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[24014] 「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」を読了返信 削除
2022/8/15 (月) 22:09:58 徳翁導誉

> > 『先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち』という本を読みました。
> > (正確には本屋で斜め未読みしただけですが)

> おっ、ちょっと面白そうな本ですね。
> ちょうど今、私自身が読書モードに入っている最中なので、近々読んでみようかと思います。
> 紹介ありがとうございました(笑)。

という事で、「先生、どうか皆の前でほめないで下さい」を読了しました。
「横並び志向」「事なかれ主義」「マニュアル依存」「承認欲求の高さ」などと言った
近年の若者層の特徴自体は、私も読む前から、それなりに掴んではいましたが、
そこは著者が大学教授なだけあって、具体的な実例は目から鱗でした(笑)。

講義における「座席の埋まり方」↓とか、「1限だから1限に出る」といった
https://m.media-amazon.com/images/S/aplus-media-library-service-media/5bb5f869-c75a-4a96-ad04-0fb755d44efd.__CR0,0,970,600_PT0_SX970_V1___.jpg
一昔前までの学生との感性の違いとかは、「なるほど、そうなるのか!?」って感じでしたし、
特に、「最も公正な分配基準は?」の答えの違いは、かなり印象に残りましたね!!

 【Q.最も公正な分配基準は?】
   2000年頃 (日本)  平等 6.4%  必要性 9.5%  実績 23.5%  努力 56.7%
   2020年頃 (日本)  平等 51.1%  必要性 5.7%  実績 18.1%  努力 25.2%
   2020年頃 (米国)  平等 1.4%  必要性 29.0%  実績 56.5%  努力 13.0%

まあ、アメリカの方の結果は、メリトクラシーにより格差増大が是認される一方、
その反動として、一部にサンダースやオカシオ・コルテスの人気が高まっている現状を、
まさしく、イメージ通りに現した数字といった感じかな?
日本に関しても、戦後昭和の感覚が、まだ多少なりとも残っていた2000年頃の数字は、
機会平等でも結果平等でも無い、一億総中流的な感じが如実に出てますね。
そして、現代の日本に関しては・・・ちょっと驚いたと言うか、「本当に!?」とは思いました。

一律な平等分配が半数を超えてるって、本当・・・というか、本気なんですかねえ?
戦後昭和の「日本型社会主義」においては、平等や必要性は言及されて無くても、
それなりの分配はされていた上で、「努力すれば報われる」という雰囲気が醸し出され、
それでも実際のボーナス加算分は、実績差に比べると微々たるモノという感じで、
現実的に どう分配されていたかではなく、当時の感覚的な部分が数値化されてる印象ですが、
2020年頃の数値に関しても、そういったイメージ的なモノなのかなぁ?
昨今の世知辛さから、平等分配を求める声が、以前に比べて増してる面は確かにあるでしょうけど、
ここまで数値が高いとなると、もしも本気の声であれば、もっと共産主義の再台頭があって良いはずで、
そうした現象が特に見られない以上は、これも外面を気にした建前的なモノで、本音とは違うのでは?
う〜ん、何というか、「ぼっち」を気取りながらも、他者からの「承認欲求」は高いという、
当人も無自覚な「建前と本音の使い分け」というのが、そこには潜んでいるような気がするんですよね。

右肩下がりの時代で、「チャレンジのコスパが悪い」昨今、
「今の若者は〜」とか言うのは、社会の問題を、若者に責任転嫁しているだけな気がしますが、
その一方で、「損はしても、せめて平均以下には落ちたくない」という意識が強すぎて、
自らの事を「横並び志向」だと思いつつも、
「目さえ付けられなければ、得したい」という本心が隠れているというか、
足の引っ張り合いが強くなった現状を、平等とか横並びという言葉に置き換えてるだけな気もします。
そういう意味では、「良い子症候群」と言うよりも、「傷つきたくない症候群」という感じかな?
もっと言えば、一度傷つくと、なかなか立ち直れない社会状況で育った若者層という事かも・・・・

最後に、おしなべて面白い本だとは思いましたけど、強いて難点を挙げるなら、
著者の視点が表面的で局所的というか、現象やハード面ばかりを追ってる感じで、
広く社会全体で見つつ、根本的な部分から解き明かしていく感じでは、無かった点ですかねえ?
まあ、そこは著者も自身で語っている通り、
歴史が苦手で、元々は物性物理の出身という所が、そうした物足りなさを招いているのかも。
とは言え、やはり人それぞれ得手・不得手はありますし、あまり1人に求めすぎてもアレかな?(笑)
ともかく、面白い本を紹介していただき、ありがとうございました!!
返信の有無は構わないとして、一応 報告までに。


> > ・容姿学力比例論
> > 私は 容姿が悪い→自身が無くなる→学力低下 と考えていたのですが、
> > どうもこの本を読む限り、容姿に関係なく自信がない、ということなんでしょうね。

> う〜ん、「自信がない」というのも、確かに一面なのでしょうけど、
> 強いて理由を考えるなら、これも「格差の問題」なんじゃないですかねえ?
> 一昔前までであれば、格差って、もっと解りやすい見た目で把握出来てたんですよ。
> ですが今の時代って、そういうのがパッと見では解り難くなってません?
> その一方で、努力さえすれば相応に報われ、逆転だって可能という時代では無くなったと。
> もう少し解りやすく言うと、見た感じでは格差も乏しく、皆が同条件に見えるのに、
> 格差が非視覚化したからこそ、内面や結果として現れた際に、格差が視覚化される感じでしょうか?
> 解り難いかも知れませんが、子供たちの情報格差・経済格差・環境格差など、
> 家庭的に「恵まれているか?否か?」で生じる差が、一昔前よりも、格段に大きくなっているんです。

先日たまたま、書店でこんな新刊↓を発見して、読了。

「ペアレントクラシー 親格差時代の衝撃」
https://www.amazon.co.jp/dp/4022951826/

タイトル以上のインパクトは、内容的に無かったのですが(個人的には正直イマイチな1冊)、
「教育格差」の問題に関して、関心はあるけど知らない方には、そこそこの1冊ではあるかと?
「親ガチャ」なる単語が流行っている昨今、
社会システムが安定したまま、メリトクラシー(能力主義)が続けば、
当然の帰結として、人々は、システム上の最適解を求めるでしょうし、
その結論として、親(保護者)が如何に整えるかで、子供の生育環境が左右されるという
「ペアレントクラシー」なる答えに辿り着くのは、当たり前と言えば、当たり前なのでしょう。

と、これ以上 続けると、教育方面の話題に脱線しそうなので、話を元に戻しますが(苦笑)、
同書にもあった、現在は「見えざる壁(格差)」の時代だという意見は、私も同調しました。
簡単に言えば、近代以前の階級社会では、まさしく格差が「見える壁」として存在し、
それを壊そうとして、能力主義が台頭してきた訳ですが、これだけ長く続くと、
効力の良い能力の高め方というノウハウに加えて、
教育面への新自由主義の侵食であったり、ネット普及が却って招いた情報格差であったり、
そうした諸々の要素が合わさって、一見しただけでは判らない「壁」が、確実に生じつつあると・・・・

まあ、同じ学校の中ですと、名門校と底辺校との「違い」ほど如実じゃない為、
生徒同士の明確な違いは、もしかしたら見出し難いかも知れませんが、
何でも持ってる生徒と、何も持ってない生徒との差が、実際に存在するのであれば、
それこそが恐らく、「見えない格差」が表面化したモノなんじゃないですかねえ?

また、こうした事の心理面を読み解く場合、
確かに「自信」も、1つの要素ではあるものの、
それ以上に大きいのは、あらゆる面においての「余裕」でしょうね。
自信自体は、行動の大きな推進力には成り得るのですが、
全ての物事を、滞り無く進めるのに大事なのは、何よりも余裕なので。


> 日本の大学の経済学部や商学部でも、「数学の必修が増えた」との噂を聞くのですが、
> 実際の所、どんな感じなのでしょうか?
> 具体的には、どれだけのコマ数が数学に割かれ、どのレベルの数学をやっているのかな?と。

この流れで、USJを再建させた立て役者の本↓を読んでみました。

「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」
https://www.amazon.co.jp/dp/4041041422/

一般読者向けに、数式とかは飛ばしても読める内容になってましたけど、
具体的には、「ポアソン分布」とか「負の二項定理」などが出てきてました。
クオンツたちが活躍する金融工学の世界とも、また異なるのでしょうし、
経営判断として、おおよその目安さえ解ればOKという使用目的を考えると、
これくらいの数学レベルで充分だという事なのでしょうね。
内容は悪くありませんでしたし、旧トルコ担当さんは商学部との事でしたので、
既に読まれてるかも知れませんが、一応オススメしておきます!!
この立場の人が、手の内を明かすような本を書くこと自体、なかなか珍しいですから。

もっと言うと、自らの経営体験の実例を、
大量に演習問題として用いた、教科書を書いて欲しい所かも?(笑)
まあ立場的に難しければ、一線を退いてからでも良いので。
やはり演習問題の有無というのは、知識としての定着度に差を生みますし、
かと言って、無味乾燥な例題ばかりを解かされても、基本的には面白くないですから、
成功体験であれ、失敗体験であれ、興味を惹くような実例から問題が作られていれば、
頭に入ってくる情報量も、大きく違ってくると思うんですよ!!

と言いますか、既に実際に、そういった本って在ったりするのかな?
もし御存知でしたら、是非とも紹介して戴ければ有り難いです!!(笑)

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