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[23860] Re:ウクライナ情勢について返信 削除
2022/3/8 (火) 22:18:41 徳翁導誉

> ウクラナイナ全土に侵攻してしまった今となっては着地点が見えないなと。
恐らく当初は、ロシア版の「対支一撃論」だったのかな?と、個人的には見てますね。
ウクライナなんて、ロシア軍が1発強烈に喰らわせれば、すぐに折れるって感じで。
まあ実際、8年前のクリミアでは、驚くほどアッサリと事が進んだ為、
その成功体験に引きずられて、ウクライナ全土でも上手く行くと、安易に考えてしまったと。
それこそ戦前の日本も、満洲事変が上手く行きすぎた結果、判断を誤ったとも言えますし。

とは言え、プーチンにとっての理想的な展開はさておき、
軍人たちはリアリストなはずなので、そのプランAで上手く行くなら良し。
そうならなければ、首都キエフを包囲して兵糧攻めにしつつ、
その間に、ドニエプル東岸や黒海沿岸を着実に制圧していくのがプランB。
(ここまでは、ウクライナに傀儡政権を樹立するのが最終目標)

キエフも白旗を上げず、東部や沿岸部もなかなか落ちないようならば、
民間人の犠牲は覚悟で空爆を行い、地上軍で一気に制圧を目指すのがプランC。
ロシア軍的には避けたいシナリオだが、泥沼の市街戦へと突入するなら、
引くに引けない状況なので、自軍の消耗覚悟で、希望なき戦いを続けるのがプランD。
(ここまでは、ウクライナを分割して、支配地域だけ独立させるのが最終目標)

そして最悪、もしもNATO軍が参戦し、ロシア国境へと追われる展開となれば、
核を用いてでも、NATO軍の追撃を食い止めつつ、撤退するのがプランE。
(こうなると、ロシア国内への反転攻勢を許さないのが最終目標)

軍事素人の考えですが、大体こんな感じなんじゃないですかねえ?

> ロシアの理想としてはキエフへの進軍があった時点キエフを占領できずとも
> ゼレンスキー大統領が亡命するという読みだったのかなと。
> そこに何らかの自信(根拠)があったのかもしれないなと思うのですよねぇ。

そもそも開戦以前の段階では、言っちゃ悪いですけどゼレンスキーって、
「役者上がりで政治素人の、低支持率な大統領」という感じでしたから、
ロシア軍としても、そこまでは重要視してなかった気がしますし、
ここまで大舞台を演じ、徹底抗戦するとは、ちょっと予想してなかったと思います。

とりあえず、大統領を押さえれば、休戦交渉や占領統治で何かと便利ですし、
ゼレンスキー個人というよりも、ウクライナ大統領という肩書きを、
まずは「生け捕りたい」という構想は、当初の段階ではあったのでは?
あと、イエメン戦争でもそうでしたが、いかに無力であっても、
現職の大統領を獲り逃すと、国際政治的には後々厄介な事になりかねない為、
生かして逃すくらいなら、殺してしまった方が良いという考えだったかと。

なので、大統領が早々に亡命して、ウクライナ軍の士気が落ちるのであれば、
ロシア軍の電撃戦も順調に進むでしょうし、それはそれで良しとしても、
徹底抗戦を選び、英雄化してしまった今となっては、逃すべきじゃないと考えてるはずです。
とは言え、既にゼレンスキーの身辺警護は、英国陸軍の特殊空挺部隊が担ってるなんて話を聞くと、
ロシア軍が首都キエフを包囲したとしても、なかなか確保するのは難しいかも?と思っちゃいます。
逃がさぬ為には、「キエフから飛び立つヘリは、全て打ち落とせ!」って方針で行くんですかねえ?

> そうなればヤヌコビッチというカードも使えますし。
ヤヌコービッチ・カードかぁ・・・・
ウクライナの元大統領である事を考えれば、格的には充分かも知れませんけど、
見方によっては、国を追われて既に8年も経つ「過去の人」扱いでしょうから、
今更、傀儡として連れ戻された所で、あまりにも傀儡イメージが あからさまというか、
ウクライナ国民からしても、「コイツかよ」って感じに映る気も?

もちろん、だからこそ、ロシア的には「御しやすい」と思い、
また、ウクライナの国民感情など、大して考慮しないのであれば、それもアリですかね。
その一方で、現在の政界の中にだって、親ロシア派の大物議員は恐らく居るでしょうし、
現地の協力政党があった方が、ロシアとしても間接統治がスムーズなはずで、
ウクライナ国民の怒りや恨みの矛先も、そっちの方が分散できるだろうと思うと、
同じ傀儡にするにしても、そちらの方が無難かな?という気はします。


> ロシアが求めている武装解除は正直条件としては無理筋だと思うんですよねぇ…
> そこまでいくのは講和ではなく降伏でしょうし。

冷戦中、政治体制としては自由民主主義を維持しながらも、
外交的にはソ連に従ったフィンランドは、「フィンランド化」などと揶揄されましたが、
皮肉な言い方ですけど、米軍占領を受け入れた「日本化」という方法も、今回はアリでは?
逆に言うと、「それは普通じゃ呑まないよ」という条件を、日本は未だに呑まされていると(苦笑)。

> 現実的にはクリミア半島と東部2州の独立承認と
> ゼレンスキー氏の国外退去・ロシア軍の駐留許可くらいまでかなぁと。
> 一方でウクライナも継戦能力があるうちに講和をしないと条件をどんどん選べなくなっていくのかなと。

正直言って、ここまで来ると、講和じゃなくって「降伏」しか難しいでしょうし、
そもそもゼレンスキー大統領の方が、ロシアとの落とし所など一切考えて無さそうに映るので、
キエフ陥落後に、ウクライナ臨時政府との講和交渉ならまだしも、
現状では講和妥結というシナリオ自体、現実味が乏しい気がしますね、個人的には。

> ただ、現状ではロシアの要求が流石に高すぎるのかなと思うんですよね。
外交交渉も、商売交渉も、そうですが、特に海外の感覚では、
最初は思いっ切り、高値で吹っ掛けるのが、常套手段みたいなモノですからねえ。
もしもウクライナ側が、本気で交渉妥結を目指すスタンスで挑んできて、
それがロシア的にも受け入れられるラインまで、条件が保たれるのであれば、
大幅値引きをするケースだって、普通に有り得ると思いますよ。
ロシア側にしたって、これ程の大軍勢を国外に張り付かせて戦争を継続するなど、
恐ろしいほどの負担になってるのは明らかなので。

逆に言うと、長引けば長引くほど、ロシア側の負担も増すので、
交渉が有利に運ぶかというと、そんな簡単な話でもなく、
負けている状況ならまだしも、勝っている状況であれば、
膨らんだ負担分を回収すべく、要求は更に高まるのが普通ですからねえ。
しかも戦争となれば、兵士たちの血まで流れるので、掛け金は尚更上がると・・・・

> 現時点では着地点が見えない。
> 特にロシアの考えが読めないですよね。

「現時点の状況では」という但し書き付きですけども、
個人的には、上記のプランBとプランCの間くらいに、着地するのかなぁ?と。
もしかしたら、ロシア国内の方で、プーチン政権が瓦解する可能性もあるでしょうが、
早くても1年半は先(来年末に大統領選が告示するので)な気がしますし、
そこまで、キエフ・ハリコフ・オデッサなどが陥落せずに、抗戦を続けているかとなると、
それは、なかなか厳しいとは思うんですよねえ・・・・

となると、あとはウクライナ西部の占領まで目指すか?ですけど、
西部はウクライナ語しか話せない国民が多く、最も反ロシア色が強い地域ですし、
スムーズに傀儡政権を立てられた展開ならまだしも、既にその段階は過ぎたと思うので、
ロシア側としても、無駄に抱え込むよりは、ここらで停戦ラインという名の国境線を引き、
実質、ウクライナを東西に分割しちゃうんじゃないですかねえ?
(ちなみに、リヴィウを首都とする西ウクライナ国家は、1918〜19年の1年間のみ実在)
それこそロシア的にも、占領地域で敵対的な市民を抱えるくらいなら、
孫子の兵法で言う所の「囲師必闕」みたいな感じで、
彼らが逃げ込める国家を敢えて作っておくのも、1つの手かも知れません。

また、そこまで考えるなら、英雄ゼレンスキーは意図的に西部へ逃れさせるのも一案かも?
一旦平時に戻ってしまえば、戦時の英雄も、素人政治家に逆戻りでしょうし、
ユダヤ系のロシア語話者であり、ウクライナ語が苦手な彼は、元々西部では人気が低く、
かと言って、英雄は簡単に引きずり降ろせない為、却ってトラブルの種になりそうなので。

> 欧米各国の制裁は致命的にはならなくてもノーダメージではないでしょうし。
> 長引けばマイナス面ばかり見えるのではないかと思います。

そうですね。
この戦争が、どういう展開に転んだとしても、
ロシア側にとって、プラスに転じる事は無いと、私も思うんです。
では、なぜ開戦に至ったのか?という問いになると、
「マイナスを可能な限り小さくする為」というのが、恐らくはロシア側の答えなのでしょう。
ロシア的に・・・というか、プーチン的にというのが、正しいのかも知れませんが、
ともかく、やるよりも、やらない方が、リスクが大きいと見えたって事なんでしょうね。

もう少し具体的に言えば、プーチン大統領の政権というのは、
新興財閥の友人たちと、安全保障の同志たちが、両翼となって支えられていて、
戦争をすれば経済上のリスクを負い、戦争しなければ軍事上のリスクを負うとなった時、
KBG出身であるプーチンは苦悩の末、友人たちよりも、同志たちを選択したという事かと?
まあこれは、経済優先が当然と考える、西側諸国の市民には解り難い感覚ですし、
逆に言うと、これまで西側諸国の指導者たちは、安易に軍事的な圧力を掛け過ぎてたんですよ。

また、これまでの状況を、解りやすく学園ドラマに例えるとすれば、
「どうせ、やり返せないだろう」と高を括って、やりたい放題だった学園長の息子(アメリカ)に、
粗暴な番長(ロシア)も遂にキレて、校内で暴れ出したから、皆あたふたしてるけど、
退学カードがあるから、番長も学園長の息子には手を出せない。
とは言え、学園長の息子なんて権力があっても、
番長と向き合ってしまえば、殴られるリスクは避けられない・・・みたいな感じですかね?(笑)

> 何だかアメリカのアフガン侵攻とかと違い着地点が見えないので、
> どうなのかなと思ったもので。

アフガンは・・・あれって、着地点があったと言って良いんですかねえ?(笑)
ソ連軍は10年間、アメリカ軍は20年間、アフガンに駐屯したというだけで、
いろいろ政治的にも行いましたけど、結局はそれだけというか、
それなら今回も、「ロシア軍のウクライナ占領も何年続くのかな?」って話では。

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