠はなくとも、
人間はまた大きな戦争をやると、私は確信してますし、
敢えて根拠を言えば、「人間だから」としか言いようがないですからねえ。

> > > 科学的・統計的に大きくない問題を必要以上に心情的に煽る事に違和感を感じます。
> > > 問題意識を持つ事も不要、とは言いませんが、
> > > 政治的・経済的思惑で操作され易い問題ですから、数歩後退した醒めた視点も必要と考えます。

> > まあ確かに、思惑があって煽る層がいるのも事実でしょうけど、
> > 別に私は、煽るつもりはありませんよ。
> > では逆に、その「大きくない問題」と言い切れるだけの、科学的・統計的な根拠は?

レスして貰えませんでしたが、恐らくはこれが今回の話の根幹なのではないですか?
「大きくない問題」と規定する所から、tristarさんの話が始まっているように感じますが、
本当にそう言い切れるほど、確たるモノがあるのでしょうか?
何と言いますか、「投資家」の話を聞いているみたいな感覚を受けます。
失礼を承知で言えば、煽る立場とは逆に位置する経済的思惑に立脚した意見のように聞こえるのです、私には。


[9405] Re9:農業について返信 削除
2008/12/19 (金) 23:23:26 tristar

▼ 徳翁導誉管理人様
>これは北アラル海の話なんですか?
すいません、寝ぼけながら書いてるとダメですね。
シルダリアの問題は、穀物を売って得られる収入と、エネルギーを売って得られる収入どちらが上かと言う話です。
発電所を作ってエネルギーを供給するなら、キルギスは冬季の水力発電を止めて夏季の灌漑に回すでしょう。
僕はこれって経済の問題と言うと思うのですよ。

> 問題の根幹が旧ソ連のムチャクチャなので、適正な水準を探っていると言った方が適当では。
>大きかったのは、社会主義から資本主義への移行の混乱ですね。

例えばオビ・エニセイ川からの導水計画が完遂されていたら、とか、どうせ止めるならカラクーム運河も止めときゃとか。
「社会主義の勝利の為にアラル海は美しく死ぬべき」とか言った官僚が居たそうですが、水を大量に必要とする綿花と稲の栽培を基準にしてしまった事がそもそもの過ちと思えます。

>ウクライナ
戦争までけしかけられて、NATOに入れて貰えなかったグルジアは悲惨ですが、ウクライナはどうなるでしょうねぇ。
インダストリアル・キャリアーズが潰れてしまいましたし、内陸志向、ロシアの勢力圏に戻っていくのでしょうか。

>ほとんどない
確かに明確な定義がある言葉ではないですが、オガララ帯水層の保護でなく、持続的な農業の話題の中での話です。
揚水に対して30〜50%程度の涵養がある事に対してほとんどないとの仰せに、管理人様の真意とは別なのは承知しましたが、僕が違和感を感じたという事です。

>「根幹」と言える割合
準乾燥帯なので日照が多く、農民は熱心なので反収は若干高めではありますが、
オガララ帯水層に依存する地域で飛びぬけて反収が高い、と言うわけではありません。
ではなぜこの様な数字が出るのか、と言うと、大都市近郊や海岸に近いところでは、より価格の高い果物や野菜を志向します。
西海岸ではアジアへの輸出を当て込んで水稲を作ってますね。
経済発展から取り残されているグレートプレーンズでは、輸送コストを入れると野菜や果物では競争力を持てず、止むを得ず穀物を栽培する形です。
他地域で生産しても著しく劣ると言うわけではなく、実際今回の高騰を受けて土壌保全留保計画(CRP)早期解除に対する違約金免除を行ったところ、大量に応募があったそうです。(彼らは貧乏クジになりましたが)
http://www.omicnet.com/omicnet/report/archives/co/2007co-rep.html
http://www.omicnet.com/omicnet/report/archives/nd/2007nd-rep.html
http://www.omicnet.com/omicnet/report/archives/ne/2007ne-rep.html
小麦では他地域よりも若干低めですね。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f7/Ogallala_changes_in_feet_1980-1995_USGS.gif
オガララ帯水層と言っても地域差があり、依存する地域で最も生産力の高いネブラスカ州周辺では、20年前から既に水位は回復傾向です。

> リン
そりゃ安いものがあれば安いものを使うのは当たり前でしょう。
問題は、リン鉱石の枯渇が農業の深刻なリスクになり得るかどうかです。
現在モロッコのリン鉱石輸出は7億ドル程度。例えばこれが枯渇して、全て人造リン鉱石で代用するとして、前回挙げたコスト10倍をそのまま適用しても70億ドルです。
一定のコスト上方圧力になる可能性はありますが、耐え難いコストには見えません。

 > ブラマプトラ川ダム?
水利問題はそれ程大きくないとは言ってますが、冗談で火遊びに使えるほど簡単な問題でもないと思っています。
印パ戦争の最中でさえ、インダス川の水利協定は守られたって話もありますし。
本当にそんな話があったなら、まぁ日本のニュースでは扱いが小さくとも、世界ではそれなりのインパクトで伝えられると思うんですよ。
失礼とは思いますが、何かの勘違いなんじゃないですかねぇ。

>一方で中国は、魚よりも肉を食べる文化です。
日本は魚食ですが、日本よりは肉食傾向のある韓国とも同程度の水準まで上がってるので、これ以上上がる余地は少ない様に見えます。
淡水魚をよく食べるそうで、肉食文化とも言い切り難いとは思いますが、まぁ試しに計算してみます。

中国とインドの肉類消費量が一人あたり100キロまで増えるとしましょう。
インド(115000万人)1億1500万トン+中国(130000万人/現在既に50kg消費)6500万トン
インドでは豚肉として(1kgに対して飼料4kg消費)中国では牛豚鶏が1/3づつとして(1kgに対して飼料7/4/2kg消費、平均4.4kg)計算します。
インド46000万トン+中国28600万トン、計74600万トン
トウモロコシ75%、大豆ミール25%の配合飼料とする。大豆ミールのたんぱく質含有量はトウモロコシの5倍。
トウモロコシ28000万トン、大豆ミール9300万トン、大豆ミールへの変換効率80%(油脂20%)=大豆11625万トン
トウモロコシ反収をアルゼンチン程度の8トン/ヘクタールまで上げるとして、3500万ヘクタール。
大豆反収は現在と同量として2.5トン/ヘクタール、4650万ヘクタール。
https://www.jica.go.jp/activities/evaluation/tech_ga/general/2000/pdf/220.pdf
全部牛にしたところで、ブラジル・セラードの開発だけでも賄える量です。

まぁあまり意味のある想定とは思いませんが、現在の技術でもこれくらいの可能性はあるって話ですね。
幾ら費用が掛かるか分からない、と言っても天水農業ですし、土地改良の経験も十分積みました。
コストが跳ね上がる要因は特に見当たりません。

>餓死する人数も、変わりはありませんか?
北朝鮮を挙げます。国民一人当たりの農地は日本の5倍程度あり、1980年代までは自給率100%を越えていました。
旧ソ連崩壊に伴ってエネルギーが途絶え、肥料生産が止まって、反収が下がってこうなりました。
農地を広げる事が食料安全保障に繋がらない事の実例でしょう。

>>この価格で買えないのでは、自国で生産しろと言っても無理です。
>それは何故ですか?

こちらはジンバブエを挙げます。
経緯は管理人様には釈迦に説法でしょうから省きますが、2000年以降白人の所有する農場を強制収容し、黒人に与える「ファスト・トラック」を行いました。
肥沃な土地、適度な降水、インフラもある程度整備されていて、いわゆる貧困国よりは遥かに整った条件がありましたが、現在は世界有数の失敗国に数えられています。
土地がある、労働力がある、なら自分で作れと言っても無理な実例でしょう。
農業を支える基盤を自ら破壊した結果こうなりました。支え無しに農業だけでは機能しないんです。
(誰がやっても結果は同じだったと思えるところにジンバブエの厳しさを感じもするんですが)

>韓国なども似たような
韓国はマダガスカル島半分買ったって最近話題になりましたが、朝鮮半島からアメリカの影響力が減退したのを受けて独自の供給源を探っているようですね。

>天気予報みたいなモノ
人口学者は、出してる物は大筋で変わらないのに使う側の都合で解釈を変えられてしまう、と言ってますね。

日本の場合人口置き換え水準(全ての女性が結婚するとして、親と同数の子を確保できる数)2.07(日本の新生児男女比は男1.05:女1、出産を終えるまでに死亡したり病気で子供を産めない確率が0.02)
を既に1960年代に下回っています。それでも人口増加が続いた理由は、寿命の延長による死亡率の低下でした。
既に寿命の延長はほぼ飽和しています。医学の超進歩でもない限りは、あと10年〜30年でいわゆる団塊の世代の人たちは寿命を迎えます。
対して、現在子供を産める年齢の世代は圧倒的に少なく、既に少々出生率が回復した程度ではどうにもならない段階に来ています。
例えば、少子化対策が劇的に奏効して、2025年に2.07まで出生率が回復して以降維持できたとしても、50年は人口が減りつづけ、現在の人口の69%のところまで下がって止まるそうです。

フランスは普仏戦争の敗戦を教訓に、莫大な国費を注ぎ込み続けて少子化と戦って来ました。
発展途上国ですら出生率は減少を続けて、既に2%前半まで下がっています。発展途上国も、出生に因らず、死亡の減少による人口増加の時代が近づいています。
http://www.stat.go.jp/data/sekai/zuhyou/0212.xls

>人間は動物
種を保存繁栄させる事も動物ですが、絶対的に利己的な事もまた動物ですからねぇ。

>「投資家」の話を聞いているみたいな感覚
そりゃ、超長期的に上げ相場になるか下げ相場になるかって話ですから、経済的な話題が中心になるのは仕方ないと。
ウチにも半年前頃は、食糧危機が来るから儲かると、銀行屋が農産物ファンドを売りに来たもんです(苦笑)


[9479] Re10:農業について返信 削除
2008/12/25 (木) 21:16:29 徳翁導誉

え〜と、すみません。
この話題、そろそろ打ち切って宜しいですかねえ?
これ↓に対して、どう返信しようか色々考えたんですが、やはりループしそうで・・・・
> > 「投資家」の話を聞いているみたいな感覚
> そりゃ、超長期的に上げ相場になるか下げ相場になるかって話ですから、経済的な話題が中心になるのは仕方ないと。

私の説明下手な所に問題があるのでしょうが、
ここまで、これだけの文章量を費やしたのものの、
結局、私が何を問題視し、何を語りたかったのかが伝わらなかったよう気がします。
まあ簡単に言ってしまえば、「経済的観点だけで語れるモノじゃない」って事なんですが、
「経済的な話題が中心になるのは仕方ない」という事ですと、
きっと、ずっと平行線を辿ると思いますので。


[9539] Re11:農業について返信 削除
2008/12/29 (月) 20:18:26 tristar

▼ 徳翁導誉管理人様
> 「経済的観点だけで語れるモノじゃない」
管理人様がそう仰せなのは分かっていますが、それは金銭に対する誤解じゃないか、と僕は思うんです。
金銭はそれ自体で価値を持つ物じゃなくて、価値を表現するのに一番便利な道具で、人間活動の潤滑油に過ぎません。
「経済」とは、人類の活動を総称しているだけです。
人類の様々な活動と密接な関わりのある農業を、経済から切り離して考えるべきとは思えないんです。

> 石油が1ヶ月途切れても人間は死にませんが、
> 食料が1ヶ月も途切れれば人間は死にますし・・・・
僕はこの農本主義的なお話に納得出来ないんですよ。

ですが、僕が商人の家系だからの感覚かも知れない事は分かりました。
確かにイデオロギー論争であるなら簡単に結論を得られる事も無さそうですし、そろそろ切り上げますか。
違った視点からのお話は面白かったです。お付き合い頂き感謝します。

最後に、今回利用したあんちょこを紹介しておきます。

世界の食料生産とバイオマスエネルギー―2050年の展望 
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E9%A3%9F%E6%96%99%E7%94%9F%E7%94%A3%E3%81%A8%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E2%80%952050%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%B1%95%E6%9C%9B-%E5%B7%9D%E5%B3%B6-%E5%8D%9A%E4%B9%8B/dp/413072102X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1230479087&sr=8-1
人口学への招待
http://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E5%AD%A6%E3%81%B8%E3%81%AE%E6%8B%9B%E5%BE%85%E2%80%95%E5%B0%91%E5%AD%90%E3%83%BB%E9%AB%98%E9%BD%A2%E5%8C%96%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%93%E3%81%BE%E3%81%A7%E8%A7%A3%E6%98%8E%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%81%8B-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%B2%B3%E9%87%8E-%E7%A8%A0%E6%9E%9C/dp/4121019105/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1230479151&sr=1-1


[9570] Re12:農業について返信 削除
2009/1/2 (金) 19:49:52 徳翁導誉

> > 「経済的観点だけで語れるモノじゃない」
> 管理人様がそう仰せなのは分かっていますが、それは金銭に対する誤解じゃないか、と僕は思うんです。
> 金銭はそれ自体で価値を持つ物じゃなくて、価値を表現するのに一番便利な道具で、人間活動の潤滑油に過ぎません。
いや〜、道具だというのは解っているつもりなんですけどねえ。
私も、両親が銀行員という家庭で育ちましたし。
まあ潤滑油というか、「金銭は経済の血液」という表現でしたけど。

> 「経済」とは、人類の活動を総称しているだけです。
> 人類の様々な活動と密接な関わりのある農業を、経済から切り離して考えるべきとは思えないんです。
「切り離して考えるべき」と言っている訳ではないんですけどね・・・・
人類の活動に於いて、経済が最も大きなウェイトを占めるのは確かでしょうけど、
あくまで「経済⊂人類の活動」であって、「経済=人類の活動」ではないかと。
血液がなければ臓器は機能しませんが、血液だけでも臓器は語れないと言う事です。


> > 石油が1ヶ月途切れても人間は死にませんが、
> > 食料が1ヶ月も途切れれば人間は死にますし・・・・
> 僕はこの農本主義的なお話に納得出来ないんですよ。
う〜ん、「農本主義」と言いますか、
ただ単純に、「生物は食料を絶たれれば死ぬ」という根本の話です。
どうも、tristarさんの書き込みから受ける印象は、
「食料も、石油も、同じ商品」という捉え方で語れらているように感じますが、
まあそれも、「売り手」側の視点としては解るんですけど、
どうも「消費者」側の視点が抜け落ちているように、私には感じるんですよ。

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